教育文化協会は、連合運動の発展に資する労働者教育の全体像を構想し、その第一歩として、連合結成10周年を機に、2001年5月、連合運動の次代を担うリーダーの育成を目的に、「Rengoアカデミー・マスターコース」を開講しました。これまでに433名が受講し、修了生は現在、それぞれの立場から連合運動の一翼を担い、活躍しています。
第19回目の今回は、マスターコース開講の趣旨と会員組織や受講生からの意見・要望、過去18回取り組んだ経験・反省をふまえ、引き続き、受講生出身組織の送り出しやすさと受講生本人の参加しやすさを基本に、①講義科目の前・後期への効果的な配置、②ゼミ生同士の自主的な議論・研究に資する自主研究枠の確保に努め、合宿日程の効果的編成を心がけました。
第19回マスターコース・プログラムのアウトラインは以下のとおりです。
マスターコースでは、人間・歴史・世界・「場」(※)からのアプローチを重視し、受講者の分析力・構想力の醸成をはかり、問題発見と問題解決の能力向上をめざします。
自らの「考察を深めたい課題」について、ゼミナールでの担当講師からのアドバイスや他のメンバーとの意見交換等を通じて、問題意識の深耕・多角化をはかるとともに、その課題解決方法を見つけ、修了論文にまとめていきます。(「6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ」を参照)。
合宿教育をとおして受講生と講師の「人間としての結びつき」を深めます。
※「場」とは、問題を発見しその解決をはかるときの自分のスタンドポイントのこと
マスターコースは、合宿教育期間と自学・自習期間を組み合わせ1年間で修了します。
集中合宿は、前期、後期の2期制です。
前期終了後から後期開講までの間と、後期終了後から修了論文完成までの間が、自学・自習の期間となります。この期間にはそれぞれ、必修ゼミを配置しています。
必修ゼミでは、ゼミ生は自学・自習期間の成果を発表し、ゼミナール担当講師からアドバイスを受け、後期のゼミへ、さらには修了論文へとつなげていきます。
修了論文については随時、担当講師からメール等で個別指導を受けることができます。
受講生は、2020年7月1日(水)までに担当教員のチェックを経て、修了論文を提出し、教務委員長の監修を経て、9月下旬~10月上旬に予定している修了式をむかえ、1年間のプログラムを修了します。
前期、後期の合宿教育では、授業は講義とゼミナールを併用しておこないます。
講師陣には、それぞれの分野の第一人者の他に、連合会長(Rengoアカデミー校長)や連合事務局長なども加わります。
講義科目は、特別プログラムも含めて23科目です。
講義は、原則、講師からの問題提起、グループワーク、発表などを組み入れておこないます。
講義の進め方は、授業60~70分と休憩10分のサイクルが基本ですが、多少、前後することがあります。
受講生は、受講申込の際に、「考察を深めたい課題」を提出するとともに、5つのゼミナールのなかから希望するゼミを選択します。
ゼミナールは、前期3回、後期3回の計6回おこないます。ゼミナールは、原則1回2時間30分(休憩含む)です。
ゼミナールごとの必修ゼミは、前期終了後から後期開始までに原則2回、後期終了後に1回おこないます。
ゼミナールは、5名程度で編成し、担当講師の指導やゼミ生との議論をとおして各自の課題を修了論文に仕上げます。
ゼミナール大会(後期3日目)では、受講生が修了論文の骨子を発表し、ほかのゼミ担当講師から講評を受けます。その後のゼミでは、その講評も含めゼミ担当講師から指導を受けます。
合宿生活は、受講生が実行委員会をつくり運営します。
合宿期間中には、連合会長、連合事務局長、教育文化協会理事長等との交流、懇談の場を設定しています。
前期・後期を受講、修了論文を提出し教務委員長による監修を経て修了となります。
修了生には、修了証を授与します。
前期<2019年11月17日(日)~22日(金)>
[備考]
① 午後の講義終了後、実行委員会のミーティング(M)を行う。
② 前期と後期の間に「必修ゼミ」を2回行う(指導講師の判断で1回でも可)。
後期<2020年5月17日(日)~22日(金)>
[備考]
① 後期終了後に「必修ゼミ」を1回行う。
講義科目は、政策-組織-基礎の3領域、総合戦略-経済産業政策-社会労働政策-組織強化・拡大-組織運営-人間と組織-経済社会と労働の7分野から編成しています。
講義は、連合の戦略的方向性・課題を大づかみに理解し、連合の一員としての自分の役割・課題を確認することからスタートし、基礎から応用・運動へと、順次ステップアップできるように科目を配置しています。
領域 | 分野 | 科目 | (前期、後期) | 講義時間 |
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政 策 | 総 合 戦 略 | 「連合の役割・行動I」 「『安心社会』への戦略を考える」 「連合の役割・行動II」 |
