Rengoアカデミー 第16回マスターコースの概要

目次

  1. 1.マスターコースのアウトライン
  2. 2.授業プログラム(前期・後期)
  3. 3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧
  4. 4.講義科目・講師一覧
  5. 5.ゼミナールの紹介
  6. 6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ

<参考資料>第15回受講生の体験談


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1.マスターコースのアウトライン

 教育文化協会は、連合運動の発展に資する労働者教育の全体像を構想し、その第一歩として、連合結成10周年を機に、2001年5月、連合運動の次代を担うリーダーの育成を目的に、「Rengoアカデミー・マスターコース」を開講しました。これまでに366名が受講し、修了生は現在、それぞれの立場から連合運動の一翼を担い、活躍しています。
 第16回目の今回は、マスターコース開講の趣旨と会員組織や受講生からの意見・要望、過去15回取り組んだ経験・反省をふまえ、引き続き、受講生出身組織の送り出しやすさと受講生本人の参加しやすさを基本に、[1]講義科目の前・後期への効果的な配置、[2]ゼミ生同士の自主的な議論・研究に資する自主研究枠の確保に努め、合宿日程の効果的編成を心がけました。
 第16回マスターコース・プログラムのアウトラインは以下のとおりです。

視点

 マスターコースでは、人間・歴史・世界・「場」(※)からのアプローチを重視し、受講者の分析力・構想力の醸成をはかり、問題発見と問題解決の能力向上をめざします。
 自らの「考察を深めたい課題」について、ゼミナールでの担当講師からのアドバイスや他のメンバーとの意見交換等を通じて、問題意識の深耕・多角化をはかるとともに、その課題解決方法を見つけ、修了論文にまとめていきます。(「6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ」を参照)。
 合宿教育をとおして受講生と講師の「人間としての結びつき」を深めます。

※「場」とは、問題を発見しその解決をはかるときの自分のスタンドポイントのこと

年間スケジュール

 マスターコースは、合宿教育期間と自学・自習期間を組み合わせ1年間で修了します。
 集中合宿は、前期、後期の2期制です。

前期:2016年11月20日(日)~11月25日(金)の6日間
後期:2017年 5月14日(日)~ 5月19日(金)の6日間

 前期終了後から後期開講までの間と、後期終了後から修了論文完成までの間が、自学・自習の期間となります。この期間にはそれぞれ、必修ゼミを配置しています。
 必修ゼミでは、ゼミ生は自学・自習期間の成果を発表し、ゼミナール担当講師からアドバイスを受け、後期のゼミへ、さらには修了論文へとつなげていきます。
 修了論文については随時、担当講師からメール等で個別指導を受けることができます。
 受講生は、2017年7月3日(月)までに修了論文を提出し、教務委員長の監修を経て、9月下旬に予定している修了式をむかえ、1年間のプログラムを修了します。

授業と講師陣

 前期、後期の合宿教育では、授業は講義とゼミナールを併用しておこないます。
 講師陣には、それぞれの分野の第一人者の他に、連合会長(Rengoアカデミー校長)や連合事務局長なども加わります。

講義

 講義科目は、特別プログラムも含めて24科目です。
 講義は、原則、講師からの問題提起、グループワーク、発表などを組み入れておこないます。
 講義の進め方は、授業60~70分と休憩10分のサイクルが基本ですが、多少、前後することがあります。

ゼミナール

 受講生は、受講申込の際に、「考察を深めたい課題」を提出するとともに、5つのゼミナールのなかから希望するゼミを選択します。
 ゼミナールは、前期3回、後期3回の計6回おこないます。ゼミナールは、原則1回2時間30分(休憩含む)です。
 ゼミナールごとの必修ゼミは、前期終了後から後期開始までに原則2回、後期終了後に1回おこないます。
 ゼミナールは、5名程度で編成し、担当講師の指導やゼミ生との議論をとおして各自の課題を修了論文に仕上げます。
 ゼミナール大会(後期3日目)では、受講生が修了論文の骨子を発表し、ほかのゼミ担当講師から講評を受けます。その後のゼミでは、その講評も含めゼミ担当講師から指導を受けます。

合宿期間中の運営

 合宿生活は、受講生が実行委員会をつくり運営します。
 合宿期間中には、連合会長、連合事務局長、教育文化協会理事長等との交流、懇談の場を設定しています。

修了

 前期・後期を受講、修了論文を提出し教務委員長による監修を経て修了となります。
 修了者には、修了証を授与します。


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2.授業プログラム(調整中含む)

