Rengoアカデミー 第19回マスターコースの概要

目次

  1. 1.マスターコースのアウトライン
  2. 2.授業プログラム(前期・後期)
  3. 3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧
  4. 4.講義科目・講師一覧
  5. 5.ゼミナールの紹介
  6. 6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ

<参考資料>第18回受講生の体験談


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1.マスターコースのアウトライン

 教育文化協会は、連合運動の発展に資する労働者教育の全体像を構想し、その第一歩として、連合結成10周年を機に、2001年5月、連合運動の次代を担うリーダーの育成を目的に、「Rengoアカデミー・マスターコース」を開講しました。これまでに433名が受講し、修了生は現在、それぞれの立場から連合運動の一翼を担い、活躍しています。
 第19回目の今回は、マスターコース開講の趣旨と会員組織や受講生からの意見・要望、過去18回取り組んだ経験・反省をふまえ、引き続き、受講生出身組織の送り出しやすさと受講生本人の参加しやすさを基本に、①講義科目の前・後期への効果的な配置、②ゼミ生同士の自主的な議論・研究に資する自主研究枠の確保に努め、合宿日程の効果的編成を心がけました。
 第19回マスターコース・プログラムのアウトラインは以下のとおりです。

視点

 マスターコースでは、人間・歴史・世界・「場」(※)からのアプローチを重視し、受講者の分析力・構想力の醸成をはかり、問題発見と問題解決の能力向上をめざします。
 自らの「考察を深めたい課題」について、ゼミナールでの担当講師からのアドバイスや他のメンバーとの意見交換等を通じて、問題意識の深耕・多角化をはかるとともに、その課題解決方法を見つけ、修了論文にまとめていきます。(「6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ」を参照)。
 合宿教育をとおして受講生と講師の「人間としての結びつき」を深めます。

※「場」とは、問題を発見しその解決をはかるときの自分のスタンドポイントのこと

年間スケジュール

 マスターコースは、合宿教育期間と自学・自習期間を組み合わせ1年間で修了します。
 集中合宿は、前期、後期の2期制です。

前期:2019年11月17日(日)~11月22日(金)の6日間
後期:2020年 5月17日(日)~ 5月22日(金)の6日間

 前期終了後から後期開講までの間と、後期終了後から修了論文完成までの間が、自学・自習の期間となります。この期間にはそれぞれ、必修ゼミを配置しています。
 必修ゼミでは、ゼミ生は自学・自習期間の成果を発表し、ゼミナール担当講師からアドバイスを受け、後期のゼミへ、さらには修了論文へとつなげていきます。
 修了論文については随時、担当講師からメール等で個別指導を受けることができます。
 受講生は、2020年7月1日(水)までに担当教員のチェックを経て、修了論文を提出し、教務委員長の監修を経て、9月下旬~10月上旬に予定している修了式をむかえ、1年間のプログラムを修了します。

授業と講師陣

 前期、後期の合宿教育では、授業は講義とゼミナールを併用しておこないます。
 講師陣には、それぞれの分野の第一人者の他に、連合会長(Rengoアカデミー校長)や連合事務局長なども加わります。

講義

 講義科目は、特別プログラムも含めて23科目です。
 講義は、原則、講師からの問題提起、グループワーク、発表などを組み入れておこないます。
 講義の進め方は、授業60~70分と休憩10分のサイクルが基本ですが、多少、前後することがあります。

ゼミナール

 受講生は、受講申込の際に、「考察を深めたい課題」を提出するとともに、5つのゼミナールのなかから希望するゼミを選択します。
 ゼミナールは、前期3回、後期3回の計6回おこないます。ゼミナールは、原則1回2時間30分(休憩含む)です。
 ゼミナールごとの必修ゼミは、前期終了後から後期開始までに原則2回、後期終了後に1回おこないます。
 ゼミナールは、5名程度で編成し、担当講師の指導やゼミ生との議論をとおして各自の課題を修了論文に仕上げます。
 ゼミナール大会(後期3日目)では、受講生が修了論文の骨子を発表し、ほかのゼミ担当講師から講評を受けます。その後のゼミでは、その講評も含めゼミ担当講師から指導を受けます。