(前) (前) (後) |
2時間30分 4時間 3時間30分 |
経済産業政策 | 「日本の財政と社会政策の課題」 「社会保障のとらえ方」 「グローバル経済と労使関係」 |
(前) (後) (後) |
4時間 4時間 4時間 |
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社会労働政策 | 「人材活用と人事管理の課題」 「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」 「労働者自主福祉の課題」 |
(前) (後) (後) |
4時間 3時間30分 3時間30分 |
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組 織 | 組織強化・拡大 | 「連合組織強化の課題」 「労働組合と政治」 「男女平等参画と労働組合」 「国際労働運動の課題と対応」 |
(前) (後) (後) (後) |
3時間30分 4時間 4時間 3時間30分 |
組 織 運 営 | 「組合リーダーに聞く」 | (前) | 3時間 | |
基 礎 | 人間と組織 | 「アサーティブ・トレーニング」 | (前) | 3時間30分 |
経済社会と労働 | 「歴史からみた労働組合の役割」 「労働法の基礎」 「ジェンダーと労働」 「仕事と賃金」 「労使関係の課題」 「地域と労働組合」 |
(前) (前) (前) (前) (後) (後) |
4時間30分 4時間 3時間30分 4時間 4時間 3時間30分 |
|
特別プログラム | 「論文のまとめ方」 「ゼミナール大会」 |
(前) (後) |
1時間 4時間30分 |
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合 計 | 講義21科目:78時間 特別プログラム2科目:5時間30分 | 83時間30分 |
ゼミナール | 前期3回+後期3回 =14時間 | 総時間 | 97時間30分 |
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講義21科目 | 特別プログラム2科目 | ゼミナール(6回) | 総時間 |
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77時間30分 | 5時間30分 | 14時間 | 97時間 |
講 義 日 | 科目 | 講 師 氏 名 | |
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2019年 | ☆「論文のまとめ方」 「連合の役割・行動Ⅰ」 |
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長 連合会長 中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長 |
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前 期 |
11.17(日) | ||
11.18(月) | 「アサーティブ・トレーニング」 「歴史からみた労働組合の役割」 ★ ゼミナールⅠ |
森田汐生 アサーティブ・ジャパン代表 高木郁朗 Rengoアカデミー副校長 ゼミナール担当講師 |
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11.19(火) | 「『安心社会』への戦略を考える」 「連合組織強化の課題」 ★ ゼミナールⅡ |
宮本太郎 中央大学教授 連合総合組織局 ゼミナール担当講師 |
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11.20(水) | 「日本の財政と社会政策の課題」 「労働法の基礎」 ★ 自主研究 |
佐藤滋 東北学院大学准教授 浜村彰 法政大学教授 |
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11.21(木) | 「ジェンダーと労働」 「仕事と賃金」 ★ ゼミナールⅢ |
神尾真知子 日本大学教授 石田光男 同志社大学教授 ゼミナール担当講師 |
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11.22(金) | 「人材活用と人事管理の課題」 「組合リーダーに聞く」 |
橋元秀一 國學院大學教授 産別(単組)リーダー等 高木郁朗 Rengoアカデミー副校長 |
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2020年 | 「労働組合と政治」 ★ ゼミナールⅣ |
国会議員・地方議員 連合政治センター事務局長 高木郁朗 Rengoアカデミー副校長 ゼミナール担当講師 |
