Rengoアカデミー 第18回マスターコースの概要

目次

  1. 1.マスターコースのアウトライン
  2. 2.授業プログラム(前期・後期)
  3. 3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧
  4. 4.講義科目・講師一覧
  5. 5.ゼミナールの紹介
  6. 6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ

<参考資料>第17回受講生の体験談


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1.マスターコースのアウトライン

 教育文化協会は、連合運動の発展に資する労働者教育の全体像を構想し、その第一歩として、連合結成10周年を機に、2001年5月、連合運動の次代を担うリーダーの育成を目的に、「Rengoアカデミー・マスターコース」を開講しました。これまでに409名が受講し、修了生は現在、それぞれの立場から連合運動の一翼を担い、活躍しています。
 第18回目の今回は、マスターコース開講の趣旨と会員組織や受講生からの意見・要望、過去17回取り組んだ経験・反省をふまえ、引き続き、受講生出身組織の送り出しやすさと受講生本人の参加しやすさを基本に、①講義科目の前・後期への効果的な配置、②ゼミ生同士の自主的な議論・研究に資する自主研究枠の確保に努め、合宿日程の効果的編成を心がけました。
 第18回マスターコース・プログラムのアウトラインは以下のとおりです。

視点

 マスターコースでは、人間・歴史・世界・「場」(※)からのアプローチを重視し、受講者の分析力・構想力の醸成をはかり、問題発見と問題解決の能力向上をめざします。
 自らの「考察を深めたい課題」について、ゼミナールでの担当講師からのアドバイスや他のメンバーとの意見交換等を通じて、問題意識の深耕・多角化をはかるとともに、その課題解決方法を見つけ、修了論文にまとめていきます。(「6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ」を参照)。
 合宿教育をとおして受講生と講師の「人間としての結びつき」を深めます。

※「場」とは、問題を発見しその解決をはかるときの自分のスタンドポイントのこと

年間スケジュール

 マスターコースは、合宿教育期間と自学・自習期間を組み合わせ1年間で修了します。
 集中合宿は、前期、後期の2期制です。

前期:2018年11月18日(日)~11月23日(金)の6日間
後期:2019年 5月12日(日)~ 5月17日(金)の6日間

 前期終了後から後期開講までの間と、後期終了後から修了論文完成までの間が、自学・自習の期間となります。この期間にはそれぞれ、必修ゼミを配置しています。
 必修ゼミでは、ゼミ生は自学・自習期間の成果を発表し、ゼミナール担当講師からアドバイスを受け、後期のゼミへ、さらには修了論文へとつなげていきます。
 修了論文については随時、担当講師からメール等で個別指導を受けることができます。
 受講生は、2019年7月1日(月)までに担当教員のチェックを経て、修了論文を提出し、教務委員長の監修を経て、9月下旬に予定している修了式をむかえ、1年間のプログラムを修了します。

授業と講師陣

 前期、後期の合宿教育では、授業は講義とゼミナールを併用しておこないます。
 講師陣には、それぞれの分野の第一人者の他に、連合会長(Rengoアカデミー校長)や連合事務局長なども加わります。

講義

 講義科目は、特別プログラムも含めて23科目です。
 講義は、原則、講師からの問題提起、グループワーク、発表などを組み入れておこないます。
 講義の進め方は、授業60~70分と休憩10分のサイクルが基本ですが、多少、前後することがあります。

ゼミナール

 受講生は、受講申込の際に、「考察を深めたい課題」を提出するとともに、5つのゼミナールのなかから希望するゼミを選択します。
 ゼミナールは、前期3回、後期3回の計6回おこないます。ゼミナールは、原則1回2時間30分(休憩含む)です。
 ゼミナールごとの必修ゼミは、前期終了後から後期開始までに原則2回、後期終了後に1回おこないます。
 ゼミナールは、5名程度で編成し、担当講師の指導やゼミ生との議論をとおして各自の課題を修了論文に仕上げます。
 ゼミナール大会(後期3日目)では、受講生が修了論文の骨子を発表し、ほかのゼミ担当講師から講評を受けます。その後のゼミでは、その講評も含めゼミ担当講師から指導を受けます。

