Rengoアカデミー 第20回マスターコースの概要

目次

  1. 1.マスターコースのアウトライン
  2. 2.授業プログラム(前期・後期)
  3. 3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧
  4. 4.講義科目・講師一覧
  5. 5.ゼミナールの紹介
  6. 6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ

<参考資料>第19回受講生の体験談


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1.マスターコースのアウトライン

 教育文化協会は、連合運動の発展に資する労働者教育の全体像を構想し、その第一歩として、連合結成10周年を機に、2001年5月、連合運動の次代を担うリーダーの育成を目的に、「Rengoアカデミー・マスターコース」を開講しました。これまでに448名が受講し、修了生は現在、それぞれの立場から連合運動の一翼を担い、活躍しています。
 第20回目の今回は、マスターコース開講の趣旨と会員組織や受講生からの意見・要望、過去19回取り組んだ経験・反省をふまえ、引き続き、受講生出身組織の送り出しやすさと受講生本人の参加しやすさを基本に、①講義科目の前・後期への効果的な配置、②ゼミ生同士の自主的な議論・研究に資する自主研究枠の確保に努め、運営日程の効果的編成を心がけました。
 第20回マスターコース・プログラムのアウトラインは以下のとおりです。会員組織、連合構成組織および加盟組合、地方連合会などからのご参加をお待ちしています。

視点

 マスターコースでは、人間・歴史・世界・「場」(※)からのアプローチを重視し、受講生の分析力・構想力の醸成をはかり、問題発見と問題解決の能力向上をめざします。
 自らの「考察を深めたい課題」について、ゼミナールでの担当講師からのアドバイスや他のメンバーとの意見交換等を通じて、問題意識の深耕・多角化をはかるとともに、その課題解決方法を見つけ、修了論文にまとめていきます。(「6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ」を参照)。
 きめ細かな指導・教育をとおして受講生と講師の「人間としての結びつき」を深めます。

※「場」とは、問題を発見しその解決をはかるときの自分のスタンドポイントのこと

年間スケジュール

 マスターコースは、集中教育期間と自学・自習期間を組み合わせ1年間で修了します。
 集中教育は、前期、後期の2期制です。

前期:2020年11月15日(日)~11月20日(金)の6日間
後期:2021年 5月16日(日)~ 5月21日(金)の6日間

 前期終了後から後期開講までの間と、後期終了後から修了論文完成までの間が、自学・自習の期間となります。この期間にはそれぞれ、必修ゼミを配置しています。
 必修ゼミでは、ゼミ生は自学・自習期間の成果を発表し、ゼミナール担当講師からアドバイスを受け、後期のゼミへ、さらには修了論文へとつなげていきます。
 修了論文については随時、担当講師からメール等で個別指導を受けることができます。
受講生は、2021年7月1日(木)までに修了論文を提出し、教務委員長の監修を経て、9月下旬~10月上旬に予定している修了式をむかえ、1年間のプログラムを修了します。
 なお、第20回は新型コロナウイルス感染症の影響により、開講式他、初日のみ集合研修とし、以降の前期運営をWEB上での動画配信(同時双方向型・オンデマンド型)で実施するとともに、ゼミナールをZoom等のWEB会議システムで実施いたします。(後期運営については、状況次第で合宿研修の可否を検討いたします。)

授業と講師陣

 前期、後期の集中教育では、授業は講義とゼミナールを併用しておこないます。
 講師陣には、それぞれの分野の第一人者の他に、連合会長(Rengoアカデミー校長)や連合事務局長なども加わります。

講義

 講義科目は、特別プログラムも含めて23科目です。
 講義は、原則、講師からの問題提起、グループワーク、発表などを組み入れておこないます。
 講義の進め方は、授業60~70分と休憩10分のサイクルが基本ですが、多少、前後することがあります。

ゼミナール

 受講生は、受講申込の際に、「考察を深めたい課題」を提出するとともに、5つのゼミナールのなかから希望するゼミを選択します。
 ゼミナールは、前期3回、後期3回の計6回おこないます。ゼミナールは、原則1回2時間30分(休憩含む)です。
 ゼミナールごとの必修ゼミは、前期終了後から後期開始までに原則2回、後期終了後に1回おこないます。
 ゼミナールは、4名程度で編成し、担当講師の指導やゼミ生との議論をとおして各自の課題を修了論文に仕上げます。
 ゼミナール大会(後期3日目)では、受講生が修了論文の骨子を発表し、ほかのゼミ担当講師から講評を受けます。その後のゼミでは、その講評も含めゼミ担当講師から指導を受けます。

