Rengoアカデミー 第16回マスターコースの概要

目次

  1. 1.マスターコースのアウトライン
  2. 2.授業プログラム(前期・後期)
  3. 3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧
  4. 4.講義科目・講師一覧
  5. 5.ゼミナールの紹介
  6. 6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ

<参考資料>第16回受講生の体験談


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1.マスターコースのアウトライン

 教育文化協会は、連合運動の発展に資する労働者教育の全体像を構想し、その第一歩として、連合結成10周年を機に、2001年5月、連合運動の次代を担うリーダーの育成を目的に、「Rengoアカデミー・マスターコース」を開講しました。これまでに387名が受講し、修了生は現在、それぞれの立場から連合運動の一翼を担い、活躍しています。
 第17回目の今回は、マスターコース開講の趣旨と会員組織や受講生からの意見・要望、過去16回取り組んだ経験・反省をふまえ、引き続き、受講生出身組織の送り出しやすさと受講生本人の参加しやすさを基本に、①講義科目の前・後期への効果的な配置、②ゼミ生同士の自主的な議論・研究に資する自主研究枠の確保に努め、合宿日程の効果的編成を心がけました。
 第17回マスターコース・プログラムのアウトラインは以下のとおりです。

視点

 マスターコースでは、人間・歴史・世界・「場」(※)からのアプローチを重視し、受講者の分析力・構想力の醸成をはかり、問題発見と問題解決の能力向上をめざします。
 自らの「考察を深めたい課題」について、ゼミナールでの担当講師からのアドバイスや他のメンバーとの意見交換等を通じて、問題意識の深耕・多角化をはかるとともに、その課題解決方法を見つけ、修了論文にまとめていきます。(「6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ」を参照)。
 合宿教育をとおして受講生と講師の「人間としての結びつき」を深めます。

※「場」とは、問題を発見しその解決をはかるときの自分のスタンドポイントのこと

年間スケジュール

 マスターコースは、合宿教育期間と自学・自習期間を組み合わせ1年間で修了します。
 集中合宿は、前期、後期の2期制です。

前期:2017年11月19日(日)~11月24日(金)の6日間
後期:2018年 5月13日(日)~ 5月18日(金)の6日間

 前期終了後から後期開講までの間と、後期終了後から修了論文完成までの間が、自学・自習の期間となります。この期間にはそれぞれ、必修ゼミを配置しています。
 必修ゼミでは、ゼミ生は自学・自習期間の成果を発表し、ゼミナール担当講師からアドバイスを受け、後期のゼミへ、さらには修了論文へとつなげていきます。
 修了論文については随時、担当講師からメール等で個別指導を受けることができます。
 受講生は、2018年7月2日(月)までに修了論文を提出し、教務委員長の監修を経て、9月下旬に予定している修了式をむかえ、1年間のプログラムを修了します。

授業と講師陣

 前期、後期の合宿教育では、授業は講義とゼミナールを併用しておこないます。
 講師陣には、それぞれの分野の第一人者の他に、連合会長(Rengoアカデミー校長)や連合事務局長なども加わります。

講義

 講義科目は、特別プログラムも含めて23科目です。
 講義は、原則、講師からの問題提起、グループワーク、発表などを組み入れておこないます。
 講義の進め方は、授業60~70分と休憩10分のサイクルが基本ですが、多少、前後することがあります。

ゼミナール

 受講生は、受講申込の際に、「考察を深めたい課題」を提出するとともに、5つのゼミナールのなかから希望するゼミを選択します。
 ゼミナールは、前期3回、後期3回の計6回おこないます。ゼミナールは、原則1回2時間30分(休憩含む)です。
 ゼミナールごとの必修ゼミは、前期終了後から後期開始までに原則2回、後期終了後に1回おこないます。
 ゼミナールは、5名程度で編成し、担当講師の指導やゼミ生との議論をとおして各自の課題を修了論文に仕上げます。
 ゼミナール大会(後期3日目)では、受講生が修了論文の骨子を発表し、ほかのゼミ担当講師から講評を受けます。その後のゼミでは、その講評も含めゼミ担当講師から指導を受けます。

合宿期間中の運営

 合宿生活は、受講生が実行委員会をつくり運営します。
 合宿期間中には、連合会長、連合事務局長、教育文化協会理事長等との交流、懇談の場を設定しています。

修了

 前期・後期を受講、修了論文を提出し教務委員長による監修を経て修了となります。
 修了者には、修了証を授与します。


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2.授業プログラム(調整中含む)

