第11回マスターコース修了論文集


高齢期を見据えた職業能力開発・生涯学習の確立をめざして

市川 千代(全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会 本部)

<論文の概要>

 少子高齢化による労働力人口の減少対策の一環として、高年齢者の就労促進が図られているが、現実は高年齢労働者の処遇や若年層への影響等、雇用の場の確保は難しくなっている。このような状況の中、就労を希望する労働者自身も主体的に職業生活設計を行い、中高年期から高齢期に至っても職務内容の変化にも対応できるよう職業能力開発・生涯学習に取り組み、就業能力を高める必要がある。また、国も能力開発対策を掲げ、企業側にも対応を求めているが、実際には公共や企業等を見ても、高年齢者対象の能力開発・生涯学習プログラムの数は少なく、対応が遅れているなどのジレンマを抱えているのではないだろうか。また、プログラムの内容も労働者のニーズからかけ離れているという問題もあるのではないだろうか。もしそうであるならば、労働者の視点に立った高齢期を見据えた職業能力開発・生涯学習の支援策を打ち出していくことが、高年齢者の就業機会の拡大につながることになろう。本論文では、日本の職業能力開発・生涯学習の実態や課題等を明らかにし、就労を希望する高年齢労働者に対し、労働組合がどのような支援をできるのかを、海外の事例等も参考にしながら考察した。そして、国・企業・労働組合が一体となった、高齢期を見据えた職業能力開発・生涯学習支援の体制づくり及び実行が必要であることを提言した。

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