第18回マスターコース修了論文集

すべての働く者が影響を受ける「労働法」と労働組合はどう向き合うべきなのか

堀内 克哉(JAM神奈川)

<概要>

 一般的に立場の弱い労働者を保護するために定められているはずの労働法が、1997年3月の「規制緩和推進計画(第三次)」¹では、労働立法過程における三者構成原則を逸脱し、使用者団体の要望を受けて事前に閣議決定がされ、その後、国会に提案されるという異例の経過をたどった。
 また、「働き方改革関連法案」では、労働者側代表が強く抵抗をしたものの、一部を除き、今年(2019年)4月に施行されることになった。
 日本でも労働組合の組織率の低下が叫ばれて久しいが、組織率が10%程度と日本より低いフランス²では、今現在「失業率を改善するために必要なのは、労働規制の緩和である」と主張し、企業に有利な労働規制の緩和を実施、さらには、年金受給年齢引き上げ、社会保障増税などの緊縮財政を堅持する政策を実施したマクロン大統領に対して、労働者の激しいデモが行われている。(黄色いベスト運動)
 日本でも類似した政策が実施または実施されようとしているが、デモや国民運動で抵抗しようとする気配は見えてこない。抵抗の手段のひとつとして、法源的効力の高い労働協約を締結できうる労働組合であっても、労働法に対する関心の低下が疑われ、抵抗しているとのニュースは聞こえてこない。
現在日本では、労働組合は三者構成の中の労働者側代表となっているが、このまま継続できるのか、そして未組織労働者を含めたすべての働く者の支持を得ることができるのかを検証してみたい。

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