前期<2017年11月19日(日)~24日(金)>

[備考]
① 午後の講義終了後、実行委員会のミーティング(M)を行う。
② 前期と後期の間に「必修ゼミ」を2回行う(指導講師の判断で1回でも可)。

後期<2018年5月13日(日)~18日(金)> 

[備考]
① 後期終了後に「必修ゼミ」を1回行う。


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3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧

 講義科目は、政策-組織-基礎の3領域、総合戦略-経済産業政策-社会労働政策-組織強化・拡大-組織運営-人間と組織-経済社会と労働の7分野から編成しています。
 講義は、連合の戦略的方向性・課題を大づかみに理解し、連合の一員としての自分の役割・課題を確認することからスタートし、基礎から応用・運動へと、順次ステップアップできるように科目を配置しています。

領域 分野 科目 (前期、後期) 講義時間
  政  策 総 合 戦 略 「連合の役割・行動I」
「『安心社会』への戦略を考える」
「連合の役割・行動II」
(前)
(前)
(後)
3時間30分
4時間
4時間
経済産業政策 「現代日本経済論」
「社会保障のとらえ方」
「日本の財政と社会政策の課題」
「経済政策の課題」
(前)
(後)
(後)
(後)
4時間
3時間30分
3時間30分
4時間
社会労働政策 「労働者自主福祉の課題」
「グローバリゼーションと労使関係」
「人材活用と人事管理の課題」 
「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」 
(前)
(前)
(前)
(後)
3時間30分
3時間30分
4時間
3時間30分
  組 織   組織強化・拡大 「労働組合と政治」
「男女平等参画と労働組合」
「国際労働運動の課題と対応」 
「組織強化・拡大の課題と対応」
(後)
(後)
(後)
(後)
4時間
4時間
3時間30分
3時間30分
組 織 運 営 「労使コミュニケーションと組合リーダー」 (前) 4時間
  基 礎   人間と組織 「アサーティブ・トレーニング」 (前) 3時間30分
経済社会と労働 「歴史からみた労働組合の役割」
「労働法の基礎」
「ジェンダーと労働」
「労使関係の課題」
(前)
(前)
(前)
(後)
3時間30分
4時間
4時間
4時間
特別プログラム 「論文のまとめ方」
「ゼミナール大会」
(前)
(後)
1時間
4時間30分
合 計 講義21科目:79時間 特別プログラム2科目:5時間30分 84時間30分
ゼミナール 前期3回+後期3回 =14時間 総時間 98時間30分
<参考:第16回の講義時間>
講義20科目 特別プログラム4科目 ゼミナール(6回) 総時間
75時間 9時間30分 14時間 98時間30分


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4.講義科目・講師一覧(調整中含む)

☆印は特別プログラム
★印はゼミナール
講 義 日 科目 講 師 氏 名
2017年 「連合の役割・行動Ⅰ」 連合会長または連合事務局長
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長

11.19(日)
 11.20(月) 「アサーティブ・トレーニング」
「歴史からみた労働組合の役割」
☆「論文のまとめ方」
★ ゼミナールI
森田汐生 アサーティブ・ジャパン代表
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
ゼミナール担当講師
11.21(火) 『安心社会』への戦略を考える」
「労働者自主福祉の課題」

★ ゼミナールⅡ
宮本太郎 中央大学教授
中央労福協・労金協会・全労済
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
ゼミナール担当講師
 11.22(水) 「現代日本経済論」
「労働法の基礎」
★ 自主研究
宮崎徹 早稲田大学講師
浜村彰 法政大学教授
 11.23(木) 「グローバリゼーションと労使関係」
「ジェンダーと労働」
★ ゼミナールⅢ
田端博邦 東京大学名誉教授
神尾真知子 日本大学教授
ゼミナール担当講師
11.24(金) 「人材活用と人事管理の課題」
「労使コミュニケーションと組合リーダー」
橋元秀一 國學院大學教授
産別(単組)リーダー等
呉学殊 JILPT主任研究員
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
2018年 「労働組合と政治」


★ ゼミナールⅣ
議員(国会議員・地方議員)
連合総合政治局長
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
ゼミナール担当講師

5.13(日)
5.14(月) 「社会保障のとらえ方」
「男女平等参画と労働組合」
★ 自主研究
菅沼隆 立教大学教授
連合総合男女平等局長
5.15(火) 「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」
☆「ゼミナール大会」

