第18回マスターコース修了論文集

国際労働運動におけるJILAF招へい事業の現状と課題

加藤 岳(国際労働財団)

<概要>

 国際労働財団(以下、JILAF)は、開発途上国における自由で民主的な労働運動の発展と健全な社会・経済開発に寄与することを目的に、1989年に連合によって設立された。グローバルな市場経済が世界的に拡大する中、国際労働運動という位置づけでJILAFが果たすべき役割はますます重要になってきている。
 本稿では、まず、JILAFが行う事業の柱である招へい事業について、1989年度~2018年度に蓄積された客観的データなどを用いて、同事業がどのような変遷を経てきたのかを分析した。その結果、次のことがわかった。第一に、設立時から掲げている事業目標が約30年もの間、一貫して維持されてきたということである。第二に、与えられた資源と環境の変化に合わせてプログラムに工夫を凝らし、時勢に即した招へいプログラムを提供し続けてきたという事実である。
 次に、この現状をふまえて、今後JILAFが、国際労働運動が目指す目的に照らし合わせた招へい事業を力強く推し進めていくために、何が必要かを検討する。具体的には、これまでの事業目標を確実に継承しつつ、事業規模の維持・拡充を図り、開発途上国のニーズに合わせた開発協力を行うことを提言したい。

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