埼玉大学「連合寄付講座」

2011年度後期「働くということと労働組合」講義要録

第2回(10/17)

働くということと労働組合
―私たちは歴史から何を学ぶか―

ゲストスピーカー:(社)教育文化協会理事 高木 郁朗

1.今日のテーマ
 今日の講義では、働くということはどういう意味をもっているのか、そのなかで労働組合がどういう役割を果たしているかについてお話しします。
 皆さんは、3年生、4年生になると、就職活動というとても大きな経験をすることになります。大学の教員をしていると、就職活動の時期に入ると学生が大学に来なくなって、もう少し企業も就職活動の時期を考えてくれないかと思います。しかし、皆さんからすると、大学を卒業していい企業で働きたいと就職活動をしているのだから、少しくらい大学に来なくてもいいか、という気持ちにもなるでしょう。いい企業に就職したいと皆さんが考えるのはよくわかりますが、でも、何のために働くのですか。またはいい企業で働きたいという場合、いい企業とは一体どういう企業なのか、そういうことをぜひ考えてほしいと思います。あるいはどんな働き方が理想的なのか、こういうことを考えることが非常に重要だと思います。
 まず、労働組合にかかわる歴史を振り返りながら、労働の意味を理論的に、あるいは実体的に考えてみたいと思います。そして、現実に皆さんがこう思っている、ということを議論できればと思います。

ある果物園経営者の訴え
 朝日新聞に掲載された記事で、「ある果物園経営者の訴え」というのがあります。「長年、築いてきた信用が福島原発で一瞬にしてなくなった。我々は東電からの補償ではなく、果物を売って自前で生きていきたい」。こういうことを朝日新聞の記者に語ったというものです。
 地震のときに起こした事故に対して、東電はさまざまな補償をしなければいけないのは当然ですが、ここで果物園経営者が言っているのは「補償金で生活をするよりも、仕事をすることによって所得を得たいのだ」と考えているということです。
 東京電力から補償金を得る、あるいは東日本大震災でいうと、政府からの支援金、義援金を得ることよりも、自分で働いて所得を得て、生活していきたいと言っているわけです。補償金や、義援金も大切ですが、自分たちが生きていくためには、雇用・就業機会をきちんとしてほしい、こういった考え方をある果物園経営者の訴えは端的に表現していると思います。これは、とても重要なことだと思います。

2.働くことの意味
働く=就職。なんのための就職?

 何のために就職するのかと皆さんに聞くと、いろいろな答えが出てくると思います。
 まず何といっても就職することは、生活するための所得を得ることだと思います。それから、自分の能力を発揮すること、たとえば、大学などで勉強して能力を蓄積して、その能力を積極的に活用する場が働く意味だ、という答えも非常に多いと思います。
 この2つに共通するのは「自分のために働く」ということです。お金を得ることも、能力を発揮することもそうです。でも、皆さんに考えていただきたいことは、働くということは「自分のため」を超えた社会的意義があるということです。人間は社会の中で生きていくもので、その社会のつながりの中で、労働するということを考えていただきたいと思います。
 人間社会の生産活動の特徴は、必要なものを社会的分業によって生産することです。農作物を作る労働や機械を作る労働、あるいはそういうものをメンテナンスする労働など、いろいろな労働がありますが、基本的には社会的分業といって、それぞれの労働は繋がっています。つまり、他の人の働きが自分の役に立ち、自分の働きも他の人の役に立っているということです。
 逆に1人の人間からみて、労働とはどういう意味を持っているのかというと、社会的分業という仕組みのなかで、まさに「労働を通じて社会に参加している」という意味になります。それは、人の限界生産性がプラスである限り、1人でも多くの人が働くことが、経済の発展していく基本的条件であり、経済の発展に貢献しているということです。
 1993年頃、単純に計算して、日本の1人当たりのGDPがトップになりました。その後はじりじりと順位が下がり、特に2001年からの小泉内閣の時代、市場万能主義ということで、いろいろな規制緩和をした時に、急速に順位が落ちました。2000年代の後半には、1人当たりのGDPは18位とか19位に下がってきました。
 これはなぜか、たとえば日本とスウェーデンの女性の就業率を比較すると、スウェーデンでは77%の女性が就業しています。それに対し日本での就業率は49%くらいです。30ポイント近い開きがあり、これくらい働く人の比率が小さければ、1人当たりのGDPで日本が下位になっていくのは当たり前です。
 2000年代に入ると、日本では社会保障が非常に大きな課題となります。これも働く人が増えるかどうかで決定的に変わってくる、たとえば、社会保障を充実させるために、消費税を上げるかどうか論議されています。福祉のために消費税を上げることはやむを得ないとしても、それ以前に1人でも働く人が多くなれば、税や社会保険料を納める人が多くなります。逆に給付を受ける人が少なくなるわけですから、消費税の負担が少なくて済むことになります。
 これは、働くということを基本にして政策を行なっていくことが、社会保障の上でも重要だということです。
 労働というものは、人間と社会の存続に絶対的に必要なものです。人類が、働くことが嫌だからと、何十日間働くのをやめてしまったら、人間社会は崩壊してしまいます。そういうことを考えると、働くということは、自分のためを超えて、社会的に意味のあることだと考えることが非常に大切だと思います。