★ゼミナールⅤ
毛塚勝利 法政大学大学院連帯社会インスティテュート客員教授
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長
ゼミナール担当講師
ゼミナール担当講師
5.16(水) 「日本の財政と社会政策の課題」
「経済政策の課題」
★ 自主研究
加藤久和 明治大学教授
大瀧雅之 東京大学教授
5.17(木) 「国際労働運動の課題と対応」
「労使関係の課題」
★ ゼミナールⅥ
連合総合国際局長
中村圭介Rengoアカデミー教務委員長
ゼミナール担当講師
5.18(金) 「組織強化・拡大の課題と対応」


「連合の役割・行動II」
連合総合組織局長
連合組織拡大・組織対策局長
中村圭介Rengoアカデミー教務委員長
連合会長または連合事務局長
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長


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5.ゼミナールの紹介

 

禹ゼミ テーマ:グローバル化と日本の労働組合 講師:禹宗杬 埼玉大学人文社会科学研究科教授
目的
  1. グローバル化は通常、労働組合に不利に働く。競争を激化させ、コスト削減の圧力を強めるからである。ただし、日本より賃金の高いアメリカでさえ、企業の方針転換と政策のバックアップがあれば、中国から製造業を呼び戻すことが不可能ではないといわれる。グローバル化が進むなか、どうすれば雇用と賃金を守り、組合運動の展望を開けるか、一緒に考えたい。
  2. 展望を開くために重要な作業の一つは、国際比較の視点に立って、労使関係共通の環境と課題を理解し、日本の独自性を把握することである。世界と共有すべき日本の組合の資産は何でその固有の問題は何か、ほかの国々の試みから何を学ぶべきか、一緒に考えたい。
  3. 日本の組合は現場を大切にしてきた。いま、その現場が弱まっている。生産・サービスのグローバル展開のほか、グループ経営、人的資本投資の減少などが影響しているのはむろんである。ただし、主体的な問題もあり得る。運動の転換が求められている現在、どうすれば現場を再構築する契機をつかめるか、一緒に考えたい。
  4. 労使関係のアクターの労・使・政のうち、労側の変化への対応と自己革新が立ち遅れている傾向にある。持続可能な社会および持続可能な労使関係の構築に向け、雇用と賃金と時間と生活をどのようにデザインすべきか、一緒に考えたい。
課題(キーワード) グローバリゼーション/グローバル展開/コーポレート・ガバナンス/経営戦略/雇用の多様化/キャリア・処遇の複線化/産業政策/雇用政策/欧米の労使関係/アジアの労使関係/日本の労使関係の特徴/現場の再構築/雇用・賃金・時間・生活のデザイン
講師略歴
現 職 埼玉大学人文社会科学研究科教授
職 歴 韓国社会科学研究所研究員、埼玉大学経済学部講師、埼玉大学経済学部助教授、The Graduate School of Management (Anderson School) at UCLAの招聘研究員を歴任
著 書 『「身分の取引」と日本の雇用慣行―国鉄の事例分析―』(単著、日本経済評論社、2003年)、『日本経済の再浮上と韓国の産業』(韓国語共著、産業研究院、2008年)、『トヨタのDNA』(韓国語共著、中央books、2009年)、『公共部門における要員管理の韓日比較』(韓国語共著、韓国労働研究院、2009年)、『韓国の経営と労働』(編著、日本経済評論社、2010年)、『中国民営企業の雇用関係と企業間関係―市場経済の土台としての継続的取引の形成―』(共著、明石書店、2013年)、『現場力の再構築へ―発言と効率の視点から―』(編著、日本経済評論社、2014年)
その他 埼玉大学連合寄付講座担当教員、国際労働財団「アジアにおける労使関係と労働組合の課題プロジェクト」委員、連合総研「『日本的』雇用システムと労使関係研究会」委員、連合総研「企業行動・職場の変化と労使関係に関する研究委員会」主査、連合総研「参加保障・社会連帯型の新しい社会政策・雇用政策の大綱に関する研究委員会」委員等
木本ゼミ テーマ:少子高齢社会のなかの人間と労働組合 講師:木本喜美子 一橋大学名誉教授
目的
  1. バブル経済の崩壊後、企業社会は変容し、また少子高齢社会としての特徴がきわだってきている。過去20年間の労働市場の変動、地域社会の格差拡大、そして家族の大きな変容を実態として把握することを通じて、労働組合が直面する課題を考える。
  2. 特に検討を要するのは、従来の「サラリーマン」の働き方を相対化し、新しい働き方や暮らし方、生き方が、新たな価値規範と共に模索されてきている事実である。一方では高度成長期以来の旧態依然としたサラリーマン像があり、他方では正社員労働市場への参入が困難な、若者や女性たちの労働-生活者像がある。変動期の現代を把握するために両者の動きを、トータルに検討する。