合宿期間中の運営

 合宿生活は、受講生が実行委員会をつくり運営します。
 合宿期間中には、連合会長、連合事務局長、教育文化協会理事長等との交流、懇談の場を設定しています。

修了

 前期・後期を受講、修了論文を提出し教務委員長による監修を経て修了となります。
 修了者には、修了証を授与します。


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2.授業プログラム(素案・調整中含む) ※プログラム関係は以下同じ

前期<2018年11月18日(日)~23日(金)>

[備考]
① 午後の講義終了後、実行委員会のミーティング(M)を行う。
② 前期と後期の間に「必修ゼミ」を2回行う(指導講師の判断で1回でも可)。

後期<2019年5月12日(日)~17日(金)> 

[備考]
① 後期終了後に「必修ゼミ」を1回行う。


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3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧

 講義科目は、政策-組織-基礎の3領域、総合戦略-経済産業政策-社会労働政策-組織強化・拡大-組織運営-人間と組織-経済社会と労働の7分野から編成しています。
 講義は、連合の戦略的方向性・課題を大づかみに理解し、連合の一員としての自分の役割・課題を確認することからスタートし、基礎から応用・運動へと、順次ステップアップできるように科目を配置しています。

領域 分野 科目 (前期、後期) 講義時間
  政  策 総 合 戦 略 「連合の役割・行動I」
「『安心社会』への戦略を考える」
「連合の役割・行動II」
(前)
(前)
(後)
2時間
4時間
3時間30分
経済産業政策 「グローバル経済と労使関係」
「社会保障のとらえ方」
「日本の財政と社会政策の課題」
(前)
(後)
(後)
3時間30分
4時間
4時間
社会労働政策 「人材活用と人事管理の課題」 
「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」 
「労働者自主福祉の課題」
(前)
(後)
(後)
4時間
3時間30分
3時間30分
  組 織   組織強化・拡大 「連合組織強化の課題」
「労働組合と政治」
「男女平等参画と労働組合」
「国際労働運動の課題と対応」
(後)
(後)
(後)
(後)
4時間
4時間
4時間
3時間30分
組 織 運 営 「組合リーダーに聞く」 (前) 3時間
  基 礎   人間と組織 「アサーティブ・トレーニング」 (前) 3時間30分
経済社会と労働 「歴史からみた労働組合の役割」
「労働法の基礎」
「ジェンダーと労働」
「賃金の基礎」
「労使関係の課題」
「地域と労働組合」
(前)
(前)
(前)
(前)
(後)
(後)
4時間30分
4時間
3時間30分
4時間
4時間
3時間30分
特別プログラム 「論文のまとめ方」
「ゼミナール大会」
(前)
(後)
1時間
4時間30分
合 計 講義21科目:77時間30分 特別プログラム2科目:5時間30分 83時間
ゼミナール 前期3回+後期3回 =14時間 総時間 97時間
<参考:第17回の講義時間>
講義21科目 特別プログラム2科目 ゼミナール(6回) 総時間
79時間 5時間30分 14時間 98時間30分


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4.講義科目・講師一覧(調整中含む)

☆印は特別プログラム
★印はゼミナール
講 義 日 科目 講 師 氏 名
2018年 ☆「論文のまとめ方」
「連合の役割・行動Ⅰ」
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
神津里季生 連合会長
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長

11.18(日)
 11.19(月) 「アサーティブ・トレーニング」
「歴史からみた労働組合の役割」
★ ゼミナールⅠ
森田汐生 アサーティブ・ジャパン代表
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
ゼミナール担当講師
11.20(火) 「『安心社会』への戦略を考える」
「グローバル経済と労使関係」
★ ゼミナールⅡ
宮本太郎 中央大学教授
田端博邦 東京大学名誉教授
ゼミナール担当講師
 11.21(水) 「連合組織強化の課題」
「労働法の基礎」
★ 自主研究
連合総合組織局長
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長
浜村彰 法政大学教授
 11.22(木) 「ジェンダーと労働」
「賃金の基礎」
★ ゼミナールⅢ
神尾真知子 日本大学教授
石田光男 同志社大学教授
ゼミナール担当講師
11.23(金) 「人材活用と人事管理の課題」
「組合リーダーに聞く」
橋元秀一 國學院大學教授
産別(単組)リーダー等
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
2019年 「労働組合と政治」


★ ゼミナールⅣ
国会議員
連合政治センター事務局長
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
ゼミナール担当講師