前期<2016年11月20日(日)~25日(金)>

[備考]
[1]午後の講義終了後、実行委員会のミーティング(M)を行う。
[2]前期と後期の間に「必修ゼミ」を2回行う。(指導講師の判断で1回でも可)

後期<2017年5月14日(日)~19日(金)> 

[備考]
[1]後期終了後に「必修ゼミ」を1回行う。


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3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧

 講義科目は、政策-組織-基礎の3領域、総合戦略-経済産業政策-社会労働政策-組織強化・拡大-組織運営-人間と組織-経済社会と労働の7分野から編成しています。
 講義は、連合の戦略的方向性・課題を大づかみに理解し、連合の一員としての自分の役割・課題を確認することからスタートし、基礎から応用・運動へと、順次ステップアップできるように科目を配置しています。

領域 分野 科目 (前期、後期) 講義時間
  政  策 総 合 戦 略 「連合の役割・行動I」
「『安心社会』への戦略を考える」
「連合の役割・行動II」
(前)
(後)
(後)
3時間30分
4時間
4時間
経済産業政策 「現代日本経済論」
「経済政策の課題」
(前)
(後)
4時間
3時間30分
社会労働政策 「労働者自主福祉の課題」
「グローバリゼーションと労使関係」
「人材活用と人事管理の課題」 
「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」 
(前)
(前)
(前)
(後)
3時間30分
3時間30分
4時間
3時間30分
  組 織   組織強化・拡大 「労働組合と政治」
「男女平等参画と労働組合」
「国際労働運動の課題と対応」 
「組織強化・拡大の課題と対応」
(後)
(後)
(後)
(後)
4時間
4時間
3時間30分
3時間30分
組 織 運 営 「組合リーダーに聞く」 (前) 4時間
  基 礎   人間と組織 「アサーティブ・トレーニング」
「ファシリテーション・トレーニング」
(前)
(後)
3時間30分
3時間30分
経済社会と労働 「歴史からみた労働組合の役割」
「労働法の基礎」
「ジェンダーと労働」
「労使関係の課題」
(前)
(前)
(前)
(後)
3時間30分
4時間
4時間
4時間
特別プログラム 「論文のまとめ方」
「人口減少・超少子高齢化社会の課題」
「日本の財政と社会政策の課題」
「ゼミナール大会」
(前)
(前)
(前)
(後)
1時間
2時間
2時間
4時間30分
合 計 講義20科目:75時間 特別プログラム4科目:9時間30分 84時間30分
ゼミナール 前期3回+後期3回 =14時間 総時間 98時間30分
<参考:第15回の講義時間>
講義21科目 特別プログラム2科目 ゼミナール(6回) 総時間
79時間 5時間30分 14時間 98時間30分


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4.講義科目・講師一覧(調整中含む)

☆印は特別プログラム
★印はゼミナール
講 義 日 科目 講 師 氏 名
2016年 「連合の役割・行動Ⅰ」 連合会長または連合事務局長
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長

11.20(日)
 11.21(月) 「アサーティブ・トレーニング」
「歴史からみた労働組合の役割」
☆「論文のまとめ方」
★ ゼミナールI
森田汐生 アサーティブ・ジャパン代表
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
ゼミナール担当講師
11.22(火) ☆「人口減少・超少子高齢化社会の課題」
☆「日本の財政と社会政策の課題」
「労働者自主福祉の課題」

★ ゼミナールⅡ
加藤久和 明治大学教授
井手英策 慶應義塾大学教授
中央労福協・労金協会・全労済
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
ゼミナール担当講師
 11.23(水) 「現代日本経済論」
「労働法の基礎」
★ 自主研究
宮崎徹 早稲田大学講師
浜村彰 法政大学教授
 11.24(木) 「グローバリゼーションと労使関係」
「ジェンダーと労働」
★ ゼミナールⅢ
田端博邦 東京大学名誉教授
神尾真知子 日本大学教授
ゼミナール担当講師
11.25(金) 「人材活用と人事管理の課題」
「組合リーダーに聞く」
橋元秀一 國學院大學教授
産別(単組)リーダー等
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
2017年 「労働組合と政治」

★ ゼミナールⅣ
国会議員・地方議員
連合総合政治局長
高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
ゼミナール担当講師

5.14(日)
5.15(月) 「ファシリテーション・トレーニング」
「男女平等参画と労働組合」
★ 自主研究
淺野淳 j.union専務取締役
連合総合男女平等局長
5.16(火) 「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」
☆「ゼミナール大会」