  3. 本ゼミでは、主体としての人間が、階層、ジェンダー、地域差等によって分断されつつ、一人一人の一回限りの生をまっとうするために、働き方そして生き方をめぐって模索している姿を、まずもって重視したい。その上で、個々のアクターの価値規範がどのように変わろうとしているのかをつかむことによって、労働組合が担う新たな課題と社会的役割を探ることをめざす。
課題(キーワード) 少子高齢化/未婚化・晩婚化/働くことと家族/労働市場の変動/非正規化/ジェンダー変動/若者の就業問題/女性労働問題/労働-生活時間構造/サラリーマン像の揺らぎ/ワークライフバランス
講師略歴
現 職 一橋大学名誉教授
職 歴 広島大学総合科学部助手、立命館大学産業社会学部助教授、一橋大学社会学部助教授、一橋大学大学院社会学研究科教授を歴任
著 書
(単著)
『家族・ジェンダー・企業社会』(ミネルヴァ書房、1995年)、『女性労働とマネジメント』(勁草書房、2003年)等
編 著 『現代日本の女性労働とジェンダー』(ミネルヴァ書房、2000年)、『社会政策のなかのジェンダー』(明石書店、2010年)、『映画マニアの社会学-スクリーンにみる人間と社会』(明石書店、1997年)等
共 著 『仕事の人類学-労働中心主義の向こうへ』(世界思想社、2016年)、『リスク社会のライフデザイン-変わりゆく家族をみすえて』(放送大学教育振興会、2014年)、『高度成長の時代1-復興と離陸』(大月書店、2010年)、『ジェンダー平等と多文化共生』(東北大学出版会、2010年)、『貴女を輝かせるキャリアデザイン』(中央大学出版部、2010年)、『雇用流動化のなかの家族』(ミネルヴァ書房、2008年)等
論 文 「織物女工の就業と家族経験」(『大原社会問題研究所雑誌』650号)、「地方圏における若年不安定就労者とキャリア展開の課題(上)(下)」(『大分大学経済論集』62巻3・4号、5・6号)、「雇用流動化のもとでの家族と企業社会の関係-企業の人事戦略を中心に」(『家族社会学研究』17巻第2号)、「労働組織とジェンダー」(『社会学評論』52巻4号)等
その他 博士(社会学)
毛塚ゼミ テーマ:労働法と労働組合 講師:毛塚勝利 毛塚勝利 法政大学大学院連帯社会インスティテュート客員教授
目的  直面する労働問題を素材に、労働法のしくみと課題を理解するとともに、労働組合がどのように問題の解決に取り組み、ワーク・ルールを充実させていくかを考える。
  1. 安倍政権の雇用分野の規制緩和にどう対応するか。
  2. ホワイトカラーの賃金・労働時間制度はどうあるべきか。
  3. 非正規雇用・就業の拡大に労働組合はどう対応すべきか。
  4. ワーク・ライフ・バランスの実現の法政策の中核はなにか。
  5. 会社の合併・分割、事業譲渡、M&A等に労働組合はどう対応すべきか。
  6. 労働問題が多様化・多元化・個別化した現在、労働組合はどのように労使関係システムを整備していくべきか。
課題(キーワード) 限定正社員/解雇の金銭解決/ホワイトカラー・エグゼンプション/派遣労働/同一労働同一賃金/会社分割/事業譲渡/投資ファンド/雇用差別/間接差別/障害者差別/高齢者雇用/ハラスメント/過労自殺/メンタルヘルス/労働審判/労働契約法/変更解約告知/労働者代表制度/ステークホルダー民主主義
講師略歴
現 職 法政大学大学院連帯社会インスティテュート客員教授
職 歴 静岡大学法経短期大学部教授、専修大学法学部教授、中央大学法学部教授を歴任。
著 作 「限定正社員の法的問題を考える」(季刊労働法245号、2014年)、「非正規労働の均等処遇問題への法理論的接近方法」(日本労働研究雑誌636号、2013年)「労働契約法における労働条件変更法理の規範構造」(法学新報119巻5・6号2012年)、「公務労使関係システムの構築に関する議論の現在と問題点」(季刊労働法230号、2010年)、「企業統治と労使関係システム」石田虞・大塚直編『労働と環境』(日本評論社、2008年)等
編 著 『新現代労働法入門』(法律文化社、2010年)、『企業組織再編における労働者保護』(中央経済社、2010年)、『個別労働紛争処理システムの国際比較』(日本労働研究機構、2002年)等
その他 日本労働法学会代表理事(2002~2003年)、連合総研「参加発言型社会に向けて研究会」(1995~1996年)、「新労働法制研究会」(1997~1998年)、「企業組織等の再編に伴う労働者保護法制研究会」(1999~2000年)、「労働契約法制研究会」(2004~2005年)、「企業買収・合併等による企業組織の改編と労働組合の課題に関する研究委員会」(2008~2010年)、「教職員の働き方・実態調査研究委員会」(2014-2015)の各主査等
高木ゼミ テーマ:経済・産業と労働組合 講師:高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
目的
  1. 長期にわたるデフレ、グローバル不況、IT化などの技術革新、企業の海外移転、規制改革などの急激な経済環境の変化と再度にわたる政権交代をともなう政治構造の変化、人口減少社会の到来などのもとで、雇用と生活の両面で人間的な労働(ディーセントワーク)を実現しうる社会システムと経済・産業・社会政策のあり方と労働組合の役割を検討し、積極的な論議を行いたい。