研修期間中の運営

 研修期間中は、受講生が実行委員会をつくり運営します。
 後期が合宿研修の場合、合宿期間中には、連合本部役員、教育文化協会理事長等との交流、懇談の場を予定しています。

修了

 前期・後期を受講、修了論文を提出し教務委員長による監修を経て修了となります。
 修了者には、修了証を授与します。


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2.授業プログラム(素案・調整中含む) ※プログラム関係は以下同じ

前期<2020年11月15日(日)~20日(金)>

プログラム前期

[備考]
① 午後の講義終了後、実行委員会のミーティング(M)を行う。
② ゼミナールはⅠ~Ⅲを必修とし、指導講師の判断で追加することも可とする(上限は必修分と併せて4回とする)。
③ 前期と後期の間に「必修ゼミ」を2回行う(指導講師の判断で1回でも可)。
④ 必修ゼミに加えて、オンラインでの指導の場を複数回設けることも可とする(前期後の上限は3回とする)。

後期<2021年5月16日(日)~21日(金)>

プログラム後期

[備考]
① 後期終了後に「必修ゼミ」を1回行う。


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3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧

 講義科目は、政策-組織-基礎の3領域、総合戦略-経済産業政策-社会労働政策-組織強化・拡大-組織運営-人間と組織-経済社会と労働の7分野から編成しています。
 講義は、連合の戦略的方向性・課題を大づかみに理解し、連合の一員としての自分の役割・課題を確認することからスタートし、基礎から応用・運動へと、順次ステップアップできるように科目を配置しています。

領域 分野 科目 (前期、後期) 講義時間
  政  策 総 合 戦 略 「連合の役割・行動I」
「『安心社会』への戦略を考える」
「連合の役割・行動II」
(前)
(前)
(後)
2時間30分
4時間
3時間30分
経済産業政策 「日本の財政と社会政策の課題」
「社会保障のとらえ方」
「グローバル経済と労使関係」
(前)
(後)
(後)
4時間
4時間
4時間
社会労働政策 「人材活用と人事管理の課題」 
「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」 
「労働者自主福祉の課題」
(前)
(後)
(後)
4時間
3時間30分
3時間30分
  組 織   組織強化・拡大 「連合組織強化の課題」
「労働組合と政治」
「男女平等参画と労働組合」
「国際労働運動の課題と対応」
(前)
(後)
(後)
(後)
3時間30分
4時間
4時間
3時間30分
組 織 運 営 「組合リーダーに聞く」 (前) 3時間
  基 礎   人間と組織 「アサーティブ・トレーニング」 (前) 3時間30分
経済社会と労働 「歴史からみた労働組合の役割」
「労働法の基礎」
「ジェンダーと労働」
「仕事と賃金」
「労使関係の課題」
「地域と労働組合」
(前)
(前)
(前)
(前)
(後)
(後)
4時間30分
4時間
3時間30分
4時間
4時間
3時間30分
特別プログラム 「論文のまとめ方」
「ゼミナール大会」
(前)
(後)
1時間
4時間30分
合 計 講義21科目:78時間 特別プログラム2科目:5時間30分 83時間30分
ゼミナール 前期3回+後期3回 =14時間 総時間 97時間30分
<参考:第19回の講義時間>
講義21科目 特別プログラム2科目 ゼミナール(6回) 総時間
78時間 5時間30分 14時間 97時間30分


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4.講義科目・講師一覧(調整中含む)

※前期はオンライン配信予定

☆印は特別プログラム
★印はゼミナール
講 義 日 科目 講 師 氏 名
2020年 ☆「論文のまとめ方」
「連合の役割・行動Ⅰ」
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
連合会長
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長

11.15(日)
11.16(月) 「アサーティブ・トレーニング」
「日本の財政と社会政策の課題」
★ ゼミナールⅠ
森田汐生 アサーティブ・ジャパン代表
佐藤滋 東北学院大学准教授
ゼミナール担当講師
11.17(火) 「労働法の基礎」
「『安心社会』への戦略を考える」
★ ゼミナールⅡ
浜村彰 法政大学教授
宮本太郎 中央大学教授
ゼミナール担当講師
11.18(水) 「仕事と賃金」
「連合組織強化の課題」
★ 自主研究
石田光男 同志社大学教授
連合総合組織局長
 11.19(木) 「ジェンダーと労働」
「歴史からみた労働組合の役割」
★ ゼミナールⅢ
神尾真知子 日本大学教授
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
ゼミナール担当講師
 11.20(金) 「人材活用と人事管理の課題」
「組合リーダーに聞く」
橋元秀一 國學院大學教授
逢見直人 連合会長代行
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
2021年 「労働組合と政治」