★ゼミナールⅤ
毛塚勝利 法政大学院連帯社会インスティテュート客員教授
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長
ゼミナール担当講師
ゼミナール担当講師
5.17(水) 「『安心社会』への戦略を考える」
「経済政策の課題」
★ 自主研究
宮本太郎 中央大学教授
大瀧雅之 東京大学教授
5.18(木) 「国際労働運動の課題と対応」
「労使関係の課題」
★ ゼミナールⅥ
連合総合国際局長
中村圭介 法政大学院連帯社会インスティテュート教授
ゼミナール担当講師
5.19(金) 「組織強化・拡大の課題と対応」


「連合の役割・行動II」
連合総合組織局長
連合組織拡大・組織対策局長
中村圭介 法政大学院連帯社会インスティテュート教授
連合会長または連合事務局長
中村圭介 Rengoアカデミー教務委員長


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5.ゼミナールの紹介

 

禹ゼミ テーマ:グローバル化と日本の労働組合 講師:禹宗杬 埼玉大学人文社会科学研究科教授
目的
  1. グローバル化は通常、労働組合に不利に働く。競争を激化させ、コスト削減の圧力を強めるからである。ただし、日本より賃金の高いアメリカでさえ、企業の方針転換と政策のバックアップがあれば、中国から製造業を呼び戻すことが不可能ではないといわれる。グローバル化が進むなか、どうすれば雇用と賃金を守り、組合運動の展望を開けるか、一緒に考えたい。
  2. 展望を開くために重要な作業の一つは、国際比較の視点に立って、労使関係共通の環境と課題を理解し、日本の独自性を把握することである。世界と共有すべき日本の組合の資産は何でその固有の問題は何か、ほかの国々の試みから何を学ぶべきか、一緒に考えたい。
  3. 日本の組合は現場を大切にしてきた。いま、その現場が弱まっている。生産・サービスのグローバル展開のほか、グループ経営、人的資本投資の減少などが影響しているのはむろんである。ただし、主体的な問題もあり得る。運動の転換が求められている現在、どうすれば現場を再構築する契機をつかめるか、一緒に考えたい。
  4. 労使関係のアクターの労・使・政のうち、労側の変化への対応と自己革新が立ち遅れている傾向にある。持続可能な社会および持続可能な労使関係の構築に向け、雇用と賃金と時間と生活をどのようにデザインすべきか、一緒に考えたい。
課題(キーワード) グローバリゼーション/グローバル展開/コーポレート・ガバナンス/経営戦略/雇用の多様化/キャリア・処遇の複線化/産業政策/雇用政策/欧米の労使関係/アジアの労使関係/日本の労使関係の特徴/現場の再構築/雇用・賃金・時間・生活のデザイン
講師略歴
現 職 埼玉大学人文社会科学研究科教授
職 歴 韓国社会科学研究所研究員、埼玉大学経済学部講師、埼玉大学経済学部助教授、The Graduate School of Management (Anderson School) at UCLAの招聘研究員を歴任
著 書 『「身分の取引」と日本の雇用慣行―国鉄の事例分析―』(単著、日本経済評論社、2003年)、『日本経済の再浮上と韓国の産業』(韓国語共著、産業研究院、2008年)、『トヨタのDNA』(韓国語共著、中央books、2009年)、『公共部門における要員管理の韓日比較』(韓国語共著、韓国労働研究院、2009年)、『韓国の経営と労働』(編著、日本経済評論社、2010年)、『中国民営企業の雇用関係と企業間関係―市場経済の土台としての継続的取引の形成―』(共著、明石書店、2013年)、『現場力の再構築へ―発言と効率の視点から―』(編著、日本経済評論社、2014年)
その他 埼玉大学連合寄付講座担当教員、連合総研「『日本的』雇用システムと労使関係研究会」委員、連合総研「企業行動・職場の変化と労使関係に関する研究委員会」主査、連合総研「参加保障・社会連帯型の新しい社会政策・雇用政策の大綱に関する研究委員会」(2007~2009年)委員等
木本ゼミ テーマ:少子高齢社会のなかの人間と労働組合 講師:木本喜美子 一橋大学名誉教授
目的
  1. バブル経済の崩壊後、企業社会は変容し、また少子高齢社会としての特徴がきわだってきている。過去20年間の労働市場の変動、地域社会の格差拡大、そして家族の大きな変容を実態として把握することを通じて、労働組合が直面する課題を考える。
  2. 特に検討を要するのは、従来の「サラリーマン」の働き方を相対化し、新しい働き方、暮らし方、生き方が、新たな価値規範と共に模索されてきている事実である。一方では高度成長期以来の旧態依然としたサラリーマン像があり、他方では正社員労働市場への参入が困難な、若者や女性たちの労働-生活者像がある。変動期の現代を把握するために、両者の動きをトータルに検討する。
