全駐労における組織率低下の要因分析

伊仲 太樹 (国公連合 全駐留軍労働組合)

 本論文は、全駐留軍労働組合(全駐労)における組織率低下を対象に、その背景にある制度的・歴史的条件と要因を検討するものである。在日米軍基地で働く日本人従業員は、日本政府に雇用されながら米軍の下で勤務するという特殊な間接雇用構造に置かれており、賃金・労働条件は一般の民間労働者や公務員とは異なる枠組みによって規定されている。とりわけ、日本政府の財政負担の拡大や特別協定の定着は、雇用と処遇の安定に寄与する一方で、組合交渉の成果を見えにくくする側面も持つ。本稿では、雇用構造と賃金決定の仕組み、組織率の現状と推移を整理したうえで、制度環境、労働市場、職場環境、組織運営の観点から組織率低下の要因を分析する。さらに、全駐労には、複雑な制度を組合員・従業員に分かりやすく伝える機能や、若年層・未加入従業員に対する継続的かつ個別的な働きかけが求められることを示す。これにより、全駐労の代表性と交渉力を維持・再構築するための示唆を導く。