合宿期間中の運営

 合宿生活は、受講生が実行委員会をつくり運営します。
 合宿期間中には、連合会長、連合事務局長、教育文化協会理事長等との交流、懇談の場を設定しています。

修了

 前期・後期を受講、修了論文を提出し教務委員長による監修を経て修了となります。
 修了生には、修了証を授与します。


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2.授業プログラム(素案・調整中含む) ※プログラム関係は以下同じ

前期<2019年11月17日(日)~22日(金)>

[備考]
① 午後の講義終了後、実行委員会のミーティング(M)を行う。
② 前期と後期の間に「必修ゼミ」を2回行う(指導講師の判断で1回でも可)。

後期<2020年5月17日(日)~22日(金)> 

[備考]
① 後期終了後に「必修ゼミ」を1回行う。


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3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧

 講義科目は、政策-組織-基礎の3領域、総合戦略-経済産業政策-社会労働政策-組織強化・拡大-組織運営-人間と組織-経済社会と労働の7分野から編成しています。
 講義は、連合の戦略的方向性・課題を大づかみに理解し、連合の一員としての自分の役割・課題を確認することからスタートし、基礎から応用・運動へと、順次ステップアップできるように科目を配置しています。

領域 分野 科目 (前期、後期) 講義時間
  政  策 総 合 戦 略 「連合の役割・行動I」
「『安心社会』への戦略を考える」
「連合の役割・行動II」
(前)
(前)
(後)
2時間30分
4時間
3時間30分
経済産業政策 「日本の財政と社会政策の課題」
「社会保障のとらえ方」
「グローバル経済と労使関係」
(前)
(後)
(後)
4時間
4時間
4時間
社会労働政策 「人材活用と人事管理の課題」 
「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」 
「労働者自主福祉の課題」
(前)
(後)
(後)
4時間
3時間30分
3時間30分
  組 織   組織強化・拡大 「連合組織強化の課題」
「労働組合と政治」
「男女平等参画と労働組合」
「国際労働運動の課題と対応」
(前)
(後)
(後)
(後)
3時間30分
4時間
4時間
3時間30分
組 織 運 営 「組合リーダーに聞く」 (前) 3時間
  基 礎   人間と組織 「アサーティブ・トレーニング」 (前) 3時間30分
経済社会と労働 「歴史からみた労働組合の役割」
「労働法の基礎」
「ジェンダーと労働」
「仕事と賃金」
「労使関係の課題」
「地域と労働組合」
(前)
(前)
(前)
(前)
(後)
(後)
4時間30分
4時間
3時間30分
4時間
4時間
3時間30分
特別プログラム 「論文のまとめ方」
「ゼミナール大会」
(前)
(後)
1時間
4時間30分
合 計 講義21科目:78時間 特別プログラム2科目:5時間30分 83時間30分
ゼミナール 前期3回+後期3回 =14時間 総時間 97時間30分
<参考:第18回の講義時間>
講義21科目 特別プログラム2科目 ゼミナール(6回) 総時間
77時間30分 5時間30分 14時間 97時間


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4.講義科目・講師一覧(調整中含む)

☆印は特別プログラム
★印はゼミナール
講 義 日 科目 講 師 氏 名
2019年 ☆「論文のまとめ方」
「連合の役割・行動Ⅰ」
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
連合会長
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長

11.17(日)
 11.18(月) 「アサーティブ・トレーニング」
「歴史からみた労働組合の役割」
★ ゼミナールⅠ
森田汐生 アサーティブ・ジャパン代表
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
ゼミナール担当講師
11.19(火) 「『安心社会』への戦略を考える」
「連合組織強化の課題」
★ ゼミナールⅡ
宮本太郎 中央大学教授
連合総合組織局
ゼミナール担当講師
 11.20(水) 「日本の財政と社会政策の課題」
「労働法の基礎」
★ 自主研究
佐藤滋 東北学院大学准教授
浜村彰 法政大学教授
 11.21(木) 「ジェンダーと労働」
「仕事と賃金」
★ ゼミナールⅢ
神尾真知子 日本大学教授
石田光男 同志社大学教授
ゼミナール担当講師
11.22(金) 「人材活用と人事管理の課題」
「組合リーダーに聞く」
橋元秀一 國學院大學教授
産別(単組)リーダー等
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
2020年 「労働組合と政治」