現実の労働(雇用労働)には苦痛が・・
 でも、産業社会において中心となるのは雇用労働、雇われて働く労働です。この労働には、苦痛が伴います。経済学の父と呼ばれるアダム・スミスは、toil and troubleという言葉を使って、労働とは「苦労と骨折り」であると言っています。
 とくに雇用労働を中心とした産業社会の中では、いろいろな苦痛があります。たとえば、非常に重い労働をしているにも関わらず、その労働が報われず、働いても生活ができないことがあります。日本でも1990年代から、ワーキングプアといって、働いても年収が200万円にならない人が多数出てきた状況がありました。こういう低賃金の問題があります。それに伴い、低賃金を補うため、長い時間働かなければならないという問題もあります。
 それから大事なことは、産業社会における普通の労働者は、仕事のやり方に対して権限を持っていないということです。他人の命令でしか働くことができないという状態にあります。こういう状態を「パワーレス」といいます。本来は、こういう目的でこのような働き方をしたいと考えて働くのが人間労働です。けれども、雇用労働は他人の命令で働いて、自分には権限がありません。
 労働時間の問題でいうと、長時間労働は、結果的に自分の時間を失うことですから、自分が持っている自由な時間を奪われるのが特徴です。また、危険な作業や、ストレスをもたらすような仕事をやらされることがあります。労災や職業病です。最近では非常にメンタルな面を訴える人が増えています。先進国でいちばん多いのは、イギリスだと思います。10人に1人くらいがメンタルな面での健康に不安があって、病院に通っているということも出てきています。こういうことを見ていくと、仕事をしていく意味がだんだんわからなくなってきます。
 本来ならば、自分の労働は他人のためになりますが、そのためには自分の労働がどんなふうに役立っているのかわかっていなければなりません。しかし実際には、社会的分業がどんどん進み、工場の中でも個々の仕事が小さく分けられ、自分がしている仕事が社会のためにどのように役立っているのかわからなくなってしまう傾向があります。これは「ミーニングレス」です。自分のしている仕事には意味がないのではないか、そういうことで、不安になるのではないかと思います。
 また、自動化がすすみ、職場に1人しか人がいない1人職場というのがあります。このようなところでは、だんだん孤独になり、その孤独によって強いストレスを受け、メンタルな面で病気になってしまう人が出てきます。そのうえ、市場万能主義と呼ばれる風潮のなかでは、働いている人たちは、お互いに連携するよりも競争相手になります。それから、1990年代後半以降広まってきた正規・非正規社員、そのなかで、非正規社員は身分的に差別され、将来の自分たちの就業上の見通しがつかないという傾向があります。だからといって、そんな仕事は嫌だと拒否すると、失業してしまいます。生活ができなくなってしまいます。