  3. 本ゼミでは、主体としての人間が、階層、ジェンダー、地域差等によって分断されつつ、一人一人の一回限りの生をまっとうするために、働き方そして生き方をめぐって模索している姿を、まずもって重視したい。その上で、個々のアクターの価値規範がどのように変わろうとしているのかをつかむことによって、個別企業を越えた労働組合が担う新たな課題と社会的役割を探ることをめざす。
課題(キーワード) 少子化/高齢化/未婚化・晩婚化/働くことと家族/労働市場の変動/非正規化/ジェンダー変動/若者の就業問題/女性労働問題/労働-生活時間構造/サラリーマン像の揺らぎ/ワークライフバランス/キャリア-ライフ・デザイン
講師略歴
現 職 一橋大学名誉教授
職 歴 広島大学総合科学部助手、立命館大学産業社会学部助教授、一橋大学社会学部助教授、一橋大学社会学部教授を歴任
著 書
(単著)
『家族・ジェンダー・企業社会』(ミネルヴァ書房、1995年)、『女性労働とマネジメント』(勁草書房、2003年)等
編 著 『女と男の第二楽章』(連合出版、1990年)、『現代日本の女性労働とジェンダー』(ミネルヴァ書房、2000年)、『社会政策のなかのジェンダー』(明石書店、2010年)、『映画マニアの社会学-スクリーンにみる人間と社会』(明石書店、1997年)等
共 著 『雇用流動化のなかの家族』(ミネルヴァ書房、2008年)、『高度成長の時代1-復興と離陸』(大月書店、2010年)、『ジェンダー平等と多文化共生』(東北大学出版会、2010年)、『経済と消費社会-ジェンダー史叢書6』(明石書店、2009年)、『変貌する<企業社会>日本』(旬報社、2004年)、『岐路に立つ日本-日本の時代史28』(吉川弘文館、2004年)、『貴女を輝かせるキャリアデザイン』(中央大学出版部、2010年)等
論 文 「織物女工の就業と家族経験」(『大原社会問題研究所雑誌』650号)、「地方圏における若年不安定就労者とキャリア展開の課題(上)(下)」(『大分大学経済論集』62巻3・4号、5・6号)、「雇用流動化のもとでの家族と企業社会の関係-企業の人事戦略を中心に」(『家族社会学研究』17巻第2号)、「労働組織とジェンダー」(『社会学評論』52巻4号)等
その他 博士(社会学)
毛塚ゼミ テーマ:労働法と労働組合 講師:毛塚勝利 法政大学院連帯社会インスティテュート客員教授
目的  直面する労働問題を素材に、労働法のしくみと課題を理解するとともに、労働組合がどのように問題の解決に取り組み、ワーク・ルールを充実させていくかを考える。
  1. 安倍政権の雇用分野の規制緩和にどう対応するか。
  2. ホワイトカラーの賃金・労働時間制度はどうあるべきか。
  3. 非正規雇用・就業の拡大に労働組合はどう対応すべきか。
  4. ワーク・ライフ・バランスの実現の法政策の中核はなにか。
  5. 会社の合併・分割、事業譲渡、M&A等に労働組合はどう対応すべきか。
  6. 労働問題が多様化・多元化・個別化した現在、労働組合はどのように労使関係システムを整備していくべきか。
課題(キーワード) 限定正社員/解雇の金銭解決/ホワイトカラー・エグゼンプション/派遣労働/同一労働同一賃金/会社分割/事業譲渡/投資ファンド/雇用差別/間接差別/障害者差別/高齢者雇用/ハラスメント/過労自殺/メンタルヘルス/労働審判/労働契約法/変更解約告知/労働者代表制度/ステークホルダー民主主義
講師略歴
現 職 法政大学院連帯社会インスティテュート客員教授
職 歴 静岡大学法経短期大学部教授、専修大学法学部教授、中央大学法学部教授を歴任。
著 作 「限定正社員の法的問題を考える」(季刊労働法245号、2014年)、「非正規労働の均等処遇問題への法理論的接近方法」(日本労働研究雑誌636号、2013年)「労働契約法における労働条件変更法理の規範構造」(法学新報119巻5・6号2012年)、「公務労使関係システムの構築に関する議論の現在と問題点」(季刊労働法230号、2010年)、「企業統治と労使関係システム」石田虞・大塚直編『労働と環境』(日本評論社、2008年)等
編 著 『新現代労働法入門』(法律文化社、2010年)、『企業組織再編における労働者保護』(中央経済社、2010年)、『個別労働紛争処理システムの国際比較』(日本労働研究機構、2002年)等
その他 日本労働法学会代表理事(2002~2003年)、連合総研「参加発言型社会に向けて研究会」(1995~1996年)、「新労働法制研究会」(1997~1998年)、「企業組織等の再編に伴う労働者保護法制研究会」(1999~2000年)、「労働契約法制研究会」(2004~2005年)、「企業買収・合併等による企業組織の改編と労働組合の課題に関する研究委員会」(2008~2010年)、「教職員の働き方・実態調査研究委員会」(2014-2015)の各主査等
高木ゼミ テーマ:経済・産業と労働組合 講師:高木郁朗 Rengoアカデミー副校長
目的