5.12(日)
5.13(月) 「社会保障のとらえ方」
「男女平等参画と労働組合」
★ 自主研究
講師調整中・日程変更の可能性あり
連合総合男女・雇用平等局長
5.14(火) 「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」
☆「ゼミナール大会」

★ゼミナールⅤ
毛塚勝利 法政大学大学院連帯社会インスティテュート客員教授
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長
ゼミナール担当講師
ゼミナール担当講師
5.15(水) 「日本の財政と社会政策の課題」
「労働者自主福祉の課題」
★ 自主研究
講師調整中・日程変更の可能性あり
講師調整中・日程変更の可能性あり
5.16(木) 「国際労働運動の課題と対応」
「労使関係の課題」
★ ゼミナールⅥ
鈴木則之 連合国際アドバイザー
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長
ゼミナール担当講師
5.17(金) 「地域と労働組合」
「連合の役割・行動Ⅱ」
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長
相原康伸 連合事務局長
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長


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5.ゼミナールの紹介

 

禹ゼミ テーマ:グローバル化と日本の労働組合 講師:禹宗杬 埼玉大学人文社会科学研究科教授
目的
  1. グローバル化は通常、労働組合に不利に働く。競争を激化させ、コスト削減の圧力を強めるからである。ただし、日本より賃金の高いアメリカでさえ、企業の方針転換と政策のバックアップがあれば、中国から製造業を呼び戻すことが不可能ではないといわれる。グローバル化が進むなか、どうすれば雇用と賃金を守り、組合運動の展望を開けるか、一緒に考えたい。
  2. 展望を開くために重要な作業の一つは、国際比較の視点に立って、労使関係共通の環境と課題を理解し、日本の独自性を把握することである。世界と共有すべき日本の組合の資産は何でその固有の問題は何か、ほかの国々の試みから何を学ぶべきか、一緒に考えたい。
  3. 日本の組合は現場を大切にしてきた。いま、その現場が弱まっている。生産・サービスのグローバル展開のほか、グループ経営、人的資本投資の減少などが影響しているのはむろんである。ただし、主体的な問題もあり得る。運動の転換が求められている現在、どうすれば現場を再構築する契機をつかめるか、一緒に考えたい。
  4. 労使関係のアクターの労・使・政のうち、労側の変化への対応と自己革新が立ち遅れている傾向にある。持続可能な社会および持続可能な労使関係の構築に向け、雇用と賃金と時間と生活をどのようにデザインすべきか、一緒に考えたい。
課題(キーワード) グローバリゼーション/グローバル展開/コーポレート・ガバナンス/経営戦略/雇用の多様化/キャリア・処遇の複線化/産業政策/雇用政策/欧米の労使関係/アジアの労使関係/日本の労使関係の特徴/現場の再構築/雇用・賃金・時間・生活のデザイン
講師略歴
現 職 埼玉大学人文社会科学研究科教授
職 歴 韓国社会科学研究所研究員、埼玉大学経済学部講師、埼玉大学経済学部助教授、The Graduate School of Management (Anderson School) at UCLAの招聘研究員を歴任
著 書 『「身分の取引」と日本の雇用慣行―国鉄の事例分析―』(単著、日本経済評論社、2003年)、『日本経済の再浮上と韓国の産業』(韓国語共著、産業研究院、2008年)、『トヨタのDNA』(韓国語共著、中央books、2009年)、『公共部門における要員管理の韓日比較』(韓国語共著、韓国労働研究院、2009年)、『韓国の経営と労働』(編著、日本経済評論社、2010年)、『中国民営企業の雇用関係と企業間関係―市場経済の土台としての継続的取引の形成―』(共著、明石書店、2013年)、『現場力の再構築へ―発言と効率の視点から―』(編著、日本経済評論社、2014年)
その他 埼玉大学連合寄付講座担当教員、国際労働財団「アジアにおける労使関係と労働組合の課題プロジェクト」委員、連合総研「『日本的』雇用システムと労使関係研究会」委員、連合総研「企業行動・職場の変化と労使関係に関する研究委員会」主査、連合総研「参加保障・社会連帯型の新しい社会政策・雇用政策の大綱に関する研究委員会」委員等
木本ゼミ テーマ:少子高齢社会のなかの人間と労働組合 講師:木本喜美子 一橋大学名誉教授
目的
  1. バブル経済の崩壊後、企業社会は変容し、また少子高齢社会としての特徴がきわだってきている。過去20年間の労働市場の変動、地域社会の格差拡大、そして家族の大きな変容を実態として把握することを通じて、労働組合が直面する課題を考える。
  2. 特に検討を要するのは、従来の「サラリーマン」の働き方を相対化し、新しい働き方や暮らし方、生き方が、新たな価値規範と共に模索されてきている事実である。一方では高度成長期以来の旧態依然としたサラリーマン像があり、他方では正社員労働市場への参入が困難な、若者や女性たちの労働-生活者像がある。変動期の現代を把握するために両者の動きを、トータルに検討する。