★ ゼミナールⅣ
国会議員・地方議員
連合政治センター事務局長
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
ゼミナール担当講師

5.16(日)
5.17(月) 「社会保障のとらえ方」
「男女平等参画と労働組合」
★ 自主研究
菅沼隆 立教大学教授
連合総合政策推進局長
5.18(火) 「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」
☆「ゼミナール大会」

★ゼミナールⅤ
毛塚勝利 労働法学研究者
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長
ゼミナール担当講師
ゼミナール担当講師
5.19(水) 「労働者自主福祉の課題」
「グローバル経済と労使関係」
★ 自主研究
講師調整中
田端博邦 東京大学名誉教授
5.20(木) 「国際労働運動の課題と対応」
「労使関係の課題」
★ ゼミナールⅥ
連合総合国際政策局
中村圭介Rengoアカデミー教務委員長
ゼミナール担当講師
5.21(金) 「地域と労働組合」
「連合の役割・行動Ⅱ」
中村圭介Rengoアカデミー教務委員長
連合事務局長
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長


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5.ゼミナールの紹介

 

禹ゼミ テーマ:グローバル化と日本の労働組合 講師:禹宗杬 埼玉大学人文社会科学研究科教授
目的
  1. グローバル化は通常、労働組合に不利に働く。競争を激化させ、コスト削減の圧力を強めるからである。ただし、日本より賃金の高いアメリカでさえ、企業の方針転換と政策のバックアップがあれば、中国から製造業を呼び戻すことが不可能ではないといわれる。グローバル化が進むなか、どうすれば雇用と賃金を守り、組合運動の展望を開けるか、一緒に考えたい。
  2. 展望を開くために重要な作業の一つは、国際比較の視点に立って、労使関係共通の環境と課題を理解し、日本の独自性を把握することである。世界と共有すべき日本の組合の資産は何でその固有の問題は何か、ほかの国々の試みから何を学ぶべきか、一緒に考えたい。
  3. 日本の組合は現場を大切にしてきた。いま、その現場が弱まっている。生産・サービスのグローバル展開のほか、グループ経営、人的資本投資の減少などが影響しているのはむろんである。ただし、主体的な問題もあり得る。運動の転換が求められている現在、どうすれば現場を再構築する契機をつかめるか、一緒に考えたい。
  4. 労使関係のアクターの労・使・政のうち、労側の変化への対応と自己革新が立ち遅れている傾向にある。持続可能な社会および持続可能な労使関係の構築に向け、雇用と賃金と時間と生活をどのようにデザインすべきか、一緒に考えたい。
課題(キーワード) グローバリゼーション/グローバル展開/コーポレート・ガバナンス/経営戦略/雇用の多様化/キャリア・処遇の複線化/産業政策/雇用政策/欧米の労使関係/アジアの労使関係/日本の労使関係の特徴/現場の再構築/雇用・賃金・時間・生活のデザイン
講師略歴
現 職 埼玉大学人文社会科学研究科教授
職 歴 韓国社会科学研究所研究員、埼玉大学経済学部講師、埼玉大学経済学部助教授、The Graduate School of Management (Anderson School) at UCLAの招聘研究員を歴任
著 書 『「身分の取引」と日本の雇用慣行―国鉄の事例分析―』(単著、日本経済評論社、2003年)、『日本経済の再浮上と韓国の産業』(韓国語共著、産業研究院、2008年)、『トヨタのDNA』(韓国語共著、中央books、2009年)、『公共部門における要員管理の韓日比較』(韓国語共著、韓国労働研究院、2009年)、『韓国の経営と労働』(編著、日本経済評論社、2010年)、『中国民営企業の雇用関係と企業間関係―市場経済の土台としての継続的取引の形成―』(共著、明石書店、2013年)、『現場力の再構築へ―発言と効率の視点から―』(編著、日本経済評論社、2014年)