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後 期 |
5.17(日) | ||
5.18(月) | 「社会保障のとらえ方」 「男女平等参画と労働組合」 ★ 自主研究 |
菅沼隆 立教大学教授 連合総合男女・雇用平等局 |
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5.19(火) | 「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」 ☆「ゼミナール大会」 ★ゼミナールⅤ |
毛塚勝利 労働法学研究者 中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長 ゼミナール担当講師 ゼミナール担当講師 |
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5.20(水) | 「グローバル経済と労使関係」 「労働者自主福祉の課題」 ★ 自主研究 |
田端博邦 東京大学名誉教授 中央労福協・労金協会・全労済 高木郁朗 Rengoアカデミー副校長 |
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5.21(木) | 「国際労働運動の課題と対応」 「労使関係の課題」 ★ ゼミナールⅥ |
連合総合国際局 中村圭介Rengoアカデミー教務委員長 ゼミナール担当講師 |
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5.22(金) | 「地域と労働組合」 「連合の役割・行動Ⅱ」 |
中村圭介Rengoアカデミー教務委員長 連合事務局長 中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長 |
禹ゼミ | テーマ:グローバル化と日本の労働組合 | 講師:禹宗杬 埼玉大学人文社会科学研究科教授 | ||||||||
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目的 |
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課題(キーワード) | グローバリゼーション/グローバル展開/コーポレート・ガバナンス/経営戦略/雇用の多様化/キャリア・処遇の複線化/産業政策/雇用政策/欧米の労使関係/アジアの労使関係/日本の労使関係の特徴/現場の再構築/雇用・賃金・時間・生活のデザイン | |||||||||
講師略歴 |
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木本ゼミ | テーマ:少子高齢社会のなかの人間と労働組合 | 講師:木本喜美子 一橋大学名誉教授 | ||||||||||||||
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目的 |
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課題(キーワード) | 少子高齢化/未婚化・晩婚化/働くことと家族/労働市場の変動/非正規化/ジェンダー変動/若者の就業問題/女性労働問題/労働-生活時間構造/サラリーマン像の揺らぎ/ワークライフバランス | |||||||||||||||
講師略歴 |
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毛塚ゼミ | テーマ:労働法と労働組合 | 講師: 毛塚勝利 労働法学研究者 | ||||||||||
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目的 | 直面する労働問題を素材に、労働法のしくみと課題を理解するとともに、労働組合がどのように問題の解決に取り組み、ワーク・ルールを充実させていくかを考える。
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課題(キーワード) | 非雇用型就労/限定正社員/変更解約告知/解雇の金銭解決/高度プロフェッショナル労働/勤務間インターバル/副業/派遣/クラウドワーク/会社分割/事業再編/フランチャイズ/投資ファンド/社会的差別/合理的配慮/均等均衡処遇/同一労働同一賃金/ハラスメント/メンタルヘルス/労働審判/労働者代表制度/ステークホルダー民主主義 | |||||||||||
講師略歴 |
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高木ゼミ | テーマ:経済・産業と労働組合 | 講師:高木郁朗 Rengoアカデミー副校長 | ||||||||||||||