  3. 本ゼミでは、主体としての人間が、階層、ジェンダー、地域差等によって分断されつつ、一人一人の一回限りの生をまっとうするために、働き方そして生き方をめぐって模索している姿を、まずもって重視したい。その上で、個々のアクターの価値規範がどのように変わろうとしているのかをつかむことによって、労働組合が担う新たな課題と社会的役割を探ることをめざす。
課題(キーワード) 少子高齢化/未婚化・晩婚化/働くことと家族/労働市場の変動/非正規化/ジェンダー変動/若者の就業問題/女性労働問題/労働-生活時間構造/サラリーマン像の揺らぎ/ワークライフバランス
講師略歴
現 職 一橋大学名誉教授
職 歴 広島大学総合科学部助手、立命館大学産業社会学部助教授、一橋大学社会学部助教授、一橋大学大学院社会学研究科教授を歴任
著 書
(単著)
『家族・ジェンダー・企業社会』(ミネルヴァ書房、1995年)、『女性労働とマネジメント』(勁草書房、2003年)等
編 著 『家族・地域のなかの女性と労働』(明石書店、2018年)、『現代日本の女性労働とジェンダー』(ミネルヴァ書房、2000年)、『社会政策のなかのジェンダー』(明石書店、2010年)
共 著 『地方に生きる若者たち-インタビューからみえてくる仕事・結婚・暮らしの未来』(旬報社、2017年)、『仕事の人類学-労働中心主義の向こうへ』(世界思想社、2016年)、『リスク社会のライフデザイン-変わりゆく家族をみすえて』(放送大学教育振興会、2014年)、『高度成長の時代1-復興と離陸』(大月書店、2010年)、『ジェンダー平等と多文化共生』(東北大学出版会、2010年)
論 文 「カンター『企業のなかの男と女』(『日本労働研究雑誌』No.669、2016年3月)」、「戦後日本における家事労働の位置を探る-企業社会・雇用労働との関連で-」(『日本フェミニスト経済学会誌』第1巻、2016年10月)、「家族の過去と現在、そして近未来-『家族賃金』観念の変容-」(『連合総研レポート』322号、2017年1月)、「ジェンダー平等と社会政策」(社会政策学会誌『社会政策』第5巻第3号(榎一江との共著)、2014年10月)
その他 博士(社会学)、学術会議連携会員、日本社会学会監事、多摩市男女平等審議会副会長、中央大学非常勤講師 等
毛塚ゼミ テーマ:労働法と労働組合 講師: 毛塚勝利 法政大学大学院連帯社会インスティテュート客員教授
目的  直面する労働問題を素材に、労働法のしくみと課題を理解するとともに、労働組合がどのように問題の解決に取り組み、ワーク・ルールを充実させていくかを考える。
  1. 安倍政権の雇用分野の規制緩和にどう対応するか。
  2. ホワイトカラーの賃金・労働時間制度はどうあるべきか。
  3. 非正規雇用・就業の拡大に労働組合はどう対応すべきか。
  4. ワーク・ライフ・バランスの実現の法政策の中核はなにか。
  5. 会社の合併・分割、事業譲渡、M&A等に労働組合はどう対応すべきか。
  6. 労働問題が多様化・多元化・個別化した現在、労働組合はどのように労使関係システムを整備していくべきか。
課題(キーワード) 限定正社員/解雇の金銭解決/ホワイトカラー・エグゼンプション/派遣労働/同一労働同一賃金/会社分割/事業譲渡/投資ファンド/雇用差別/間接差別/障害者差別/高齢者雇用/ハラスメント/過労自殺/メンタルヘルス/労働審判/労働契約法/変更解約告知/労働者代表制度/ステークホルダー民主主義
講師略歴
現 職 法政大学大学院連帯社会インスティテュート客員教授
職 歴 静岡大学法経短期大学部教授、専修大学法学部教授、中央大学法学部教授を歴任。
著 作 「限定正社員の法的問題を考える」(季刊労働法245号、2014年)、「非正規労働の均等処遇問題への法理論的接近方法」(日本労働研究雑誌636号、2013年)「労働契約法における労働条件変更法理の規範構造」(法学新報119巻5・6号2012年)、「公務労使関係システムの構築に関する議論の現在と問題点」(季刊労働法230号、2010年)、「企業統治と労使関係システム」石田虞・大塚直編『労働と環境』(日本評論社、2008年)等
編 著 『新現代労働法入門』(法律文化社、2010年)、『企業組織再編における労働者保護』(中央経済社、2010年)、『個別労働紛争処理システムの国際比較』(日本労働研究機構、2002年)等
その他 日本労働法学会代表理事(2002~2003年)、連合総研「参加発言型社会に向けて研究会」(1995~1996年)、「新労働法制研究会」(1997~1998年)、「企業組織等の再編に伴う労働者保護法制研究会」(1999~2000年)、「労働契約法制研究会」(2004~2005年)、「企業買収・合併等による企業組織の改編と労働組合の課題に関する研究委員会」(2008~2010年)、「教職員の働き方・実態調査研究委員会」(2014-2015)の各主査等
高木ゼミ テーマ:経済・産業と労働組合 講師:高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
目的