  2. ナショナルセンター、産業別組織、地域組織などの各級の労働組合が経済と政治・社会面で影響力を発揮するための考え方と方法を検討し、個別企業をこえた労働組合の社会的役割を具体的に検討する。
課題(キーワード)  産業構造の変化/社会構造の変化/政治構造の変化/グローバリゼーション/人口減少/市場万能主義/ワークフェア/社会的企業/ディーセントワーク/福祉ミックス/「働くことを軸とする安心社会」/社会的労働運動/
講師略歴
現 職 日本女子大学名誉教授
職 歴 山形大学教授、日本女子大学教授を歴任
著 書 『国際労働運動』(日本経済新聞社、1973年)、『春闘論』(労働旬報社、1976年)、『労働組合の進路』(第一書林、1987年)、『新・社会民主主義の挑戦』(労働経済社、1992年)、『労働経済と労使関係』(教育文化協会、2002年)、『労働者福祉論』(教育文化協会、2005年)等
編 著 『自立と選択の福祉ビジョン』(平原社、1994年)、『市場・公共・人間』(第一書林、1992年)、『総評四十年史(全3巻)』(第一書林、1993年)、『ものがたり戦後労働運動史(全10巻)』(教育文化協会、1997~2000年)、『共助と連帯』(教育文化協会、2010年)等
監 修 「日本労働運動史事典」(ILEC、2015年)
「<増補改訂版>共助と連帯」(ILEC、2016年)
訳 書 『OECD図表でみる世界の社会問題』 『同Ⅱ』(明石書店、2006年、2008年)等
その他 (社)教育文化協会前理事、Rengoアカデミー・マスターコース前教務委員長(第1回~第10回マスターコースまで)、連合総研「協同組合の新たな展開に関する研究委員会」(2010~2011年)主査等
橋元ゼミ テーマ:企業・職場と労働組合 講師:橋元秀一 國學院大學経済学部教授
目的
  1. 労働組合の原点を確認しつつ、各自の所属する労働組合の特徴を交流することを通じて、改めてそれぞれの労働組合を相対化し客観的に把握する。
  2. それぞれの企業・職場はどのような問題や課題を抱えているのだろうか? 近年、企業や職場に起きている変化をふまえつつ、率直に出し合い交流し合いながら、今日の労働組合が直面している課題とはどのような問題であるのかを考察する。
  3. 組合員にとって、労働組合が魅力的であるとはどのような役割を組合が果たすことであるのかを検討する。組合役員の立場から離れ、一組合員の視点に立ったとき、日々の労働や職場生活において、さらには職業人生を展望した場合、労働組合は、どのような問題や課題を抱えているのだろうか? 労働組合は、そうした問題や課題をどれだけ受け止め、どのように取り組んでいるのか、検討し議論し合う。ゼミでの集団的議論を通じて、新たな視点やヒントを探りたい。
  4. 以上をふまえつつ、理論的視点、歴史的視点、組織構造的視点から、労働組合の現状と課題を明らかにすることが、本ゼミの目的である。
課題(キーワード) 採用/従業員構成/非正規労働者(非典型雇用)/配置/教育訓練/賃金/成果主義/人事考課/労働時間/残業協定/労使協議/経営参加/組合組織構造/組合役員
講師略歴
現 職 國學院大學経済学部教授
職 歴 東京都立労働研究所研究員、日本学術振興会特別研究員、(財)労働科学研究所社会科学研究部研究員、國學院大學経済学部専任講師・助教授を歴任
編 著 『人事労務管理の歴史分析』(ミネルヴァ書房)等
論 文 『労働組合の職場活動に関する研究委員会報告書―21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ-』(連合総研、2016年9月)、「第1章 労働組合の基礎的組織の現状」(連合総研『労働組合の基礎的な活動実態に関する調査研究報告書』、2016年4月)「労働組合による労働者供給事業の諸類型と可能性」(『国学院経済学』第60巻第3・4合併号、2012年3月)、「非正規従業員の組織化の動き」(『講座 現代の社会政策 第5巻 新しい公共と市民活動・労働運動』明石書店、2011年9月)、「非正規雇用問題と企業別組合の役割およびその展望」(社会政策学会誌 『社会政策』第2巻第1号、ミネルヴァ書房、2010年5月)、「企業別組合における非正規従業員の組織化事例の示すこと」(『日本労働研究雑誌』No.591、2009年10月)、「「成果主義」の実態は「能力主義管理」の整備・徹底化-真の能力主義を求めて」(『賃金制度と労働組合の取り組みに関する調査研究報告書』連合総研、2006年7月)、「社会政策学における賃金問題研究の視角と課題」(社会政策学会誌第12号『賃金問題と社会政策』2004年9月)
その他 國學院大學労供研究会座長、連合総研「21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ『労働組合の職場活動』研究委員会」主査、連合総研「「非正規労働者の組織化」-21世紀の日本の労働組合活動に関する調査研究委員会Ⅰ」副主査等