★ ゼミナールⅣ
国会議員・地方議員
連合政治センター事務局長
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
ゼミナール担当講師

5.17(日)
5.18(月) 「社会保障のとらえ方」
「男女平等参画と労働組合」
★ 自主研究
菅沼隆 立教大学教授
連合総合男女・雇用平等局
5.19(火) 「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」
☆「ゼミナール大会」

★ゼミナールⅤ
毛塚勝利 労働法学研究者
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長
ゼミナール担当講師
ゼミナール担当講師
5.20(水) 「グローバル経済と労使関係」
「労働者自主福祉の課題」

★ 自主研究
田端博邦 東京大学名誉教授
中央労福協・労金協会・全労済
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
5.21(木) 「国際労働運動の課題と対応」
「労使関係の課題」
★ ゼミナールⅥ
連合総合国際局
中村圭介Rengoアカデミー教務委員長
ゼミナール担当講師
5.22(金) 「地域と労働組合」
「連合の役割・行動Ⅱ」
中村圭介Rengoアカデミー教務委員長
連合事務局長
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長


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5.ゼミナールの紹介

 

禹ゼミ テーマ:グローバル化と日本の労働組合 講師:禹宗杬 埼玉大学人文社会科学研究科教授
目的
  1. グローバル化は通常、労働組合に不利に働く。競争を激化させ、コスト削減の圧力を強めるからである。ただし、日本より賃金の高いアメリカでさえ、企業の方針転換と政策のバックアップがあれば、中国から製造業を呼び戻すことが不可能ではないといわれる。グローバル化が進むなか、どうすれば雇用と賃金を守り、組合運動の展望を開けるか、一緒に考えたい。
  2. 展望を開くために重要な作業の一つは、国際比較の視点に立って、労使関係共通の環境と課題を理解し、日本の独自性を把握することである。世界と共有すべき日本の組合の資産は何でその固有の問題は何か、ほかの国々の試みから何を学ぶべきか、一緒に考えたい。
  3. 日本の組合は現場を大切にしてきた。いま、その現場が弱まっている。生産・サービスのグローバル展開のほか、グループ経営、人的資本投資の減少などが影響しているのはむろんである。ただし、主体的な問題もあり得る。運動の転換が求められている現在、どうすれば現場を再構築する契機をつかめるか、一緒に考えたい。
  4. 労使関係のアクターの労・使・政のうち、労側の変化への対応と自己革新が立ち遅れている傾向にある。持続可能な社会および持続可能な労使関係の構築に向け、雇用と賃金と時間と生活をどのようにデザインすべきか、一緒に考えたい。
課題(キーワード) グローバリゼーション/グローバル展開/コーポレート・ガバナンス/経営戦略/雇用の多様化/キャリア・処遇の複線化/産業政策/雇用政策/欧米の労使関係/アジアの労使関係/日本の労使関係の特徴/現場の再構築/雇用・賃金・時間・生活のデザイン
講師略歴
現 職 埼玉大学人文社会科学研究科教授
職 歴 韓国社会科学研究所研究員、埼玉大学経済学部講師、埼玉大学経済学部助教授、The Graduate School of Management (Anderson School) at UCLAの招聘研究員を歴任
著 書 『「身分の取引」と日本の雇用慣行―国鉄の事例分析―』(単著、日本経済評論社、2003年)、『日本経済の再浮上と韓国の産業』(韓国語共著、産業研究院、2008年)、『トヨタのDNA』(韓国語共著、中央books、2009年)、『公共部門における要員管理の韓日比較』(韓国語共著、韓国労働研究院、2009年)、『韓国の経営と労働』(編著、日本経済評論社、2010年)、『中国民営企業の雇用関係と企業間関係―市場経済の土台としての継続的取引の形成―』(共著、明石書店、2013年)、『現場力の再構築へ―発言と効率の視点から―』(編著、日本経済評論社、2014年)