その他 埼玉大学連合寄付講座担当教員、国際労働財団「アジアにおける労使関係と労働組合の課題プロジェクト」委員、連合総研「『日本的』雇用システムと労使関係研究会」委員、連合総研「企業行動・職場の変化と労使関係に関する研究委員会」主査、連合総研「参加保障・社会連帯型の新しい社会政策・雇用政策の大綱に関する研究委員会」委員等
木本ゼミ テーマ:少子高齢社会のなかの人間と労働組合 講師:木本喜美子 一橋大学名誉教授
目的
  1. 現代日本において、企業社会体制は変容しつつあり、少子高齢社会としての特徴がきわだってきている。労働市場の変動、地域社会の格差拡大、そして家族の大きな変容を実態として把握することを通じて、労働組合が直面する課題を考える。
  2. 特に検討を要するのは、従来の「サラリーマン」の働き方を相対化し、新しい働き方や暮らし方、生き方が、新たな価値規範と共に模索されてきている事実である。一方では高度成長期以来の旧態依然としたサラリーマン像があり、他方では正社員労働市場への参入が困難な、若者や女性たちの労働-生活者像がある。変動期の現代を把握するために両者の動きを、トータルに検討する。
  3. 本ゼミでは、主体としての人間が、階層、ジェンダー、地域差等によって分断されつつ、一人一人の一回限りの生をまっとうするために、働き方そして生き方をめぐって模索している姿を、まずもって重視したい。その上で、個々のアクターの価値規範がどのように変わろうとしているのかをつかむことによって、労働組合が担う新たな課題と社会的役割を探ることをめざす。
課題(キーワード) 少子高齢化/未婚化・晩婚化/働くことと家族/労働市場の変動/非正規化/ジェンダー変動/若者の就業問題/女性労働問題/労働-生活時間構造/サラリーマン像の揺らぎ/ワークライフバランス
講師略歴
現 職 一橋大学名誉教授
職 歴 広島大学総合科学部助手、立命館大学産業社会学部助教授、一橋大学社会学部助教授、一橋大学大学院社会学研究科教授を歴任
著 書
(単著)
『家族・ジェンダー・企業社会』(ミネルヴァ書房、1995年)、『女性労働とマネジメント』(勁草書房、2003年)等
編 著 『家族・地域のなかの女性と労働』(明石書店、2018年)、『現代日本の女性労働とジェンダー』(ミネルヴァ書房、2000年)、『社会政策のなかのジェンダー』(明石書店、2010年)
共 著 『地方に生きる若者たち-インタビューからみえてくる仕事・結婚・暮らしの未来』(旬報社、2017年)、『仕事の人類学-労働中心主義の向こうへ』(世界思想社、2016年)、『リスク社会のライフデザイン-変わりゆく家族をみすえて』(放送大学教育振興会、2014年)、『高度成長の時代1-復興と離陸』(大月書店、2010年)、『ジェンダー平等と多文化共生』(東北大学出版会、2010年)
論 文 「カンター『企業のなかの男と女』(『日本労働研究雑誌』No.669、2016年3月)」、「戦後日本における家事労働の位置を探る-企業社会・雇用労働との関連で-」(『日本フェミニスト経済学会誌』第1巻、2016年10月)、「家族の過去と現在、そして近未来-『家族賃金』観念の変容-」(『連合総研レポート』322号、2017年1月)、「ジェンダー平等と社会政策」(社会政策学会誌『社会政策』第5巻第3号(榎一江との共著)、2014年10月)
その他 博士(社会学)、学術会議連携会員、多摩市男女平等審議会副会長、中央大学非常勤講師 等
毛塚ゼミ テーマ:労働法と労働組合 講師: 毛塚勝利 労働法学研究者
目的  直面する労働問題を素材に、労働法のしくみと課題を理解するとともに、労働組合がどのように問題の解決に取り組み、ワーク・ルールを充実させていくかを考える。
  1. 「働き方改革」はなぜ提起されたか。その「改革」は的を射ているか。
  2. 今後の賃金制度・労働時間制度を労働組合はどう設計するのか。
  3. 個人就業者(請負・委託就労者)の拡大に労働組合はどう取り組むか。
  4. 情報通信技術の進展にともなう企業システムの変容・空洞化に労働組合はどう対応すべきか。
