第18回マスターコース修了論文集

労働組合の果たすべき役割と求められる活動

登尾 直樹(情報労連 KDDI労働組合)

<概要>

 戦後の激しい労使関係の時代から労使協議制の進展による安定的な関係性の構築など、労使双方の関係性において大きく発展したにも関わらず、組織率の低下や特に若年層を中心とする組合離れなど、日本における労働組合を取り巻く環境は大きく変化してきた。
 1950年代に見られた労使双方の体力を削ぐような激しい対立型の関係性は、双方に利益をもたらすことはなく、正規雇用者を中心としたメンバーシップ型の組織形態は結果として非正規雇用者に対する組織化に後れを生み出す結果となってしまった。現在、約17%とされる労働組合の組織率を見据えた時に、社会において労働組合が果たすべき役割とは何なのか、また過去の事象だけに捉われることなく将来に対してどのような活動を行うべきなのだろうか。
 本稿では、これまでの労働組合の振り返りから、労働組合が労働者と向き合い続けることの重要性と、将来への対応として現在起こりつつある課題から労働組合がとるべき活動について考察していく。

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