  1. 長期にわたるデフレ、グローバル不況、IT化などの技術革新、企業の海外移転、規制改革などの急激な経済環境の変化と再度にわたる政権交代をともなう政治構造の変化、人口減少社会の到来などのもとで、雇用と生活の両面で人間的な労働(ディーセントワーク)を実現しうる社会システムと経済・産業・社会政策のあり方と労働組合の役割を検討し、積極的な論議を行いたい。
  2. ナショナルセンター、産業別組織、地域組織などの各級の労働組合が経済と政治・社会面で影響力を発揮するための考え方と方法を検討し、個別企業をこえた労働組合の社会的役割を具体的に検討する。
課題(キーワード) 産業構造の変化/社会構造の変化/政治構造の変化/グローバリゼーション/人口減少/市場万能主義/ワークフェア/社会的企業/ディーセントワーク/福祉ミックス/「働くことを軸とする安心社会」/社会的労働運動
講師略歴
現 職 日本女子大学名誉教授
職 歴 山形大学教授、日本女子大学教授を歴任
著 書 『国際労働運動』(日本経済新聞社、1973年)、『春闘論』(労働旬報社、1976年)、『労働組合の進路』(第一書林、1987年)、『新・社会民主主義の挑戦』(労働経済社、1992年)、『労働経済と労使関係』(教育文化協会、2002年)、『労働者福祉論』(教育文化協会、2005年)等
編 著 『自立と選択の福祉ビジョン』(平原社、1994年)、『市場・公共・人間』(第一書林、1992年)、『総評四十年史(全3巻)』(第一書林、1993年)、『ものがたり戦後労働運動史(全10巻)』(教育文化協会、1997~2000年)、『共助と連帯』(教育文化協会、2010年)等
監 修 「日本労働運動史事典」(ILEC、2015年)
「<増補改訂版>共助と連帯」(ILEC、2016年)
訳 書 『OECD図表でみる世界の社会問題』 『同Ⅱ』(明石書店、2006年、2008年)等
その他 (社)教育文化協会前理事、Rengoアカデミー・マスターコース前教務委員長(第1回~第10回マスターコースまで)、連合総研「協同組合の新たな展開に関する研究委員会」(2010~2011年)主査等
橋元ゼミ テーマ:企業・職場と労働組合 講師:橋元秀一 國學院大學経済学部教授
目的
  1. 労働組合の原点を確認しつつ、各自の所属する労働組合の特徴を交流することを通じて、改めてそれぞれの労働組合を相対化し客観的に把握する。
  2. それぞれの企業・職場はどのような問題や課題を抱えているのだろうか? 近年、企業や職場に起きている変化をふまえつつ、率直に出し合い交流し合いながら、今日の労働組合が直面している課題とはどのような問題であるのかを考察する。
  3. 組合員にとって、労働組合が魅力的であるとはどのような役割を組合が果たすことであるのかを検討する。組合役員の立場から離れ、一組合員の視点に立ったとき、日々の労働や職場生活において、さらには職業人生を展望した場合、労働組合は、どのような問題や課題を抱えているのだろうか? 労働組合は、そうした問題や課題をどれだけ受け止め、どのように取り組んでいるのか、検討し議論し合う。ゼミでの集団的議論を通じて、新たな視点やヒントを探りたい。
  4. 以上をふまえつつ、理論的視点、歴史的視点、組織構造的視点から、労働組合の現状と課題を明らかにすることが、本ゼミの目的である。
課題(キーワード) 採用/従業員構成/非正規労働者(非典型雇用)/配置/教育訓練/賃金/成果主義/人事考課/労働時間/残業協定/労使協議/経営参加/組合組織構造/組合役員
講師略歴
現 職 國學院大學経済学部教授
職 歴 東京都立労働研究所研究員、日本学術振興会特別研究員、(財)労働科学研究所社会科学研究部研究員、國學院大學経済学部専任講師・助教授を歴任
編 著 『人事労務管理の歴史分析』(ミネルヴァ書房)等
論 文 「労働組合による労働者供給事業の諸類型と可能性」(『国学院経済学』第60巻第3・4合併号、2012年3月)、「非正規従業員の組織化の動き」(『講座 現代の社会政策 第5巻 新しい公共と市民活動・労働運動』明石書店、2011年9月)、「非正規雇用問題と企業別組合の役割およびその展望」(社会政策学会誌 『社会政策』第2巻第1号、ミネルヴァ書房、2010年5月)、「企業別組合における非正規従業員の組織化事例の示すこと」(『日本労働研究雑誌』No.591、2009年10月)、「「成果主義」の実態は「能力主義管理」の整備・徹底化-真の能力主義を求めて」(『賃金制度と労働組合の取り組みに関する調査研究報告書』連合総研、2006年7月)、「社会政策学における賃金問題研究の視角と課題」(社会政策学会誌第12号『賃金問題と社会政策』2004年9月)
その他 國學院大學労供研究会座長、連合総研「21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ『労働組合の職場活動』研究委員会」主査、連合総研「「非正規労働者の組織化」-21世紀の日本の労働組合活動に関する調査研究委員会Ⅰ」副主査等


