日本の労使関係の語り方の再構成

―海外労働組合向け研修の分析を通じて―

チュンサム・パーワリン (公益財団法人国際労働財団)

 本研究は、JILAFが実施する海外労働組合関係者向け研修を事例として、日本の労使関係をめぐる語り方とその受容について検討した。主に招へい事業と労使関係セミナーを対象とし、2022年度から2025年度までの教材分析、受講者アンケート分析および講師インタビューを実施した。

 結果、受講者アンケートからは、日本の労使関係、特に協調的な労使関係や社会対話が肯定的に受け止められており、実践事例への関心や自国・自組織での活用を志向する受講者が多いことがうかがえた。

 一方、講師インタビューからは、受講者が講義内容を自国の状況と結び付けながら理解し、実践につなげられるよう、教材内容や説明方法をより身近なものへと継続的に調整するとともに、日本の建設的な労使関係や社会対話を国際労働運動の発展に資する経験として語っていたことが浮き彫りとなった。

 以上をふまえると、近年の研修では制度説明から実践事例を重視する傾向がみられ、労働組合は課題解決に主体的に関与するアクターとして位置づけられていたことが分かる。また、日本の労使関係は完成されたモデルではなく、各国が参考にできる経験として語られていることが確認された。さらに、その語りは受講者との相互作用を通じて継続的に再構成されていることが示唆された。