  1. 長期にわたるデフレ、グローバル不況、IT化などの技術革新、企業の海外移転、規制改革などの急激な経済環境の変化と再度にわたる政権交代をともなう政治構造の変化、人口減少社会の到来などのもとで、雇用と生活の両面で人間的な労働(ディーセントワーク)を実現しうる社会システムと経済・産業・社会政策のあり方と労働組合の役割を検討し、積極的な論議を行いたい。
  2. ナショナルセンター、産業別組織、地域組織などの各級の労働組合が経済と政治・社会面で影響力を発揮するための考え方と方法を検討し、個別企業をこえた労働組合の社会的役割を具体的に検討する。
課題(キーワード)  産業構造の変化/社会構造の変化/政治構造の変化/グローバリゼーション/人口減少/市場万能主義/ワークフェア/社会的企業/ディーセントワーク/福祉ミックス/「働くことを軸とする安心社会」/社会的労働運動/
講師略歴
現 職 日本女子大学名誉教授
職 歴 山形大学教授、日本女子大学教授を歴任
著 書 『国際労働運動』(日本経済新聞社、1973年)、『春闘論』(労働旬報社、1976年)、『労働組合の進路』(第一書林、1987年)、『新・社会民主主義の挑戦』(労働経済社、1992年)、『労働経済と労使関係』(教育文化協会、2002年)、『労働者福祉論』(教育文化協会、2005年)、『ものがたり現代労働運動史1989~1993』(明石書店、2018年)等
編 著 『自立と選択の福祉ビジョン』(平原社、1994年)、『市場・公共・人間』(第一書林、1992年)、『総評四十年史(全3巻)』(第一書林、1993年)、『ものがたり戦後労働運動史(全10巻)』(教育文化協会、1997~2000年)、『共助と連帯』(教育文化協会、2010年)等
監 修 「日本労働運動史事典」(ILEC、2015年)
「<増補改訂版>共助と連帯」(ILEC、2016年)
訳 書 『OECD図表でみる世界の社会問題Ⅰ~Ⅳ』(明石書店、2006~2017年)等
その他 (社)教育文化協会前理事、Rengoアカデミー・マスターコース前教務委員長(第1回~第10回マスターコースまで)、連合総研「協同組合の新たな展開に関する研究委員会」(2010~2011年)主査等
橋元ゼミ テーマ:企業・職場と労働組合 講師:橋元秀一 國學院大學経済学部教授
目的
  1. 労働組合の原点を確認しつつ、各自の所属する労働組合の特徴を交流することを通じて、改めてそれぞれの労働組合を相対化し客観的に把握する。
  2. それぞれの企業・職場はどのような問題や課題を抱えているのだろうか? 近年、企業や職場に起きている変化をふまえつつ、率直に出し合い交流し合いながら、今日の労働組合が直面している課題とはどのような問題であるのかを考察する。
  3. 組合員にとって、労働組合が魅力的であるとはどのような役割を組合が果たすことであるのかを検討する。組合役員の立場から離れ、一組合員の視点に立ったとき、日々の労働や職場生活において、さらには職業人生を展望した場合、労働組合は、どのような問題や課題を抱えているのだろうか? 労働組合は、そうした問題や課題をどれだけ受け止め、どのように取り組んでいるのか、検討し議論し合う。ゼミでの集団的議論を通じて、新たな視点やヒントを探りたい。
  4. 以上をふまえつつ、理論的視点、歴史的視点、組織構造的視点から、労働組合の現状と課題を明らかにすることが、本ゼミの目的である。
課題(キーワード) 採用/従業員構成/非正規労働者(非典型雇用)/配置/教育訓練/賃金/成果主義/人事考課/労働時間/残業協定/労使協議/経営参加/組合組織構造/組合役員
講師略歴
現 職 國學院大學経済学部教授
職 歴 東京都立労働研究所研究員、日本学術振興会特別研究員、(財)労働科学研究所社会科学研究部研究員、國學院大學経済学部専任講師・助教授を歴任
編 著 『人事労務管理の歴史分析』(ミネルヴァ書房)等
論 文 『労働組合の職場活動に関する研究委員会報告書―21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ-』(連合総研、2016年9月)、「第1章 労働組合の基礎的組織の現状」(連合総研『労働組合の基礎的な活動実態に関する調査研究報告書』、2016年4月)「労働組合による労働者供給事業の諸類型と可能性」(『国学院経済学』第60巻第3・4合併号、2012年3月)、「非正規従業員の組織化の動き」(『講座 現代の社会政策 第5巻 新しい公共と市民活動・労働運動』明石書店、2011年9月)、「非正規雇用問題と企業別組合の役割およびその展望」(社会政策学会誌 『社会政策』第2巻第1号、ミネルヴァ書房、2010年5月)、「企業別組合における非正規従業員の組織化事例の示すこと」(『日本労働研究雑誌』No.591、2009年10月)、「「成果主義」の実態は「能力主義管理」の整備・徹底化-真の能力主義を求めて」(『賃金制度と労働組合の取り組みに関する調査研究報告書』連合総研、2006年7月)、「社会政策学における賃金問題研究の視角と課題」(社会政策学会誌第12号『賃金問題と社会政策』2004年9月)
その他 國學院大學労供研究会座長、連合総研「21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ『労働組合の職場活動』研究委員会」主査、連合総研「「非正規労働者の組織化」-21世紀の日本の労働組合活動に関する調査研究委員会Ⅰ」副主査等


