第18回マスターコース修了論文集

共助機能としての日本教職員組合とその展望

野城 公良(日本教職員組合)

<概要>

 日本教職員組合は公立学校の教職員を中心として組織している、地方公務員法上の職員団体である。事実上は労働組合としての機能を有しているが、そのとりくみには特徴的な点が見受けられる。それは、とりくみを共助として行っている点である。労働組合の共助とは一般的に共済活動と理解されているが、日教組においてはそれだけではないといえる。
 日教組が行っているとりくみを共助の観点から考察すると、大別して4つに分類することができる。具体的には、メンバーシップの中での共助は資源拠出者と受益者の違いにより分けることができ、メンバーシップの外の共助は、一般的な社会貢献におさまらず、日教組、またその組合員に利益が還元される形となっている。このような形を取っていることは、日教組が教育公務員を中心に組織している労働組合である特殊性からではないかと考えられる。つまり、教育制度や教育政策の改革については、日教組独自の運動だけではなく、ステークホルダーである地域・社会の理解が必要であるからだといえる。
 今後、日教組が求める教育改革などの方針を実現するために、どのような形のとりくみをすすめていけばよいのかを最後に展望する。

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