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目的 |
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課題(キーワード) | 産業構造の変化/社会構造の変化/政治構造の変化/グローバリゼーション/人口減少/市場万能主義/ワークフェア/社会的企業/ディーセントワーク/福祉ミックス/「働くことを軸とする安心社会」/社会的労働運動/ | |||||||||||||||
講師略歴 |
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橋元ゼミ | テーマ:企業・職場と労働組合 | 講師:橋元秀一 國學院大學経済学部教授 | ||||||||||
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目的 |
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課題(キーワード) | 採用/従業員構成/非正規労働者(非典型雇用)/配置/教育訓練/賃金/成果主義/人事考課/労働時間/残業協定/労使協議/経営参加/組合組織構造/組合役員 | |||||||||||
講師略歴 |
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Rengoアカデミーを受講して感じた「3つの気づき」について振り返りたいと思います。
一つ目は、日本でも有数の超豪華な講師陣による前期・後期のセッション。その顔触れは労働運動のトップ幹部から有名大学の著名人まで、普段仕事をしていてもなかなか話を聴くことが出来ない方々ばかり。労働業界で働いているにもかかわらず、目から鱗が落ちるような講義が多く、その内容をさらに対話型のグループ討議で深めるというセッションは自分に多くの気づきを与えてくれました。
二つ目は、ゼミの仲間との個別合宿です。これも、大変ユニークなプログラムで、合宿先や内容はゼミごとに決定します。私のゼミでは、共通の課題意識に沿って、それぞれの出身組織への職場訪問と意見交換の合宿を手作りで企画しました。ゼミ仲間の職場に訪問することは、文章やデータなどでは表せない人間(労働者)くさい部分を知り得ることが出来た貴重な機会であり、それを見て自分も頑張らないといけないと気づかせてくれました。その後、各々の研究課題について、夜な夜な皆で語らい合ったことも決して忘れることができません。
そして、三つ目が修了論文。卒論は大学生以来でしたが、当時はインターネットで情報を収集しつつ、コピペ貼り付けで、図などは糊付けという、本当にひどい論文でした。アカデミーの私の研究テーマは今の業務についてですが、埃にまみれた数十年前の資料を倉庫から引っ張りだしました。これまで自分がいかに自分の業務に向き合ってこなかったかという事実に気づかされました。現状に不満を漏らすのではなく、過去の実績などを客観的に分析して課題を抽出することが、これほど大事なことだとは思いませんでした。今回も、必ずしも納得のいく論文が完成したとはいえませんが、この経験は今後の業務と組織の発展に大きなヒントを与えてくれることを確信しています。受講できたことを誇りに思い、Rengoアカデミーとの出会いに心から感謝をしています。
初めにRengoアカデミーへの参加要請を受けたとき、自分が課題と感じていることをテーマとして論文を書き上げると聞き、まさに大学時代の卒論をイメージしました。もともと考えをまとめたり文章を書くことが苦手で、論文として完成させられるか大きな不安を抱えての参加となりました。その不安は見事に的中し、何度も行き詰りながら繰り返し担当教授のアドバイスを受け、やっとの思いで論文を完成させた時には、大きな達成感とともに一気に緊張が解けました。また、前期・後期の合宿では、毎日幅広い分野の講義を受ける中でそのボリュームに圧倒され、ついていくのがやっとでした。しかし、産別や単組を超えた多くの仲間たちとの意見交換や交流を通じて、自分の視野や価値観を拡げる有意義な時間を過ごすことができました。
率直に言って、自分自身の日常業務とゼミの時間の確保や論文作成を両立させることは、並大抵のことではありませんでした。仕事との兼ね合いを図りながら、とにかく、ゼミの前には日付が変わるまで執筆活動を行うなど、長期戦で気力・体力と真剣勝負でした。そんな大変な活動を何とか乗り越えることができたのは、論文作成に協力してくれた同じ組織の仲間たちや、指導に当たってくれた先生方、そして共に学んだ受講生の存在があったからです。その支えとなってくれたみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。これからも、Rengoアカデミーに参加しなければ得られなかった、知識、経験、人脈等多くの財産を、精いっぱい自分自身の人生に活かしながら進んでいきたいと思います。