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6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ




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第16回受講生の体験談

 第16回マスターコースの参加推薦を受け、何も考えず軽く返事をしてしまったことに、受講が始まる前までは、どれだけ後悔したことか今でも鮮明に思い出します。
 普通の研修と思っていたので1週間近い合宿や、論文作成など、気付いた時には後の祭りでした。
 自分で決めたことなので、前向きに受講しようと気持ちの整理をつけたのですが、開催直前には大量の講義資料(労働関係法規集、働く女性と労働法、労働者福祉論、共助と連帯、他多数)が送られてくることで内容の難しさを知ることにより、自分はついていけるのかと、漠然であった不安が具体的な不安へと変わり重くのしかかってきました。
 しかし、いざ講義が始まれば、どの内容もレベルが高くついていくのに精一杯ではあったが、先生方の教え方がとても上手で、例えるなら乾いた土に水がしみこむように、内容がスッと入ってくるので、自分の知識が高まっていく嬉しさを感じるようになりました。
 論文についても最初は何をどうしたら良いのかまったく分からなかったのですが、先生やゼミの皆と膝を突き合わせ何十回も意見交換を重ねていくうちに、自然と形になってきました。業務で出張の都度、移動中にも作業を進めるという自分の苦労はもちろんありましたが。
 前期後期とも合宿の枠組みは、朝から晩まで講義とゼミになりますが、ゼミ終了後に連日懇親を深めることで、ゼミ生同士の「絆」が生まれることにより、悩みや不安を共有しお互いを激励することで成長することができました。
 体験談を書かせていただいている今となっては、受講前に感じていた不安は、ただの杞憂にすぎませんでした。
 このRengoアカデミーは、連合運動の次代を担うリーダーを育成することが目的とされており、講義や必修ゼミ、論文作成過程で知識や考え方を身に着けることはもちろんでありますが、それ以上に産別の枠を越えた素晴らしい仲間達に出会うことが最大の目的であると思います。
 最後になりますが、教育文化協会の皆様、各先生、前期後期合宿中に業務代行いただいた常任・書記さん、本当にありがとうございました。
 同期の皆さん、かけがえのない時間を過ごすことができました、楽しかったです。
 第17回マスターコースを受講する皆さん、今は不安でいっぱい(特に論文)かもしれませんがなんとかなります。
 是非、前向きな気持ちで受講し、これから出会う仲間達と素晴らしい時間を共有して下さい。