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6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ




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第17回受講生の体験談

 労働組合組織に入局して3年が経過したものの、日々目の前の業務をこなすことに手一杯で、労働運動の全体像については理解が不十分であることを感じている中で、アカデミー修了者でもある上司から第17回マスターコースの参加を勧められました。職場の修了者の方々からも「とても良い学習機会だから頑張って」と勧められたことも受講の後押しとなりました。
 業務との両立には不安もありましたが、同僚や上司からも協力を得ることができ、なんとか修了することができました。
 これまでも研修等を受講する機会はありましたが、「Rengoアカデミー・マスターコース」は、2度の合宿やゼミナール単位での学習、論文の作成など、質、量ともに、明らかに他のものとは異なっていました。
 合宿前に届く学習資料の多さに、社会人になってあまり学習をしていなかった私は衝撃を受けたものの、講師の先生方は経験豊富な方が多く、労働運動について基礎から体系的に学ぶことができました。また、全国のいろいろな組織から参加している受講生とグループディスカッションや交流を行ったことで、多様な考え方や取り組みに触れることができ、座学のみでは得られない学びを得ることができました。こうした部分にも合宿で学ぶことの意義があったと思います。
 文章作成に苦手意識があったこともあり、論文作成中は苦しいことも多かったのですが、ゼミナールのメンバーと受講期間全体を通じて率直な意見交換を行い、お互いに励まし合えたことで、何とか完成までたどり着くことができました。論文作成を通じて、自身の考え整理し、人に理解してもらう形にすることの重要性を認識することができました。論文作成にあたり、最後まで的確で粘り強い指導をしていただいたゼミナール指導担当の先生には大変感謝しています。
 社会人になってからここまで学習に集中できる環境に身を置く機会はなかなかないと思います。「Rengoアカデミー・マスターコース」受講を検討されている皆さまにおかれては、多忙な業務を行いながら、受講することに不安もあると思いますが、労働運動に関わる者が視野を広げることができる、大変貴重な機会であり、受講する価値は十分あると思います。是非前向きにご検討いただければと思います。

