第12回マスターコース修了論文集

不当労働行為救済制度と現実の労使関係
― 救済命令の有効性と限界 ―

富田 竜二(UAゼンセン・AOKIグループユニオン)

<論文の概要>

 3年前、私の所属する労働組合が労働委員会に不当労働行為の救済申立てをした。件名は、「神奈川県労委 第29号事件(支配介入による脱退強要)」である。
 郊外型紳士服小売りの株式会社AOKIで起きた事件である。経営者の命令により管理職が一斉に脱退強要に動き1642名いた組合員が4カ月で225名にまで激減した。産別であるUIゼンセン同盟が全面に立ち闘争をおこなった。労働委員会は結果として、1年間における審査手続きを経て和解という結果になった。労働委員会の和解後の組合員数は400名ほどには回復したが、それ以上は増えていない。
 労働委員会の救済命令や和解の斡旋で事件は本当に解決するのか?労働委員会から命令が出た場合、その実効性はどれほどであるのか?また迅速な労使関係の回復を目的に作られたこの制度は本当に迅速に機能しているのか?
 この労働委員会での不当労働行為救済制度の内容と特徴、また不備な点をこの論文で洗い出し、自分なりの改善提案をしたい。

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