障害者雇用をめぐる職場設計と労働組合の役割

― 情報通信産業における葛藤と実践から ―

入江 優妃 (情報産業労働組合連合会)

 情報通信産業は、テレワークやICT活用と親和性が高く、障害者の就労機会を広げやすい産業であるように見える。しかし実際には、情報通信産業の障害者実雇用率や法定雇用率達成企業割合は低い水準にとどまっている。本稿は、このずれに注目し、障害者雇用の停滞を、ICT技術の不足や障害者本人の能力・適応努力の問題としてではなく、職場側が業務、情報共有、支援体制を具体化できない問題として検討する。日本の障害者雇用は、雇用率制度や特例子会社制度を通じて量的には拡大してきたが、通常職場の業務設計や情報共有のあり方を十分に問い直してきたとはいえない。そこで本稿では、A社・B氏・C社へのインタビューをもとに、採用、配置、定着、復職の各段階に現れる困難と、その解決に向けた取り組みを分析する。そのうえで、こうした困難を本人や上司の個別対応の問題に閉じず、労働組合が職場課題として可視化し、制度的・組織的改善につなげうる可能性を論じる。