  5. 労働問題が多様化・多元化・個別化した現在、労働組合はどのように労使関係システムを整備していくべきか。
課題(キーワード) 非雇用型就労/限定正社員/変更解約告知/解雇の金銭解決/高度プロフェッショナル労働/勤務間インターバル/副業/派遣/クラウドワーク/会社分割/事業再編/フランチャイズ/投資ファンド/社会的差別/合理的配慮/均等均衡処遇/同一労働同一賃金/ハラスメント/メンタルヘルス/労働審判/労働者代表制度/ステークホルダー民主主義
講師略歴
現 職 労働法学研究者
職 歴 静岡大学法経短期大学部教授、専修大学法学部教授、中央大学法学部教授、フランクフルト大学(独)・トレント大学(伊)・法政大学大学院連帯社会インスティテュート客員教授を歴任。
著 作 「労働組合機能と基本権論の課題」(労働法律旬報11951・52号2020年)、「非正規労働政策と同一労働同一賃金政策の問題点」(Work&Life 2019年1号)、「労基法労働時間法制からの脱却を」(日本労働研究雑誌690号2018年)、「クラウドワークの労働法学上の検討課題」(季刊労働法259号2017年)、「限定正社員の法的問題を考える」(季刊労働法245号2014年)、「非正規労働の均等処遇問題への法理論的接近方法」(日本労働研究雑誌636号2013年)「労働契約法における労働条件変更法理の規範構造」(法学新報119巻5・6号2012年)、「公務労使関係システムの構築に関する議論の現在と問題点」(季刊労働法230号2010年)、「企業統治と労使関係システム」石田虞・大塚直編『労働と環境』(日本評論社2008年)等
編 著 『事業再構築における労働組合の役割』(中央経済社、2013年)、『企業組織再編における労働者保護』(中央経済社、2010年)、『個別労働紛争処理システムの国際比較』(日本労働研究機構、2002年)等
その他 日本労働法学会代表理事(2002~2003年)、連合総研「参加発言型社会に向けて研究会」(1995~1996年)、「新労働法制研究会」(1997~1998年)、「企業組織等の再編に伴う労働者保護法制研究会」(1999~2000年)、「労働契約法制研究会」(2004~2005年)、「企業買収・合併等による企業組織の改編と労働組合の課題に関する研究委員会」(2008~2010年)、「教職員の働き方・実態調査研究委員会」(2014-2015)、「今後の労働時間法制のあり方を考える研究委員会」(2018~2020)の各主査等
高木ゼミ テーマ:経済・産業と労働組合 講師:高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
目的
  1. 長期にわたるデフレ、グローバル不況、IT化などの技術革新、企業の海外移転、規制改革などの急激な経済環境の変化と再度にわたる政権交代をともなう政治構造の変化、人口減少社会の到来などのもとで、雇用と生活の両面で人間的な労働(ディーセントワーク)を実現しうる社会システムと経済・産業・社会政策のあり方と労働組合の役割を検討し、積極的な論議を行いたい。
  2. ナショナルセンター、産業別組織、地域組織などの各級の労働組合が経済と政治・社会面で影響力を発揮するための考え方と方法を検討し、個別企業をこえた労働組合の社会的役割を具体的に検討する。
課題(キーワード)  産業構造の変化/社会構造の変化/政治構造の変化/グローバリゼーション/人口減少/市場万能主義/ワークフェア/社会的企業/ディーセントワーク/福祉ミックス/「働くことを軸とする安心社会」/社会的労働運動/
講師略歴
現 職 日本女子大学名誉教授
職 歴 山形大学教授、日本女子大学教授を歴任
著 書 『国際労働運動』(日本経済新聞社、1973年)、『春闘論』(労働旬報社、1976年)、『労働組合の進路』(第一書林、1987年)、『新・社会民主主義の挑戦』(労働経済社、1992年)、『労働経済と労使関係』(教育文化協会、2002年)、『労働者福祉論』(教育文化協会、2005年)、『ものがたり現代労働運動史1989~1993』(明石書店、2018年)、『ものがたり現代労働運動史1993~1999』(明石書店、2020年)等