 「Rengoアカデミー・第17回マスターコース」への参加が決まり、授業プログラムがスタートするまで不安な気持ちだったのを懐かしく思います。1週間の合宿と組合業務との両立ができるのか。大学に進学していない身として、論文やゼミが何であるのかイメージが出来ないことが不安だったのです。加えて、前期の合宿の前に届く資料の多いこと。プログラムについていけるのかますます不安になったのを覚えています。
 プログラムでは、各方面のスペシャリストが丁寧に理解しやすいように講義を行なって下さったおかげで、専門的な知識を多く得ることができました。自分からではなかなか手を伸ばさないような、でも、労働組合役員にとって知っておいて損はない貴重な話ばかりだったことが印象的でした。私にとっては、すでに幾つかの知識はその後の組合業務の中で活きていることからも、本当に厳選された教育内容となっているのではないかと感じています。何より前期と後期を合わせて2週間という時間を労働組合に関わるものについて真正面から考え抜く時間は、誰もが経験できるものではなくマスターコースを受講する人にのみ与えられた特権であり、贅沢な時間だったと思っています。
 とはいうものの、論文作成は苦労の一言でした。これから受講するみなさんに簡単でしたよ、なんていう無責任なことは言えません。多くの時間を費やしましたし、ある程度の苦しさは覚悟する必要があると思います。私が論文作成で感じたことは、自分が本当に書きたいことを書くことの難しさです。文章を作成するうちに、いつの間にか自分が伝えたいことが言葉になっていないことも多々ありました。でも、安心してください。道から外れそうになったときは、ゼミを担当して頂く先生や同じゼミ生がたくさんのヒントを出してくれます。私でもなんとか論文を作成することができたのは、そのおかげです。とても大変だった論文作成でしたが、学んだものも大きかったと思います。何を伝えたいかということを何度も自問自答して、これを伝えたい!というものを自分の中に創ることできれば、自分が伝えたいことをちゃんと伝えられるということです。
 これからマスターコースを受講するみなさん、脅かすようで申し訳ありませんが確かに大変です。でも、大変な分だけ得るものも大きいと思います。知識と経験、そして、かけがえのない仲間です。苦労もありましたが、マスターコースを受講しなければ得ることができなかった体験をすることができたことは、人生の財産になると感じています。労働組合に携わるもっと多くの仲間に同じような体験をしてもらえればとも思います。
 とりとめのない体験談となってしまいましたが、最後に多くの知識を教授してくださった先生方、常にサポートしてくださった事務局の教育文化協会の皆様、苦楽を共にした受講生の仲間たちに感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 「Rengoアカデミー・第17回マスターコース」を受講した約一年間という期間を振り返ってみると、これまで「Rengoアカデミー・マスターコース」を受講してきた先輩達からの経験談のとおり、日常の業務を行いながら、論文を作成するということは大変な苦労がありました。しかし、それ以上に大変充実した期間を過ごすことが出来たと考えています。
 前期・後期に分けて合宿を行い、朝から夕方までは各講義を受けて、夕方からは各ゼミに分かれて自分の論文作成とゼミの仲間の論文をともに考え、意見を出し合いながら作成していくというものでありました。この機会がなかったら教わることの出来ない先生方の講義は労働運動に係わる一人として貴重な経験を得ることが出来ました。そして、ゼミの先生や仲間からの助言や意見交換がなければ論文作成まで至らなかったと思います。
 また、ゼミ終了後の懇親の場においては、他のゼミの仲間とともに様々な意見交換が出来て他産別等の状況を知ることが出来るとともに、多くの出会いが生まれました。
 Rengoアカデミー同期の仲間には連合主催のセミナーでも顔を合わせますし、これまでお付き合いの無かった他産別の方とRengoアカデミー同期の仲間を通じて仲良くお付き合いさせて頂けることは非常に有り難いです。
 この出会いこそが、「Rengoアカデミー・第17回マスターコース」最大の財産であったと思います。
 今後、「Rengoアカデミー・マスターコース」を受講する皆様は、はじめは論文を作成するということに不安を感じる方もいらっしゃると思いますが、「Rengoアカデミー・マスターコース」でしか味わえない貴重な経験を得ることが出来ます。
 何より、他組織の方々と仲間になれる絶好の機会ですので、これから出会う仲間達と素晴らしい時間を共有して下さい。

