災害対応力と公務員体制の再構築

― 公務員の定員確保にむけた労働組合の役割 ―

西 剛志 (国公連合)

 日本は世界でも有数の自然災害多発国である。地震、津波、台風、豪雨、土砂災害、火山噴火など、多様な災害が例年発生し、国民の生命と生活を脅かしている。特に近年は気候変動の影響により豪雨災害が激甚化し、従来の想定を超える被害が発生している。こうした災害の多発性は、行政に高度な対応能力を求める。

 その災害対応の最前線に立つのは行政でありその主体は公務員である。公務員は災害対応時に情報収集、避難指示、人命救助、避難所運営、復旧・復興事業など、国民の生命と生活を守る重要な役割を担っている。しかし近年、公務員はバブル崩壊以降、長年の不況による定員削減、非常勤職員の増加や行政の複雑高度化などにより、現場職員は疲弊している。特に氷河期世代の採用抑制により中堅層が薄くなり、災害対応の経験が継承されにくい構造が生まれている。こうした状況は、災害時に一気に表面化し、初動対応の遅れ、避難所運営の長期化による職員の疲弊、長時間労働やメンタル不調の増加など、災害対応の質そのものの低下を招いている。

 本論文では、能登半島地震の先行研究、能登地震で災害対応に当たった組合員インタビュー等を基本に、現在の公務員体制の脆弱性を構造的に分析する。そして、災害対応力を備えた公務員体制の再構築に向けて、公務労働組合としてのできることを探る。