その他 埼玉大学連合寄付講座担当教員、国際労働財団「アジアにおける労使関係と労働組合の課題プロジェクト」委員、連合総研「『日本的』雇用システムと労使関係研究会」委員、連合総研「企業行動・職場の変化と労使関係に関する研究委員会」主査、連合総研「参加保障・社会連帯型の新しい社会政策・雇用政策の大綱に関する研究委員会」委員等
木本ゼミ テーマ:少子高齢社会のなかの人間と労働組合 講師:木本喜美子 一橋大学名誉教授
目的
  1. 現代日本において、企業社会体制は変容しつつあり、少子高齢社会としての特徴がきわだってきている。労働市場の変動、地域社会の格差拡大、そして家族の大きな変容を実態として把握することを通じて、労働組合が直面する課題を考える。
  2. 特に検討を要するのは、従来の「サラリーマン」の働き方を相対化し、新しい働き方や暮らし方、生き方が、新たな価値規範と共に模索されてきている事実である。一方では高度成長期以来の旧態依然としたサラリーマン像があり、他方では正社員労働市場への参入が困難な、若者や女性たちの労働-生活者像がある。変動期の現代を把握するために両者の動きを、トータルに検討する。
  3. 本ゼミでは、主体としての人間が、階層、ジェンダー、地域差等によって分断されつつ、一人一人の一回限りの生をまっとうするために、働き方そして生き方をめぐって模索している姿を、まずもって重視したい。その上で、個々のアクターの価値規範がどのように変わろうとしているのかをつかむことによって、労働組合が担う新たな課題と社会的役割を探ることをめざす。
課題(キーワード) 少子高齢化/未婚化・晩婚化/働くことと家族/労働市場の変動/非正規化/ジェンダー変動/若者の就業問題/女性労働問題/労働-生活時間構造/サラリーマン像の揺らぎ/ワークライフバランス
講師略歴
現 職 一橋大学名誉教授
職 歴 広島大学総合科学部助手、立命館大学産業社会学部助教授、一橋大学社会学部助教授、一橋大学大学院社会学研究科教授を歴任
著 書
(単著)
『家族・ジェンダー・企業社会』(ミネルヴァ書房、1995年)、『女性労働とマネジメント』(勁草書房、2003年)等
編 著 『家族・地域のなかの女性と労働』(明石書店、2018年)、『現代日本の女性労働とジェンダー』(ミネルヴァ書房、2000年)、『社会政策のなかのジェンダー』(明石書店、2010年)
共 著 『地方に生きる若者たち-インタビューからみえてくる仕事・結婚・暮らしの未来』(旬報社、2017年)、『仕事の人類学-労働中心主義の向こうへ』(世界思想社、2016年)、『リスク社会のライフデザイン-変わりゆく家族をみすえて』(放送大学教育振興会、2014年)、『高度成長の時代1-復興と離陸』(大月書店、2010年)、『ジェンダー平等と多文化共生』(東北大学出版会、2010年)
論 文 「カンター『企業のなかの男と女』(『日本労働研究雑誌』No.669、2016年3月)」、「戦後日本における家事労働の位置を探る-企業社会・雇用労働との関連で-」(『日本フェミニスト経済学会誌』第1巻、2016年10月)、「家族の過去と現在、そして近未来-『家族賃金』観念の変容-」(『連合総研レポート』322号、2017年1月)、「ジェンダー平等と社会政策」(社会政策学会誌『社会政策』第5巻第3号(榎一江との共著)、2014年10月)
その他 博士(社会学)、学術会議連携会員、多摩市男女平等審議会副会長、中央大学非常勤講師 等
毛塚ゼミ テーマ:労働法と労働組合 講師: 毛塚勝利 労働法学研究者
目的  直面する労働問題を素材に、労働法のしくみと課題を理解するとともに、労働組合がどのように問題の解決に取り組み、ワーク・ルールを充実させていくかを考える。
  1. 「働き方改革」はなぜ提起されたか。その「改革」は的を射ているか。
  2. 今後の賃金制度・労働時間制度を労働組合はどう設計するのか。
