第18回マスターコース修了論文集

平成春闘はどう変化したのか
―次の時代のアクションに向けて―

中根 雅希(日本労働組合総連合会愛知県連合会)

<概要>

 労働者の賃金を決定に大きな影響力を与える春闘、この春闘の有効性が今問われている。春闘は労働者の賃金決定機能として生まれ、労働組合として最も大きな活動の一つとして、これまで取り組まれてきた。
 労働者全体の賃金の底上げを求めた春闘は1955年に八単産共闘により発足し、ヨーロッパ並みの賃金実現を目標に取り組まれた。その取り組みは年を追うごとに勢力を増し、それに伴い社会的な影響力は非常に大きくなりながら、今日の労働者の賃金に大きな影響を与えてきた。しかし平成という時代に入り、労働者の賃金水準の向上は鈍化したどころか下降することとなった。また、社会全体の賃金底上げとして取り組んできた春闘だが、現代においては全体の平均年収の半分であるワーキングプアといった格差まで生み出されるなど、その影響力が問われることとなった。平成の中で取り組まれた春闘はなぜ「社会全体の賃金向上機能」が失われてしまったのだろうか。
 本稿では、平成に入り春闘の賃金向上機能が低下した要因とその背景を確認し、現状の課題・問題点を見出しながら新たな時代への賃金向上アクションの足がかりにする。

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