変革期における自動車産業労働組合の役割について
―経営対策活動の実態からみる課題と今後の方向性―
自動車産業は、雇用の創出や技術革新などを通じて、国と地域の発展に大きく貢献し、日本経済を支える基幹産業へと成長してきた。しかし近年は、電動化の進展やデジタル技術の急速な発展、消費者ニーズの多様化などにより、産業構造そのものが大きく変化している。
こうした変化は、企業の経営のみならず、雇用や技能の在り方、働き方そのものにも深刻な影響を及ぼしている。しかし、労働組合の活動は依然として賃金や労働条件の改善に軸足を置いたままであり、産業構造が急激に変化する現状に十分対応できているとは言い難い。このままの姿勢で労働者の将来を守り切れるのか、改めて深く問われている。
本論文は、まず自動車産業における構造変化の背景と現状を整理し、それが働く者にどのような影響をもたらしているのかについて考察する。そのうえで、急速な産業転換が進む自動車産業において、労働組合が直面する課題を明確にし、求められる役割や果たすべき機能について検討する。こうした分析を通じて、従来の枠組みでは対応しきれない新たな課題に対し、労働組合がいかなる視点と取り組みを強化すべきかを明らかにすることを目的とする。