 専従役員になって2年目に突入したものの、自身の知識量や考察力のなさに不甲斐なさを感じているタイミングでRengoアカデミー第16回マスターコースの参加要請をいただき、その瞬間、「これだ!」と思いました。組合業務との両立が可能だろうか、という懸念はありましたが、今の自分自身の力量を突破するきっかけになるのではないか、という期待もあり、わくわくする気持ちと不安が入り混じったまま、開校式を迎えたことを覚えています。
 実際に参加してみてすぐに、期待を上回るカリキュラムだと感じました。講師陣はどなたにおいても豊富な専門知識と経験をお持ちで、ひとつひとつの講義が非常に充実した内容でした。講義を通じ、組合活動をより体系的に捉えたり、より深い問題意識を持てるようになったりと、たくさんの刺激を受けました。また、多様なメンバーとのディスカッションは、私自身の見方のくせや狭さを気付かせてくれる契機となりましたし、ともに労苦を分かち合える仲間を得たことも財産になったと思っています。前期・後期の合宿は、座学中心ではありつつも、現場の課題に対する嗅覚を鍛える意味でも、現実を読み解く知識を身につけることが重要であることを再確認しました。
 もちろん、通常業務と両立しながらの論文執筆は苦しい工程でした。調査段階では、本当にまとめあげられるだろうかという不安との戦いでしたし、内容についても、ひとりよがりの主張になっていないだろうか、と悩み続けた1年間でした。参加者のみなさんと励ましあって、何とか最後までやりきることができた、というのが正直なところです。
 私にとってRengoアカデミーは、組合役員としての自分自身と向き合い、点検する機会にもなりましたし、今後さらに成長するための糧にもなりました。素晴らしい経験をさせていただいたことに、関係各位に対し、感謝の気持ちでいっぱいです。これを読まれているみなさまにも、ぜひ、前向きに参加していただきたいと思います。

 Rengoアカデミー・マスターコースは、受講するまでは「論文を書く」コースだと思っていました。前期、後期の授業プログラムには、様々な講義が組まれていますが、普段学ぶことのできない貴重な時間であることは重々承知の上で、コースの中にもっと論文作成に充てる時間があるとよいのにと考えていました。
 しかし、実際に受講してみて、コースの目的は修了論文の完成ではないことがよくわかりました。多岐にわたる分野の第一線の専門家の講義は、業務を超えた気づきを得ることが多々ありました。また、自分の論文のテーマに直接は関連がなさそうな講義も、結果として、論文作成の行き詰りを解くきっかけとなった講義も多く、よく考えられたプログラムであると思いました。
 教授に師事するゼミナールも得難い時間となりました。自分は、テーマこそ決めたものの内容や結論がみえてなかったのですが、先生はゼミ生が何に行き詰まっているのか、ゼミ生自身が本来書きたいと思っている方向に向かうにはどうしたらよいか、常に見通されておられるようでした。同じゼミに所属するゼミ生も常に客観的な助言をしてくれました。ゼミ生の助けがなかったら、論文の内容が大分偏ったものになっていたと思います。
 自分の場合、論文の作成が常に行き詰まっていましたが、考えているうちになぜか自然と方向性が見えてくる、ということを繰り返しました。しばらく行き詰まっていたものが、時間とともに醸されるような、不思議な体験でした。その醸しの源は、授業であったり、ゼミであったり、メディアの情報や周囲のアドバイス、あるいは日々の生活であったり。自分の力ではないさまざまなものが醸しに作用したような気がします。大仰に言うほどのものが完成したわけではないのですが、自分にとって今回の論文作成は、大きな達成感につながりました。ゼミ生との間にできたつながりもとても貴重に感じます。
 コースへの参加を検討するにあたり、不安な気持ちでいる方がいたら、ぜひお勧めしたいです。きっと、かけがえのない体験となると思います。