編 著 『自立と選択の福祉ビジョン』(平原社、1994年)、『市場・公共・人間』(第一書林、1992年)、『総評四十年史(全3巻)』(第一書林、1993年)、『ものがたり戦後労働運動史(全10巻)』(教育文化協会、1997~2000年)、『共助と連帯』(教育文化協会、2010年)等
監 修 「日本労働運動史事典」(ILEC、2015年)
「<増補改訂版>共助と連帯」(ILEC、2016年)
訳 書 『OECD図表でみる世界の社会問題Ⅰ~Ⅳ』(明石書店、2006~2017年)等
その他 (社)教育文化協会前理事、Rengoアカデミー・マスターコース前教務委員長(第1回~第10回マスターコースまで)、連合総研「協同組合の新たな展開に関する研究委員会」(2010~2011年)主査等
橋元ゼミ テーマ:企業・職場と労働組合 講師:橋元秀一 國學院大學経済学部教授
目的
  1. 労働組合の原点を確認しつつ、各自の所属する労働組合の特徴を交流することを通じて、改めてそれぞれの労働組合を相対化し客観的に把握する。
  2. それぞれの企業・職場はどのような問題や課題を抱えているのだろうか? 近年、企業や職場に起きている変化をふまえつつ、率直に出し合い交流し合いながら、今日の労働組合が直面している課題とはどのような問題であるのかを考察する。
  3. 組合員にとって、労働組合が魅力的であるとはどのような役割を組合が果たすことであるのかを検討する。組合役員の立場から離れ、一組合員の視点に立ったとき、日々の労働や職場生活において、さらには職業人生を展望した場合、労働組合は、どのような問題や課題を抱えているのだろうか? 労働組合は、そうした問題や課題をどれだけ受け止め、どのように取り組んでいるのか、検討し議論し合う。ゼミでの集団的議論を通じて、新たな視点やヒントを探りたい。
  4. 以上をふまえつつ、理論的視点、歴史的視点、組織構造的視点から、労働組合の現状と課題を明らかにすることが、本ゼミの目的である。
課題(キーワード) 採用/従業員構成/非正規労働者(非典型雇用)/配置/教育訓練/賃金/成果主義/人事考課/労働時間/残業協定/労使協議/経営参加/組合組織構造/組合役員
講師略歴
現 職 國學院大學経済学部教授
職 歴 東京都立労働研究所研究員、日本学術振興会特別研究員、(財)労働科学研究所社会科学研究部研究員、國學院大學経済学部専任講師・助教授を歴任
編 著 『人事労務管理の歴史分析』(ミネルヴァ書房)等
論 文 『労働組合の職場活動に関する研究委員会報告書―21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ-』(連合総研、2016年9月)、「第1章 労働組合の基礎的組織の現状」(連合総研『労働組合の基礎的な活動実態に関する調査研究報告書』、2016年4月)「労働組合による労働者供給事業の諸類型と可能性」(『国学院経済学』第60巻第3・4合併号、2012年3月)、「非正規従業員の組織化の動き」(『講座 現代の社会政策 第5巻 新しい公共と市民活動・労働運動』明石書店、2011年9月)、「非正規雇用問題と企業別組合の役割およびその展望」(社会政策学会誌 『社会政策』第2巻第1号、ミネルヴァ書房、2010年5月)、「企業別組合における非正規従業員の組織化事例の示すこと」(『日本労働研究雑誌』No.591、2009年10月)、「「成果主義」の実態は「能力主義管理」の整備・徹底化-真の能力主義を求めて」(『賃金制度と労働組合の取り組みに関する調査研究報告書』連合総研、2006年7月)、「社会政策学における賃金問題研究の視角と課題」(社会政策学会誌第12号『賃金問題と社会政策』2004年9月)
その他 國學院大學労供研究会座長、連合総研「21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ『労働組合の職場活動』研究委員会」主査、連合総研「「非正規労働者の組織化」-21世紀の日本の労働組合活動に関する調査研究委員会Ⅰ」副主査等