 「Rengoアカデミー・第17回マスターコース」は、講義やゼミナール、論文執筆等、質量ともに中味が濃く、充実した期間を過ごすことができました。
 講義については、労働運動の歴史や労働組合の意義といった基本から、労働法、労働者福祉、ジェンダー論、経済学、社会保障、政治といった具体論や運動論、政策論議等、応用まで深めるカリキュラムでした。社会人として、また、組合役員として過ごしてきたにもかかわらず、自分の知識や理解の乏しさを痛感しましたが、講義における講師陣の丁寧で分かりやすい説明や受講生への課題の投げかけにより、専門知識と、自分の頭で考え抜くことや視野を広げて多面的に物事を考える習慣を獲得できたと思います。
 講義でのグループワークとゼミナールでのディスカッションは、自分とは異なる意見を持つメンバーとの交流により、異なる意見に耳を傾け他者を尊重すること、他者と協同して良い解決策を探ることの大切さを再度気づかされました。
 Rengoアカデミーでは、カリキュラムの集大成として、自分の問題意識にもとづいて論文を執筆しますが、担当教授の視野が広く、深い理解にもとづく的確なアドバイスや、ゼミナールのメンバーによる異なる視点によるアドバイスと励ましはとても力強く、不安や悩みを乗り越えて最後まで書き上げることができました。
 本カリキュラムは、前期・後期で講義とゼミナールを朝から晩までの過密日程で行ないますが、職場を離れて集中した環境において、仲間とともに学び、運動や社会的な課題に向き合うことは、仕事と家庭を往復する日常生活では経験できない貴重な体験であり有意義でした。
 また、産別の枠を越えた素晴らしい仲間達に出会い、講義終了後も懇親の場等で様々な意見交換・情報交換で他産別・他組織の取り組みや課題を知り、自分の行動への気づき・参考になったのは財産といえます。
 最後になりますが、事務局の教育文化協会、各講師、そして、職場を外すことに理解いただいた同僚・上司の皆さんに深く感謝申し上げます。
 第18回マスターコースを受講する皆さん、最初は不安な気持ちでしょうが、自分を成長させる大きなチャンスですので、勇気をもって新たな世界に飛び込んでください。

 「『Rengoアカデミー・マスターコース』に参加してほしい」と言われ、断れる雰囲気ではなかったため渋々参加することにしました。その後、届いたテキストの量と内容が難解すぎて講義についていけるのか不安になり、受講する前に自信がなくなってしまいました。
 そんな不安のなかスタートした講義でしたが、ゼミの仲間達が私と同じような不安を抱えながら受講していることを知りました。一人ではないことに勇気を得て仲間との距離がグッと近くなり、すぐに打ち解けました。
 実際の講義は経済、社会、福祉、法律、歴史、国際など幅広く、かつ深く掘り下げて学べました。これまで他のセミナーや研修で理解していたつもりの知識では意味がないことを痛感しました。同時に、知識を得るだけではなく、つねに自分自身に問題を投げかけることにより“他人事”ではなく“自分事”と捉え具体的な解決策を考察することができました。
 最後までまとめ上げられるのか不安だった修了論文が完成したとき、このマスターコースを受講したことにより自分が成長したことを実感しました。もちろん、自分一人の力ではここまでたどり着けなかったと思います。ゼミの先生の的確なアドバイスとヒントにかなり助けられたと感謝しています。
 また、ゼミの仲間達にたくさん励まされました。ときには相談しあい共に乗り越えた連帯感があってこそ、挫折することなく完成できました。もし受講するどうか悩んでいるのであれば、思い切って受講してください。「大丈夫、仲間がいます」。

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