  3. 個人就業者(請負・委託就労者)の拡大に労働組合はどう取り組むか。
  4. 情報通信技術の進展にともなう企業システムの変容・空洞化に労働組合はどう対応すべきか。
  5. 労働問題が多様化・多元化・個別化した現在、労働組合はどのように労使関係システムを整備していくべきか。
課題(キーワード) 非雇用型就労/限定正社員/変更解約告知/解雇の金銭解決/高度プロフェッショナル労働/勤務間インターバル/副業/派遣/クラウドワーク/会社分割/事業再編/フランチャイズ/投資ファンド/社会的差別/合理的配慮/均等均衡処遇/同一労働同一賃金/ハラスメント/メンタルヘルス/労働審判/労働者代表制度/ステークホルダー民主主義
講師略歴
現 職 労働法学研究者
職 歴 静岡大学法経短期大学部教授、専修大学法学部教授、中央大学法学部教授、フランクフルト大学(独)・トレント大学(伊)・法政大学大学院連帯社会インスティテュート客員教授を歴任。
著 作 「非正規労働政策と同一労働同一賃金政策の問題点」(Work&Life 2019年1号)、「労基法労働時間法制からの脱却を」(日本労働研究雑誌690号2018年)、「クラウドワークの労働法学上の検討課題」(季刊労働法259号2017年)、「限定正社員の法的問題を考える」(季刊労働法245号2014年)、「非正規労働の均等処遇問題への法理論的接近方法」(日本労働研究雑誌636号2013年)「労働契約法における労働条件変更法理の規範構造」(法学新報119巻5・6号2012年)、「公務労使関係システムの構築に関する議論の現在と問題点」(季刊労働法230号2010年)、「企業統治と労使関係システム」石田虞・大塚直編『労働と環境』(日本評論社2008年)等
編 著 『事業再構築における労働組合の役割』(中央経済社、2013年)、『企業組織再編における労働者保護』(中央経済社、2010年)、『個別労働紛争処理システムの国際比較』(日本労働研究機構、2002年)等
その他 日本労働法学会代表理事(2002~2003年)、連合総研「参加発言型社会に向けて研究会」(1995~1996年)、「新労働法制研究会」(1997~1998年)、「企業組織等の再編に伴う労働者保護法制研究会」(1999~2000年)、「労働契約法制研究会」(2004~2005年)、「企業買収・合併等による企業組織の改編と労働組合の課題に関する研究委員会」(2008~2010年)、「教職員の働き方・実態調査研究委員会」(2014-2015)、「今後の労働時間法制のあり方を考える研究委員会」(2018~2020)の各主査等
高木ゼミ テーマ:経済・産業と労働組合 講師:高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
目的
  1. 長期にわたるデフレ、グローバル不況、IT化などの技術革新、企業の海外移転、規制改革などの急激な経済環境の変化と再度にわたる政権交代をともなう政治構造の変化、人口減少社会の到来などのもとで、雇用と生活の両面で人間的な労働(ディーセントワーク)を実現しうる社会システムと経済・産業・社会政策のあり方と労働組合の役割を検討し、積極的な論議を行いたい。
  2. ナショナルセンター、産業別組織、地域組織などの各級の労働組合が経済と政治・社会面で影響力を発揮するための考え方と方法を検討し、個別企業をこえた労働組合の社会的役割を具体的に検討する。
課題(キーワード)  産業構造の変化/社会構造の変化/政治構造の変化/グローバリゼーション/人口減少/市場万能主義/ワークフェア/社会的企業/ディーセントワーク/福祉ミックス/「働くことを軸とする安心社会」/社会的労働運動/
講師略歴
現 職 日本女子大学名誉教授
職 歴 山形大学教授、日本女子大学教授を歴任
著 書 『国際労働運動』(日本経済新聞社、1973年)、『春闘論』(労働旬報社、1976年)、『労働組合の進路』(第一書林、1987年)、『新・社会民主主義の挑戦』(労働経済社、1992年)、『労働経済と労使関係』(教育文化協会、2002年)、『労働者福祉論』(教育文化協会、2005年)、『ものがたり現代労働運動史1989~1993』(明石書店、2018年)等
