第18回マスターコース修了論文集

世論の共感を得る労働運動をめざして
―日本プロ野球選手会の運動から学ぶ―

松井 裕一(日本労働組合総連合会)

<概要>

 2004年、労働組合日本プロ野球選手会(以下、選手会)は、日本プロ野球史上初のストライキを決行した。当時、笹森清連合会長は『月刊連合』の連載頁にて同年を振り返り、選手会の行動についてこう述べている。
 「われわれに忘れてしまっていた労働組合本来の闘い方を思い出させてくれたといっても過言ではない。卓越した調整力、交渉力を備えた古田敦也選手会長。経営サイドの侮蔑的で不誠実な対応。バックボーンとしての層の厚いプロ野球ファンの存在。そんな役者が揃っていたということはあるけれども、一糸乱れずストライキを決行し、経営側を交渉の場に引っ張り出し、要求通りとはいかないまでも納得できる回答を引き出せたのは、選手会の闘う姿勢が人々の共感を呼び、世論を味方につけることができたからにほかならない」。
 本論文では、選手会が取り組んだ“労働組合本来の闘い方”を当時の資料や関係者への独自インタビューにもとづいて、考察する。それとともにストライキ決行後の取り組みを把握することによって、選手会の運動から学ぶべきことがらを浮き彫りにしたい。

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