これからRengoアカデミーに参加するみなさん、大変だと思うことは間違いないでしょう。しかし、自分自身を成長させる貴重な経験としてトライしてみてください。心から応援します。
参加を検討されている方の中には、職場の上司等から「次、行ってきな!」と半ば強制的に発射台に乗っている方も少なくないかもしれません。ただでさえ忙しいところに、いまさら勉強?論文?と及び腰になっても仕方ないと思います。ところが、参加を尻込みするくらい忙しくしている方こそ、この機会に一度立ち止まって自分の知識や理解を整理し、客観的に自らの取り組みを見つめなおすことで、いっそう仕事の質や密度を高めることができると感じました。講義の内容は様々ですが、具体的な社会的課題から、意外と忘れがちな連合という組織自体について、果ては労働運動の意義そのものを問い直すようなテーマまで、合宿期間中は飽きる暇もなく知識と情報が押し寄せます。グループワークを多く取り入れたカリキュラムの組み立てとなっており、否が応でも能動的に頭を働かせることが求められます。結果、日々の業務の中で埋没しがちな、労働運動に対する“初心”や“熱”を取り戻す、非常にいいきっかけになりました。
ただし実際上、一週間の合宿を2回、加えて業務外の時間に論文の執筆というのは、職場の状況や生活スタイル、家庭責任によってはかなり厳しい場合もあると思います。実際に私も障害のある家族のケアを他の家族に任せるなど、参加にあたってのハードルが高かったのは事実です(でも、なんとかなりました)。裏をかえせば、こうしたハードルを越えつつ、職場から送り出された方は非常にラッキーで恵まれた方だと言えます。あざみ野自体がきれいな場所で、宿泊施設のご飯もおいしくボリューム満点、部屋は広くて快適、部屋から講義室までは50秒(※個人差があります)。予習・復習も論文執筆も、ストレスなく集中できる環境です。積極的に楽しむほど、得られるものが大きくなると思いました。存分にこの贅沢さを満喫してください。。
マスターコース前後期の集中合宿やゼミ合宿、論文作成では、その都度、新たな学びがありました。
日々の業務に必要な労働法や財政・社会保障政策などの新しい知識の裏付けや、講師の先生たちへの質問などの遣り取りによる気付き、ゼミ生同士で話して補い合った意見発表の議論、ゼミ後の受講生や教育文化協会の皆さんとの飲みながらの業務や論文、プライベートに関する会話、朝早く近隣へのジョギングでの思考などは、それぞれ大切な体験になりました。こうした一週間単位の集中合宿へと、送り出してくれた家族や組織の方々に感謝です。
また、論文理論の実証を確かにする上で、多くの参考文献を読み、立証を進めることができたという、学びの楽しさを感じました。
日本社会や所属する組織、これからの時代における連合について、そして自分について、集中合宿中に考える機会ができたことは、新たな可能性を感じることへと繋がりました。
皆さんも自らの課題などがありましたらマスターコースで考え、他の方々との出会いの中で得られるものを導く一つの機会として下さい。
「Rengoアカデミー・マスターコース」を受講し、率直な感想としては「参加して良かった」です。労働組合役員として、普段自組織の組合員ばかりに目が向きがちですが、「Rengoアカデミー・マスターコース」において他組織の参加者、講師の方々、ゼミの先生方、事務局の方々など、さまざまな方との意見交換や議論を通じて、多角的な視点で物事を考えることの重要性をあらためて知ることができたことが最も大きい収穫だったと感じます。
プログラムでは、朝から晩まで一日を通して座学とグループディスカッションが中心です。座学では、労働組合に関わるさまざまな分野のスペシャリストから難しい内容を分かりやすく、かつ丁寧に講義いただいたことで基礎ひいては発展的な知識や教養を得ることができたと思います。また、グループディスカッションにおいて同じグループの参加者の発言から、自身には無い、あるいは補強する考え方を聞くことができ、視野を広く物事を考えることができました。座学で得ることができた知識・教養をフル活用しなければ、グループディスカッションでの議論、そして班を代表する発表に苦慮するかもしれませんが、与えられた課題に対して本気で取り組むことで、より自分のものとなったと思います。
修了論文では、ゼミナールの先生やメンバーと「どうしたらもっと良くなるか」について喧々諤々の意見交換や議論をしあいます。おそらく、参加するにあたって論文にもっとも不安を覚えるかもしれませんが、自分だけでは完成することは難しくてもゼミナールにおいて「みんなで」考えていくことによって、より良いものが書けると思いますので、自分を成長させる機会だと思ってぜひ受講してください。
最後に、お忙しい中ご講演いただいた先生方、細やかな気配り・目配りで受講生をサポートいただいた教育文化協会事務局の皆さま、苦楽をともにした受講生の皆さんにこの場を借りて感謝を申しあげます。本当にありがとうございました。