第18回マスターコース修了論文集

これからの介護人材確保策に求められること
~介護職員処遇改善加算に着目した具体的改善策の提案~

長江 彰(日本労働組合総連合会)

<概要>

 2000年に開始した介護保険制度の利用者は当初の218万人から644万人(2018年)と約3倍にまで拡大した。日本の高齢化は進展し続けており、介護サービスの需要は今後も加速度的に高まることが想定される。一方、介護分野では人材不足が慢性化している。介護分野の有効求人倍率は4.06(2018年度)と、全職業平均の1.46(同)と比較して高く、その開きは年々拡大している。ところが、介護労働者の処遇は全産業平均と比較して大幅に低く、介護人材確保に向けた処遇改善が喫緊の課題となっている。政府はこうした状況に対し、介護職員処遇改善加算等の対策を講じてきた。これによる一定の成果が報告される一方、UAゼンセン日本介護クラフトユニオンが公表した現場の組合員に対するアンケートでは、「実感がない」「金額が不十分」などの不満があげられ、現場感覚と乖離している実態がうかがわれる。
 本稿では、諸外国と比較した介護保険制度の特徴などを確認しつつ、日本におけるこれまでの処遇改善策の効果や課題、これからの介護人材確保に向けた方策について検討する。

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