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6.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ




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第15回受講生の体験談

 Rengoアカデミーについては、ある日、委員長から「こんなのどう?」と急に勧められたことから始まりました。ただの研修だと思い内容のメールを確認してみると「論文?」「研究したいテーマ」「??」そんなに深く考えたことがなかったので、自分にはとても完走できないのではないかと心配になりました。
 しかし、講義が始まってゼミの仲間で議論したり一緒に考えたりしているうちに不安はなくなっていきました。ほとんど労組関係者ですので組合員、労働者のためという熱いものが根本には共通しているので打ち解けるのが早かったのだと思います。
 講義も聴くだけでなく、ゼミごとに先生から与えられる様々な課題について議論し結果を報告するため、集中して短時間で議論をするためのとてもよい訓練になりました。
 基本的に夕食後はゼミとなります。ゼミの内容は各個人が設定した課題についてゼミ生全員で考え議論していきます。最初の課題設定については、ふわふわした状態でしたが、先生の指導やほかのゼミ生の意見を聞き、議論していった中で自分の研究テーマを固めることができました。先生の指導も押しつけや強制ではなく自分が理解できるように研究事例や体験も踏まえて指導していただいたので非常に助かりました。
 また、ほかのゼミ生から各単組や産別の中での経験やものの見方を聞くことは自分の設定した課題の解決に向けての大きな助けとなりました。ゼミ終了後には先生とともに連日懇親を深めることで「同じ釜の飯を食った仲間」として一体感が醸成されていったこともよかったと思います。
 これ以外にも、前期日程と後期日程の間に必修ゼミが行われます。ゼミによっていろいろな形態があるようですが、論文の報告だけでなく事業所見学を組み合わせてものづくりの現場に触れることもできて見識を広めることができ、非常に役に立ちました。
 最後に論文です。自分はまともに論文を書いたことがなかったため大変でしたが、苦しいときはゼミの仲間と連絡を取ってお互いに奮起していくことで無事論文を提出することができました。
 受講を検討されている皆さんへ。
 Rengoアカデミーで得られる経験はほかのどの研修でも得られないと思います。不安はあるかもしれませんが、それ以上に楽しい時間と仲間を得られると思いますよ。

 Rengoアカデミーの存在はそれとなく聞いてはいたものの、専従経験や年齢から考えても、自分とは無縁の研修だと勝手に思っていました。でも、開講時に「このマスターコースは次代のリーダーを育成することを目的としているが、それは労働組合の世界に限ったものではない」という説明があったとおり、このプログラムを一言で表現するならば「自分を見つめ直す場」であり、受講にあたっては年齢に制限はないことが分かります。
 これから受講しようとしている皆さんも、「論文なんて書いたことがない」「大変だ」「畏れ多い」などと不安に感じていたり、あるいは情報収集に勤しんでいるかもしれません。でも、そのようなことは杞憂に過ぎません。ゼミナールひとつをとってみても、最初は考察したいことすら思いつかない有様でしたが、講師の先生をはじめ、ゼミの仲間が自分では思いもつかないような視点やアイデアを与えてくれることにより、テーマも定まっていきます。そして、合宿や必修ゼミ・論文作成の過程を通じて、多くの気付きやかけがえのない絆を得ることができます。
 以前読んだ本で、「百聞は一見にしかず」という有名なことわざには続きがあるという説を知りました。「百見は一考にしかず」「百考は一行にしかず」「百行は一効にしかず」、つまり、聞いて、見て、考えて、実行に移し、成果をあげることが大切ということです。さらに「百効は一幸にしかず」と続き、成果も幸せにはかなわないとしています。まさにRengoアカデミーの中で実感できることだと思います。社会人となって、学生に戻る機会は滅多にありません。存分に楽しんでください。
 ただひとつだけ、合宿期間中は食べ過ぎないよう節制を心がけてください。ブロイラーになったかのような錯覚に陥るくらい、運動量の少なさに反比例して豪華で美味しい食事が続きます。もったいないと思ってついつい食べてしまうと、合宿から戻ったときの同僚の視線を痛く感じることになりますので、ご注意を。

