第12回マスターコース修了論文集

ジェンダー平等とILO 100号条約

鈴木 るり(連合 総合男女平等局)

<論文の概要>

 ILOはディーセント・ワークの戦略目標として、「仕事の創出、仕事における権利の保障、社会保護の拡充、社会的対話」を挙げるが、それらを貫く横断的目標として「ジェンダー平等」は位置付けられている。ILO 100号条約(同一価値の労働に対する男女労働者の同一報酬に関する条約)は、中核的労働基準の一つであり、ジェンダー平等に関する主要条約の一つでもある。日本は100号条約を1967年に批准しているが、批准から45年以上経過しているにもかかわらず、男女間賃金格差は先進国の中で最大である。日本国内において、条約の求める「同一価値労働同一賃金」の原則が反映されていないことに対し、ILOをはじめとした国際諸機関は、日本政府に対して繰り返し勧告を出し、同原則の実施を強く求めている。同一価値労働同一賃金原則は、男女間賃金格差のみならず、非正規労働者の均等・均衡待遇についても必須である。少子高齢社会を迎え、多様な正社員といった考え方も出てきており、今までの日本の賃金制度上むずかしいことを理由に回避すべき問題では最早ない。課された課題に対し、どのように取り組みを進めていくことができるか、特に労働組合として果たすべき役割は何であるかについて考察する。

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