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6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ




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<参考資料>

第19回受講生の体験談

 Rengoアカデミーについて受講前と受講後について振り返りたいと思います。
 受講前、上司から受講を勧められ、日常業務とRengoアカデミーの両立ができるのか不安でいっぱいだったことを覚えています。結果として、勧められたことをチャンスとして捉え、自らの成長と新しい仲間ができると考え受講を決断しました。
 受講してみて感じたことは、Rengoアカデミーの講義は、日常の組合運動・活動に役立つ知識ばかりでした。また、他の受講生との意見交換によって得られる幅広い考え方に、大変さを忘れるぐらいの楽しさを感じていました。そして、ゼミ活動では、ゼミの先生とゼミ生と深く論議を交わし、一つのテーマを掘り下げ考える難しさと楽しさを学びました。Rengoアカデミーで学び得た知識と仲間は、自分にとってかけがえのない大切なものとなり、自分を成長させてくれたと感じています。
 最後に、大変お忙しい中、また新型コロナウイルスの影響もある中、ご講演頂いた先生方、教育文化協会事務局の皆様、受講生の皆さんにこの場を借りて感謝申し上げます。そして、論文を完成迄導いてくださったゼミの先生と仲間に御礼申し上げます。論文の内容を実現できるように進めていきます。
 これからRengoアカデミーに参加するみなさん、アカデミーには楽しいことがたくさんあります。ただ、間違いなく大変です。でも、参加してみると、みんなで助け合ってアカデミーが進んでいくことを実感できると思います。ぜひ貴重な経験をしてみてください。

 「Rengoアカデミー・マスターコース」への参加を通じ、労働運動にまつわる体系的な学習の機会と、一年をかけて魂を込めた論文を書き上げたという確固たる自信、そして一生ものの戦友を得ることができました。
 各分野におけるエキスパートの有識者の方々を講師に迎えた講義は、日常業務に追われ自己鍛錬の時間を失いがちな労働組合役員にとって、血となり肉となる知識を得る絶好の機会となりました。一日に複数コマ、濃密で高度な講義を受講することで、「理解しよう、講義についていこう」と脳みそが必死に活性化していることが分かりました。各講義にはグループディスカッション等がセットされ、自分の頭の中を整理して他者に対して言葉で表現することの訓練になりました。連合の会長や事務局長も講師としていらっしゃり、直接そのお考えを聞き、それに対して自分の疑問をぶつけることができる貴重な経験となりました。
 論文執筆作業においては、ゼミ生同士で意見をぶつけ合い、深堀したいと思うテーマについて研究し、1年間かけて文字に起こしてまとめていく作業を行いました。ゼミの担当教授からも多々アドバイスを頂戴しながら、自問自答しブラッシュアップしていく行程は、自分との闘い、文字に魂を込める作業でした。業務と並行した論文執筆は非常にハードです。しかし、それを乗り越えた先に得られるものは一体何なのか。ぜひアカデミーを受講して体験してほしいと思います。
 最後に、第19回アカデミーは後期から新型コロナウイルス感染拡大に見舞われ、例年とは異なる講義、ゼミ開催を行うことを余儀なくされました。しかし、事務局の迅速で柔軟な対応により、滞りなくアカデミーが運営されたということも申し添えておきたいと思います。アカデミー受講生同士は、前期はオフラインで、後期はコロナウイルスに負けじとオンラインで絆を深めることができました。辛い論文執筆作業を乗り越えてきた戦友たちは一生もので、何にも代えがたい宝です。
 受講生が安心してプログラムに臨む体制がそこにはあります。あとはチャンレンジする一歩を踏み出すだけです。

 「何とか書ききれた・・・。」というのが、論文を提出した最初の感想でありました。その達成感と開放感、そして何より、貴重な講義・ゼミの受講による自身の成長に、改めて有意義なものであったと充実感が得られました。
 始まりは、ある日突然「Rengoアカデミーに参加してほしい」と上司から告げられました。
その一カ月ほど前に地方から出てきた私は、「何?研修??合宿??」となり、聞き返すと、あらゆる分野の講義を聞き、ゼミを組む中で、論文を書き上げていくことと分かりました。その後、不安な思いと共に段ボールいっぱいに詰められた教材を持ち、研修地に向かったことが思い出されます。
 会場には、あらゆる産別、様々な立場、それぞれの考えや思いを持った受講生が集まっており、共に講義を受講するなか、意見交換を繰り返しながら、それぞれを尊重し合うことができたと思います。また、毎夜開かれた懇親の場でも、アイデアを持ち合う中で、結束が強まり、研修期間のすべてが実となりました。
 自分自身が変われるのは、何かのキッカケが大きく影響し、今回、この「Rengoアカデミー」への参加により、新たな価値観、そして自身の「芯」が強くなったと感じます。論文についても、提出して終わりでなく、しっかりと実行に繋げていくことが重要であると思いました。
 今回、非常に残念なことに、新型コロナウイルス感染症拡大のために、集合研修は前期のみとなり、後期はリモートでの研修・ゼミでの形式に切り替わりましたが、教育文化協会事務局の皆様に柔軟な対応をしていただいたことにより、安心して研修を終えることができました。そして、熱心に暖かくご講演頂きました先生方、第19回の受講生、また研修に参加させていただく機会を与えてくれた組織、すべてに感謝を申し上げたいと思います。
 これから参加される受講生の皆様も、キッカケは様々であるかと思いますが、せっかくのこの機会を大切にし、自分なりに活かしてください。