 第15回のアカデミーの要請が来たときには正直逃げ隠れしたい気持ちでいっぱいでした。なぜなら、第14回Rengoアカデミーには私の先輩が参加しており、その先輩が通常業務をこなしつつ2度の合宿研修に参加し、修了論文を作成している大変そうな姿を間近で見ていたからです。また、論文を書くにあたり、さまざまな文献を探すことからはじめ、それを読んで理解し、自分の考えを論じていくということの難しさもひしひしと感じていました。そうした苦労や大変さを事前に知っていたため、このRengoアカデミーが始まるまでそわそわと落ち着かなかったことを覚えています。
 申し込みから一定期間が経ち、いよいよ前期の合宿がスタートする時期になりました。合宿が始まるにあたり、事前に送付された参加者一覧を見ると、やはり名立たる組織の役職に就かれている方々ばかりであらためて不安と緊張がこみ上げてきました。実際の開講式では、自分が挨拶した内容を覚えていない程、ピリッとした雰囲気が漂っていました。そんな緊張感のある開講式を終えると、早速、自身で選択したゼミごとに分かれ講義が始まりました。このとき初めてゼミ内での顔合わせとなりますが、このRengoアカデミーに対する不安をゼミ内で共有し、みんなも同じ気持ちだと分かりホッと一安心したことを覚えています。
 そして、いざ実際の講義が始まると、各分野でのトップレベルの講師陣による講義についていくのに必死になりながらも、一方で自分にとって新しい見識・知識が増えていくことや今までの知識がより深まることに充実感を覚えるようにもなりました。また、研修終了後の夜間に実施するゼミをはじめ、前期・後期ともほとんどの講義をゼミごとで受けるため、あらゆる分野における課題や問題に対して、同じゼミのメンバーと議論していくことになります。こうした他の産別や組織の方々と情報を共有することや意見交換することで自分の考えだけに収まらないさまざまな視点や角度からの考えに気づかされ、それが自分の視野を広げることにもつながったと感じました。また、このゼミをはじめ、他のゼミ生とも時間を共にすることも多く、研修全体を通じて大きな一体感を感じることができました。そのため、後期合宿では、時間が経つのが早く感じ、終了時にはやっと終わったという達成感がありつつも、若干の寂しさも感じました。それ程、第15回Rengoアカデミーに参加された方々と出会えたことは嬉しく思っています。
 この経験は、第16回Rengoアカデミーに参加される方々にとっても、とてもすばらしいものになるはずです。一年間を通して受講するということ、また、論文を書きあげるということは、確かに苦労もあり、プレッシャーも重くのしかかります。しかし、それ以上に、この経験とこれを一緒に経験した仲間は自分にとって大変価値のあるものになるはずです。私自身も正直はじめはこのRengoアカデミーへの受講に後ろ向きでいましたが、良き先生と仲間に出会い、非常に良い経験をすることができました。ぜひ前向きな気持ちで受講していただきたいと思います。
 最後になりましたが、ご講義いただいた先生方、事務局として準備をいただいた教育文化協会の皆さん、長い時間を共有した同期生の皆さん、そして多くの時間を共有させてもらった毛塚先生とゼミ生の皆さん、さらにはRengoアカデミーに送り出していただいた自組織の皆さん、それぞれに心から感謝を申しあげます。

