本と資料の紹介コーナー

このコーナーでは、労働運動、労働組合の分野で皆さんに読んでいただきたい本と文献を取り上げます。重要と思われる文献については、労働一般、経済社会問題まで広げて紹介していくとともに、連合周辺の刊行物も収録します。
文献の選定には教育文化協会の書評委員会があたっていますが、紹介内容は連合または教育文化協会の主張を必ずしも反映せず、高木郁朗 日本女子大学名誉教授の責任監修で行われています。

2018年2月の紹介本

おすすめ本

  • 藤田孝典
    『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』

    評者:遠藤和佳子(連合 広報局次長)

     今、学生の二人に一人が奨学金を借りていて、大学を卒業しても四人に一人が非正規雇用にしか就けない。その上、いわゆるブラックバイトやブラック企業によって、劣悪な労働環境にさらされている。そんな若者は「社会の監獄」に閉じ込められていて、貧困状態にあるのは若者の努力不足ではなく、社会の仕組みの問題ではないか。本書では、このような問題意識から、貧困状態にある若者の現状や、なぜ若者が貧困から抜け出せないのかといった社会の仕組みを示すとともに、必要な施策についても提言している。
     著者の藤田氏は、ソーシャルワーカーとして活動し、生活相談などを行うNPO法人「ほっとプラス」の代表理事を務めている。また、月刊連合2017年3月号では神津連合会長と若者の貧困について対談した(https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/fullswing/data/201703.pdf)。

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    講談社現代新書
    760円+税
    2016年3月

議論を深める

  • バリー・シュワルツ著/田内万里夫訳
    『なぜ働くのか』

    評者:鈴木祥司(生保労連労働局・政策局局長)

     本書は、なぜ多くの人々が仕事から充足感を得られないのか、なぜ朝起きるたび憂鬱な気分でベッドから這い出す日々を送っているのか、といった問いかけから始まる。仕事は本来つらいものだといってしまえばそれまでだが、それはけっして当然のことではなく、誤った認識・人間観にもとづいて仕事や職場がデザインされてきたためだとして、その中味が考察される。労働政策を考えるうえでも、どのような人間観・仕事観に立つかは重要であり、本書はその一助となると思われる。
     著者のバリー・シュワルツは、硬直的で融通の利かない官僚主義に陥らないよう、規則やマニュアルに頼り過ぎることに警鐘を鳴らす米国の心理学者である。本書でも、状況に応じた判断を下せる能力、すなわち「実践知」や「知恵」の重要性に触れており、現場力や想定外への対応が問われている日本の企業・社会にとっても参考になろう。

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    朝日出版社
    1,400円+税
    2017年4月
  • ブランコ・ミラノヴィッチ著/立木勝訳
    『大不平等-エレファントカーブが予測する未来』

    評者:麻生裕子(連合総研主任研究員)

     原題は“Global Inequality : A New Approach for the Age of Globalization”、直訳すれば「グローバルな不平等-グローバル化時代のための新たなアプローチ」である。ルクセンブルク所得研究センターのエコノミストである著者は、「グローバルな不平等」をテーマとして取りあげ、過去2世紀、とくに過去25年間に世界で所得分配上の変化がどのように起こったのか、そして将来はどうなるのかを検討している。
     本書は各国の長期データから導きだされた様々なグラフをみるだけでも面白い。さらには、グローバルな所得分布データの入手先、相対尺度と絶対尺度の違いなどについて触れられたコラムもあり、読みやすく工夫が施されている。本書の特徴は各国ごとの不平等だけをとらえるのではなく、グローバルにみた格差の展開を長期的な動向にそって分析していることにある。
     世界のなかで日本がどのような位置にあるのかを知るためにも、労働組合関係者に一読を薦めたい一冊である。

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    みすず書房
    3,200円+税
    2017年6月
  • 水島治郎
    『ポピュリズムとは何か-民主主義の敵か、改革の希望か』

    評者:山根正幸(連合 経済政策局局長)

     欧州における排外主義的な主張を掲げる政党の台頭、イギリス国民投票によるEU離脱派の「勝利」、アメリカのトランプ大統領誕生、日本における「第3極」の登場とその後の混沌。世界各地で既成の政治が批判にさらされ、不確実さを増している。そうした動きに通底するのがポピュリズムであるとされる。ポピュリズムとは、オックスフォード英英辞典では、「普通の人びとの意見と願望を代表すると主張する政治の一形態」とされている。
     本書は、こうした世界の動きに通底するポピュリズムの理論的な位置づけ、各国における展開と特徴、政治的な影響を分析しつつ、ポピュリズムとデモクラシーとの一筋縄ではいかない関係性を明らかにすることで現代政治の特質を描き出そうとしている。

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    中公新書
    820円+税
    2016年12月
  • 連合とそのまわりの刊行物
    • 1.『仕事と暮らし 10年の変化 ―連合総研・勤労者短観でみる2007~2016年―』
    • 2.『神津式労働問題のレッスン』
    • 3.『2018連合白書』

これまでの掲載実績

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文献紹介コーナー(~2008年)


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