編 著 『自立と選択の福祉ビジョン』(平原社、1994年)、『市場・公共・人間』(第一書林、1992年)、『総評四十年史(全3巻)』(第一書林、1993年)、『ものがたり戦後労働運動史(全10巻)』(教育文化協会、1997~2000年)、『共助と連帯』(教育文化協会、2010年)等
監 修 「日本労働運動史事典」(ILEC、2015年)
「<増補改訂版>共助と連帯」(ILEC、2016年)
訳 書 『OECD図表でみる世界の社会問題Ⅰ~Ⅳ』(明石書店、2006~2017年)等
その他 (社)教育文化協会前理事、Rengoアカデミー・マスターコース前教務委員長(第1回~第10回マスターコースまで)、連合総研「協同組合の新たな展開に関する研究委員会」(2010~2011年)主査等
橋元ゼミ テーマ:企業・職場と労働組合 講師:橋元秀一 國學院大學経済学部教授
目的
  1. 労働組合の原点を確認しつつ、各自の所属する労働組合の特徴を交流することを通じて、改めてそれぞれの労働組合を相対化し客観的に把握する。
  2. それぞれの企業・職場はどのような問題や課題を抱えているのだろうか? 近年、企業や職場に起きている変化をふまえつつ、率直に出し合い交流し合いながら、今日の労働組合が直面している課題とはどのような問題であるのかを考察する。
  3. 組合員にとって、労働組合が魅力的であるとはどのような役割を組合が果たすことであるのかを検討する。組合役員の立場から離れ、一組合員の視点に立ったとき、日々の労働や職場生活において、さらには職業人生を展望した場合、労働組合は、どのような問題や課題を抱えているのだろうか? 労働組合は、そうした問題や課題をどれだけ受け止め、どのように取り組んでいるのか、検討し議論し合う。ゼミでの集団的議論を通じて、新たな視点やヒントを探りたい。
  4. 以上をふまえつつ、理論的視点、歴史的視点、組織構造的視点から、労働組合の現状と課題を明らかにすることが、本ゼミの目的である。
課題(キーワード) 採用/従業員構成/非正規労働者(非典型雇用)/配置/教育訓練/賃金/成果主義/人事考課/労働時間/残業協定/労使協議/経営参加/組合組織構造/組合役員
講師略歴
現 職 國學院大學経済学部教授
職 歴 東京都立労働研究所研究員、日本学術振興会特別研究員、(財)労働科学研究所社会科学研究部研究員、國學院大學経済学部専任講師・助教授を歴任
編 著 『人事労務管理の歴史分析』(ミネルヴァ書房)等
論 文 『労働組合の職場活動に関する研究委員会報告書―21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ-』(連合総研、2016年9月)、「第1章 労働組合の基礎的組織の現状」(連合総研『労働組合の基礎的な活動実態に関する調査研究報告書』、2016年4月)「労働組合による労働者供給事業の諸類型と可能性」(『国学院経済学』第60巻第3・4合併号、2012年3月)、「非正規従業員の組織化の動き」(『講座 現代の社会政策 第5巻 新しい公共と市民活動・労働運動』明石書店、2011年9月)、「非正規雇用問題と企業別組合の役割およびその展望」(社会政策学会誌 『社会政策』第2巻第1号、ミネルヴァ書房、2010年5月)、「企業別組合における非正規従業員の組織化事例の示すこと」(『日本労働研究雑誌』No.591、2009年10月)、「「成果主義」の実態は「能力主義管理」の整備・徹底化-真の能力主義を求めて」(『賃金制度と労働組合の取り組みに関する調査研究報告書』連合総研、2006年7月)、「社会政策学における賃金問題研究の視角と課題」(社会政策学会誌第12号『賃金問題と社会政策』2004年9月)
その他 國學院大學労供研究会座長、連合総研「21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ『労働組合の職場活動』研究委員会」主査、連合総研「「非正規労働者の組織化」-21世紀の日本の労働組合活動に関する調査研究委員会Ⅰ」副主査等