 Rengoアカデミーの存在は単組の上司から聞かされており、2年前から知っていました。上司も過去の修了者であり「修了論文作成はおまえには無理だ」と、アカデミーについて大変さを含めて2回ほど教わったように記憶しています。
 単組の上司から指摘どおり私は文章を書くのが苦手であり、かつ、高校卒で就職をしたため人生において論文そのものに触れた経験もなく、前期合宿を迎えるまでは、ただ不安しかありませんでしたが、開講式以降は充実した時間を過ごすことができ、論文を書き上げ、無事に私も修了することができました。
 同アカデミーの魅力は、「第一線で活躍している大学教授をはじめとする講義を受けられる」ことに加え、「学びに没頭できる環境」と、「同じ目標に向かって進む仲間の存在」であり、このうちどれが欠けても成立しない、絶妙な研修です。
 期間中は、前期・後期の2回、丸一週間の集中合宿を受講する必要があります。それとは別に必修ゼミナールが前期2回、後期1回実施されますので同じゼミの仲間と担当講師のスケジュールを調整して受講をし、最終的に論文を書き上げるという作業があります。
 この研修に参加することで、様々な気づきが得られるはずです。私の実体験の一つを紹介すると、ゼミで論文テーマを選定するときに、自単組の組合員があまり活動に参加しないんだという悩みを話したところ、他産別から見ると、自単組の悩みは「悩むレベルではない」と教えられ、その指摘により自単組だけの「モノサシ」だけを基準に活動していた自分に気づくことができました。大学教授による講義では、本来組合役員として備えておくべき知識が成り立ちや背景も含めて得られ、「社会の一員として何をすべきか」という視点で幾度となく考える時間があり、改めて知らないことばかりであることを知ることができ貴重な経験となりました。
 連合は、労働者が団結し、誰もが安心して働き生活できる社会を目指して活動を展開しています。修了したRengoアカデミー第16回マスターコースで得た多くの経験と考察を深めた論文をもって、今後は「社会の一員として」という視点で自単組・産別、連合活動に参画していきたいです。
 最後に、同アカデミー事務局としてお世話になった教育文化協会のみなさん、講師のみなさん、ゼミメンバー、そしてアカデミー参加の機会をいただいた組合員のみなさんへ心よりお礼申し上げます。「貴重な経験をさせていただきましてありがとうございました。」

 Rengoアカデミー第16回マスターコースを受講した約一年間を振り返ってみると、大変充実した期間を過ごすことができたと考えています。
 学生時代と異なり仕事をしながら勉強を行うことは、非常に難しい面もありましたが、その分充実感と達成感がありました。自分自身としては、日々の業務を行いながら、「学ぶ」ことは一つの挑戦でありましたので、苦しい時期もありましたが、前向きに捉えチャレンジすることができたと考えています。
 2度にわたる集中合宿では、トップレベルの先生方の講義を受講することができ、自分自身の知識と視野を広げる絶好の機会となりました。
 そして、Rengoアカデミー・マスターコースの受講を通じて得ることができた一番の財産は何よりも仲間と出会えたことだと思います。マスターコースのクライマックスの論文作成。何度も挫折しかけた自分を助けてくれたのは、ゼミの仲間であり、ゼミの先生でありました。ゼミの仲間からのアドバイスと励まし、そして先生からの的確な助言がなければ、論文を書き終えることは確実にできなかったと思います。また同じゼミとなった仲間だけでなく、マスターコースを受講した同期の仲間とは、前期・後期の講義の中でのグループワークやディスカッション、そして講義終了後の懇親の場でも様々な意見交換・情報交換を行うことができ、他産別・他組織の取り組みや課題を聞くことができました。この出会いは本当に貴重な経験であり、財産となりました。
 Rengoアカデミー・マスターコースの受講を通じて、自分自身の知識と視野を広げることができ、学ぶことの大切さに改めて気付くことができました。そして、受講しなければ知り合うこともできなかった仲間と出会うこともできました。これらのことは今後の組合運動、社会人生活、人生において、必ずやプラスになると思います。  
 受講を検討されている皆さま、Rengoアカデミー・マスターコースを受講すると、大変素晴らしい経験を得ることができると思います。是非とも前向きな気持ちで受講を検討してみてください!
 最後になりますが、講師陣の皆さま、事務局として受講生が学ぶことに集中できる環境を終始つくりあげてくださった教育文化協会の皆さま、前期・後期合宿と長い時間を共に学んだ同期の皆さま、そして温かく指導していただきました橋元先生とゼミ生の皆さま、さらにはRengoアカデミーを受講する機会を与えてくれた自組織の皆さまと自分自身の家族、全ての方に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

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