第12回マスターコース修了論文集

成熟社会における「働き方と雇用」
― 無期雇用化とキャリア形成の充実による、「民間最終消費支出」の拡大 ―

小山田 繁(情報労連 NTT労働組合 東日本本部)

<論文の概要>

 成熟した国内経済を実質的に発展させていくには、「民間最終消費支出」の拡大が、国内経済の安定化・活性化と雇用確保につながるものと認識する。
 本稿では、国内の企業と労働者に焦点を絞り、企業と労働者の双方にとって「長期かつ安定的な成長のしくみ」を目指したあり様を考えていく。
 具体的には、1988年-2012年までの労働力構成やGDPの推移、賃金比較やN社の実態等に触れるとともに、これまでの政府政策等を背景とした「正社員から非正規労働者への置き換え」と「民間最終消費支出」の伸び悩み、更には企業・職場への影響等について示し、課題を整理していく。
 「民間最終消費支出」の拡大に向けては、その太宗を占める雇用者報酬を引き上げていくことが、課題解決に向けた一つの方策であるものと仮定し、1980年代までの職能を中心とした「長期雇用と人材育成、高付加価値・高生産性とそれに報いる労働条件」の日本的経営を参考としながら、今般の労働契約法の改正をふまえた「無期雇用への転換」と雇用者報酬の引き上げに繋がる「長期雇用を前提とした昇給の仕組み」について考察する。

総目次に戻る