 今回は、コロナ禍での連合アカデミーとなりましたが、十分に学ぶことができました。また、何より産別を超えて心強い仲間ができたことは、私にとって宝となりました。貴重な経験をさせていただいた、教育文化協会事務局の皆さま、同期生の皆さま、そして貴重な時間を提供してくれた職場の皆さま、本当にありがとうございました。
 今までに類を見ないコロナ禍であるにも関わらず、事務局をはじめとする関係者の方々の迅速な「新型コロナウイルス感染」への対応・決断力、そして「新しい生活様式」での環境整備に感謝するとともに、連合アカデミーを開催する意義をより実感することができました。
 後期は、リモートでの受講(YouTube視聴)になりましたが、前期に合宿教育にて受講をしていたため、同期生との仲間意識は構築できており気軽にコミュニケーションを図ることができました。ただ、後期の授業としては一方的にYouTubeを視聴していただけなので、その時思った疑問をリアルタイムに講師に聞くことができなかったのが残念でした。(アンケート様式では質問は伝えきれないことがあるため。)
 論文では、自身の業務課題をテーマとして作成することを考えていたので、エビデンスとなるアンケート調査、分析、当事者の見解を聴き取る等、計画を立て効率良く行うことができました。しかし、いざ論文を書き始めると、とりとめもない文章となり起承転結でまとめることの難しさに直面しました。そのような中、ゼミナールの先生やメンバーから、客観的なデータを多方面から捉え、伝えたいことをまとめることを学びました。
 既に、論文に記載した内容を一部業務に反映しておりますが、論文が夢物語にならないように今後も行動していきたいと思います。
最後に、これからRengoアカデミーに参加する皆さま、やらされ感ではなく、参加する目的・意味を考え受講すれば、きっと得られるものは大きいと実感できますので、良い機会として捉えてみてください。

 今回のRengoアカデミー第19回マスターコースにおいては、前期と後期で運営が大きく変更されました。
前期については、例年どおり「メロンディアあざみ野」に参集し、連合会長をはじめとした有識者の方々の講義を受け、グループ討議を行い、さらに講義後のゼミナールで修了論文のテーマを選定、そのテーマに対して先生ならびに受講生同士で論議することで、組合活動全般に対する見識を深めることができました。個人的に一番楽しかったのは、毎日のゼミナール後の談話室(およびそれ以降)での懇親です。様々な産別出身の受講生や時には事務局の皆さんや講師の先生方も懇親に参加いただき、膝を突き合わせて意見交換を行い、仲良くなり、交流を深めることができました。
 後期については、新型コロナウイルス感染症の影響で「あざみ野」に参集できず、全てWeb形式の講義となりました。講義は各職場もしくは自宅からYouTubeにて視聴し、ゼミナールおよびゼミナール大会はZoomなどのWeb会議システムにて実施しました。Web形式で良かった点は、YouTubeによる視聴ですので、何度も見返すことができることと、講義ごとのアンケートならびに講師への質問が時間をかけて内容を精査し、記入できることです。講師および受講生同士のディスカッションについては、別途、個別にWebでの質問やWeb飲み会などで補足することもできました。後期研修については、コロナ禍における新しい研修のやり方として組合役員の立場からも参考になりました。
 最後にRengoアカデミーに参加した一番の成果についてお答えしますと、新しい人脈の開拓、人と人との繋がりの強化です。職場で仕事をしているだけでは、また組合でも単組や自産別のみの活動では関われない方々と接点を持つことができ、様々な立場からの思考・意見をいただけます。また、ゼミナールの先生を通じて、さらに新たな有識者の方々との関りを持つことができ、その有識者の方の講演(集合形式、Web形式)などを経験し、自己の知識の向上、視野の広がりに繋がっております。
 前期後期の研修で1週間が2回、それ以外にもゼミ合宿や修了論文作成などのため、業務との兼ね合いや自組織からのフォローが必要な面はあるかと思いますが、受講者にとって間違いなくプラスになりますので、積極的なRengoアカデミーの受講をお勧めいたします。

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