 「Rengoアカデミー第15回マスターコースに参加することになったから頼むよ!」との事務局長の優しい口調が今でも鮮明に蘇ります。
 それは、連合静岡へ入局して僅か3ヶ月の出来事でした。仕事を未だ把握しきれていない中での指示であったため、疑いもせず受講することを決めました。参加するにあたり、論文のテーマを「安全衛生」としました。その後、「Rengoアカデミーとは何なのか?」などと気にせず、時だけが過ぎ、開講の3日前に先輩から「安全衛生で論文になるのか?」という質問に答えることが出来ず、慌ててテーマを「最低賃金」に変更することとなりました。
 こうしたバタバタした中で迎えた開講式では、私の隣の席は、なんと受講生代表として挨拶をする方が座っていました。その挨拶を聞いた瞬間から緊張がピークに達し、「間違った場所に来てしまった」と激しく後悔したことを覚えています。しかし、そんな後悔とは別に、一流の先生による講義は、大変興味深く「勉強はこんなにも楽しいものなんだ」と思えるほどでした。後期合宿では、先生方と受講生の思いが通じ合う白熱したゼミナール大会が開催されたことを記憶しています。そして、1日あたり数百歩という不健康?な合宿生活の中、先輩受講生(笑)との朝のウォーキングはダラけた頭をスッキリと切替え、1日の始まりを後押ししてくれるものでした。
 Rengoアカデミーの醍醐味の1つである修了論文の作成には、一言では言い表せないほどの苦労がありました。もともと論文を書いた経験がなくRengoアカデミーが始まってから、私の頭の中では、論文のことが絶えず巡っていました。修了論文の提出期限が近付くにつれ不安が高まり、国政選挙と重なるという境遇に留年を覚悟した時期もありましたが、最後までやりきることが出来ました。それは、不甲斐ない私を最大限に引き上げてくれた先生とゼミの仲間が支えてくれたからです。また、心から通じ合える同期20人の仲間と苦労を分かち合えたからだと思っています。同じ境遇を経験し、同じ時間を共に過ごし、同じ目標に向かう心強い仲間が今の私にはあります。この仲間との繋がりを糧に、今後の労働運動を弛みなく努めていきたいと思います。
 Rengoアカデミーは、自分を見つめ直し成長するために、知恵をもらい素晴らしい輪を繋いでくれるものと思っています。これから受講される多くの皆さんにもこの思いが伝わったら幸いです。
 最後に、受講するチャンスをくださった方々と、この場を提供してくださった関係者の皆様全てに感謝を申し上げます。

 Rengoアカデミー第15回マスターコースに参加し、前期・後期を合せて長い期間の研修ではありましたが、非常に充実した時間を過ごすことができました。
 当初は、以前に参加された先輩役員から「論文作成は大変だよ」、「座学が多く、美味しい食事で太るよ」といった情報を聞き、不安な気持ちで開講式を迎えました。
 同じような不安を持った受講生21名が顔を合わせ、マスターコースがスタートしました。
 前期で、特に印象深かった講義は、逢見連合事務局長からの「連合の役割・行動Ⅰ-連合運動における自らの役割」、高木副校長からの「歴史からみた労働組合の役割」、三団体の皆さんからの「労働者自主福祉の課題」、板木孝三電源開発関連労働組合総連合会長と中川育江連合宮崎事務局長から実体験に基づく講演をいただいた「組合リーダーに聞く」でした。その他にも有名な大学の教授の方々から、普段、聞く機会のない話を聞くことができ、非常に有意義な時間を過ごすことができました。
 後期は、前期よりも早く時間が過ぎていったような気がします。様々な対応があり、目まぐるしい毎日を過ごしていたため、後期の講義の印象はどこか遠くにいってしまい、思い出すことができません。
 前期・後期を通じて、日中は講義を受け、講義の中でゼミのメンバーや講義ごとに設定されたグループで議論をし、発表をし、ほぼ決まった時間に昼食・夕食を食べ、夕食後は論文作成に向けゼミナールを21時頃まで行い、21時以降は懇親をするために用意されている部屋に集まりノミュニケーションをはかるという毎日を過ごしました。全国各地の様々な労働組合、地方連合会のメンバーで話ができる機会は非常に貴重な経験だったと感じました。
 普段、会社対応などで時間に追われる生活をしているため、メロンディアあざみ野で規則正しい集団生活をし、様々な知識を学び、労働組合を越えた交流をはかる機会をいただくことができたことに感謝しています。
 Rengoアカデミー第15回マスターコースは、後期日程が5月中旬にあったため、当初は衆参ダブル選になるのでは、という可能性もあり、論文完成に自信がありませんでした。
 しかし、選挙対応がある中、限られた時間の合間をぬって、職場では論文作成に集中できないため、國學院大學の橋元先生の研究室にお邪魔をし、アドバイスをいただきながら、論文作成に励みました。最終的には、出張先で睡眠時間を削りながら作成し、締切ギリギリではありましたが論文を完成させることができました。
 論文を作成することが目的ではなく、論文を作成する過程で経験できたことが私自身にとってかけがえのない財産になったと感じています。
 ぜひとも、前向きな気持ちでRengoアカデミーを受講されることをおすすめします。

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