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6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ




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第18回受講生の体験談

 Rengoアカデミーを受講して感じた「3つの気づき」について振り返りたいと思います。
 一つ目は、日本でも有数の超豪華な講師陣による前期・後期のセッション。その顔触れは労働運動のトップ幹部から有名大学の著名人まで、普段仕事をしていてもなかなか話を聴くことが出来ない方々ばかり。労働業界で働いているにもかかわらず、目から鱗が落ちるような講義が多く、その内容をさらに対話型のグループ討議で深めるというセッションは自分に多くの気づきを与えてくれました。
 二つ目は、ゼミの仲間との個別合宿です。これも、大変ユニークなプログラムで、合宿先や内容はゼミごとに決定します。私のゼミでは、共通の課題意識に沿って、それぞれの出身組織への職場訪問と意見交換の合宿を手作りで企画しました。ゼミ仲間の職場に訪問することは、文章やデータなどでは表せない人間(労働者)くさい部分を知り得ることが出来た貴重な機会であり、それを見て自分も頑張らないといけないと気づかせてくれました。その後、各々の研究課題について、夜な夜な皆で語らい合ったことも決して忘れることができません。
 そして、三つ目が修了論文。卒論は大学生以来でしたが、当時はインターネットで情報を収集しつつ、コピペ貼り付けで、図などは糊付けという、本当にひどい論文でした。アカデミーの私の研究テーマは今の業務についてですが、埃にまみれた数十年前の資料を倉庫から引っ張りだしました。これまで自分がいかに自分の業務に向き合ってこなかったかという事実に気づかされました。現状に不満を漏らすのではなく、過去の実績などを客観的に分析して課題を抽出することが、これほど大事なことだとは思いませんでした。今回も、必ずしも納得のいく論文が完成したとはいえませんが、この経験は今後の業務と組織の発展に大きなヒントを与えてくれることを確信しています。受講できたことを誇りに思い、Rengoアカデミーとの出会いに心から感謝をしています。

 初めにRengoアカデミーへの参加要請を受けたとき、自分が課題と感じていることをテーマとして論文を書き上げると聞き、まさに大学時代の卒論をイメージしました。もともと考えをまとめたり文章を書くことが苦手で、論文として完成させられるか大きな不安を抱えての参加となりました。その不安は見事に的中し、何度も行き詰りながら繰り返し担当教授のアドバイスを受け、やっとの思いで論文を完成させた時には、大きな達成感とともに一気に緊張が解けました。また、前期・後期の合宿では、毎日幅広い分野の講義を受ける中でそのボリュームに圧倒され、ついていくのがやっとでした。しかし、産別や単組を超えた多くの仲間たちとの意見交換や交流を通じて、自分の視野や価値観を拡げる有意義な時間を過ごすことができました。
 率直に言って、自分自身の日常業務とゼミの時間の確保や論文作成を両立させることは、並大抵のことではありませんでした。仕事との兼ね合いを図りながら、とにかく、ゼミの前には日付が変わるまで執筆活動を行うなど、長期戦で気力・体力と真剣勝負でした。そんな大変な活動を何とか乗り越えることができたのは、論文作成に協力してくれた同じ組織の仲間たちや、指導に当たってくれた先生方、そして共に学んだ受講生の存在があったからです。その支えとなってくれたみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。これからも、Rengoアカデミーに参加しなければ得られなかった、知識、経験、人脈等多くの財産を、精いっぱい自分自身の人生に活かしながら進んでいきたいと思います。
 これからRengoアカデミーに参加するみなさん、大変だと思うことは間違いないでしょう。しかし、自分自身を成長させる貴重な経験としてトライしてみてください。心から応援します。

 参加を検討されている方の中には、職場の上司等から「次、行ってきな!」と半ば強制的に発射台に乗っている方も少なくないかもしれません。ただでさえ忙しいところに、いまさら勉強?論文?と及び腰になっても仕方ないと思います。ところが、参加を尻込みするくらい忙しくしている方こそ、この機会に一度立ち止まって自分の知識や理解を整理し、客観的に自らの取り組みを見つめなおすことで、いっそう仕事の質や密度を高めることができると感じました。講義の内容は様々ですが、具体的な社会的課題から、意外と忘れがちな連合という組織自体について、果ては労働運動の意義そのものを問い直すようなテーマまで、合宿期間中は飽きる暇もなく知識と情報が押し寄せます。グループワークを多く取り入れたカリキュラムの組み立てとなっており、否が応でも能動的に頭を働かせることが求められます。結果、日々の業務の中で埋没しがちな、労働運動に対する“初心”や“熱”を取り戻す、非常にいいきっかけになりました。
 ただし実際上、一週間の合宿を2回、加えて業務外の時間に論文の執筆というのは、職場の状況や生活スタイル、家庭責任によってはかなり厳しい場合もあると思います。実際に私も障害のある家族のケアを他の家族に任せるなど、参加にあたってのハードルが高かったのは事実です(でも、なんとかなりました)。裏をかえせば、こうしたハードルを越えつつ、職場から送り出された方は非常にラッキーで恵まれた方だと言えます。あざみ野自体がきれいな場所で、宿泊施設のご飯もおいしくボリューム満点、部屋は広くて快適、部屋から講義室までは50秒(※個人差があります)。予習・復習も論文執筆も、ストレスなく集中できる環境です。積極的に楽しむほど、得られるものが大きくなると思いました。存分にこの贅沢さを満喫してください。。

 マスターコース前後期の集中合宿やゼミ合宿、論文作成では、その都度、新たな学びがありました。
 日々の業務に必要な労働法や財政・社会保障政策などの新しい知識の裏付けや、講師の先生たちへの質問などの遣り取りによる気付き、ゼミ生同士で話して補い合った意見発表の議論、ゼミ後の受講生や教育文化協会の皆さんとの飲みながらの業務や論文、プライベートに関する会話、朝早く近隣へのジョギングでの思考などは、それぞれ大切な体験になりました。こうした一週間単位の集中合宿へと、送り出してくれた家族や組織の方々に感謝です。
 また、論文理論の実証を確かにする上で、多くの参考文献を読み、立証を進めることができたという、学びの楽しさを感じました。
 日本社会や所属する組織、これからの時代における連合について、そして自分について、集中合宿中に考える機会ができたことは、新たな可能性を感じることへと繋がりました。
 皆さんも自らの課題などがありましたらマスターコースで考え、他の方々との出会いの中で得られるものを導く一つの機会として下さい。

 「Rengoアカデミー・マスターコース」を受講し、率直な感想としては「参加して良かった」です。労働組合役員として、普段自組織の組合員ばかりに目が向きがちですが、「Rengoアカデミー・マスターコース」において他組織の参加者、講師の方々、ゼミの先生方、事務局の方々など、さまざまな方との意見交換や議論を通じて、多角的な視点で物事を考えることの重要性をあらためて知ることができたことが最も大きい収穫だったと感じます。
 プログラムでは、朝から晩まで一日を通して座学とグループディスカッションが中心です。座学では、労働組合に関わるさまざまな分野のスペシャリストから難しい内容を分かりやすく、かつ丁寧に講義いただいたことで基礎ひいては発展的な知識や教養を得ることができたと思います。また、グループディスカッションにおいて同じグループの参加者の発言から、自身には無い、あるいは補強する考え方を聞くことができ、視野を広く物事を考えることができました。座学で得ることができた知識・教養をフル活用しなければ、グループディスカッションでの議論、そして班を代表する発表に苦慮するかもしれませんが、与えられた課題に対して本気で取り組むことで、より自分のものとなったと思います。
 修了論文では、ゼミナールの先生やメンバーと「どうしたらもっと良くなるか」について喧々諤々の意見交換や議論をしあいます。おそらく、参加するにあたって論文にもっとも不安を覚えるかもしれませんが、自分だけでは完成することは難しくてもゼミナールにおいて「みんなで」考えていくことによって、より良いものが書けると思いますので、自分を成長させる機会だと思ってぜひ受講してください。
 最後に、お忙しい中ご講演いただいた先生方、細やかな気配り・目配りで受講生をサポートいただいた教育文化協会事務局の皆さま、苦楽をともにした受講生の皆さんにこの場を借りて感謝を申しあげます。本当にありがとうございました。

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