3.労働組合が果たしてきた役割
(1)人間的な労働の在り方:「労働は商品ではない」

 経済学の基本では、労使はお互いに契約して、企業は労働者の労働力を買っているので、自由に使ってよろしいということになっています。要するに、商品として人間の労働力を扱うのが産業社会の論理です。けれども、一方的に労働力を扱われると、苦痛を伴うことになります。こういうことを、どのように克服していくかを少し考えてみたいと思います。
 国際労働機関(ILO)は、第一次世界大戦後に労働の国際的基準をつくることを目的に設立された機関です。この組織は、政府の代表、経営者団体の代表、労働者団体の代表からなる三者構成主義に非常に大きな特徴があります。このような三者で構成されている国際機関は基本的にはILOだけです。
 ILOは、第二次世界大戦が終了する前、1944年にフィラデルフィア宣言という労働組合の基本となる宣言を出しました。そこで「労働は商品ではない」と宣言しました。しかし、労働は商品ではないと宣言しても、実際には先ほど言ったように労働は商品のように扱われています。そういうことに対して取り組んできたのが労働組合です。

(2)労働組合の活動:ワークルール作り
ワークルール1 雇用の安定

 労働組合の活動の第一は、働く上での「ワークルール」を作ることです。どんなルールを作ってきたかというと、1つは、雇用の安定に関わるルールです。
 一番大きな雇用に関するルールは、雇用されている労働者を、経営者が勝手に解雇してはいけないということです。労働組合は解雇を規制するために、いろいろな形で努力してきました。日本では、終身雇用制はよくないといわれていますが、大学や高校を卒業して、新規採用されて、定年まで働くという形の終身雇用制は、労働組合の大きな努力の結果作られたという側面があります。各国で異なる解雇規制をもっていますが、いずれにしても何らかの形で雇用の安定を図るルールを作っていくのが、労働組合の第一の働きです。
 ただ、現在の日本の状況をみると、非正規労働者といわれる人たちが全体の3分の1以上になっています。女性だけをみると50%を超えています。そのため、これまでの労働組合の活動の方法では、雇用の安定を図れなくなってきています。
 労働組合に加入している人たちだけではなく、全ての労働者に雇用の安定に関わることを、労働組合としてやっていかなくてはいけない、このことは、今日は詳しく申し上げませんが、参考文献として、ロナルド・ドーアの『働くということ-グローバル化と労働の新しい意味-』を紹介します。2005年に出た本ですが、今起きている労働の問題について、非常に明確に語られています。

ワークルール2 人間として生活できる賃金
 二番目のルールは、仮に雇用が安定していても低賃金であれば、生活していくことができません。人間として生活できる賃金というルールを作ることが重要になってきます。
 労働組合ができたのは1850年代で、イギリスのクラフトユニオンでした。これは職能別労働組合で、熟練をもった機械工というような人々が、職種ごとに組合を作りました。そして、自分たちの賃金の額を宣言して決めてきたわけです。やがて、熟練労働者でない人たちも組合を作るようになり、団体交渉で賃金を決めるようになります。
 団体交渉とは、労働組合という団体と経営者あるいは経営者団体という産業組織の間で決めていくものです。何を決めたかというと、ある職種、ある仕事についての賃金の最低額です。これは、どの企業においても職種ごとにこれ以下の賃金はないと決めることで、ミニマム規制、最低限の規制をすることです。
 初期の労働組合運動について研究したウエッブ夫妻は、産業民主主義という言葉を使いました(『労働組合の歴史』や『産業民主制』という本を読んでみるといいと思います)。産業民主主義とは、団体交渉を通じて、労働者と経営側が対等の立場で決めていく、決める内容もミニマム規制で、上に行く人はいるけれども、地獄に落ちる人はないという水準を作り上げていくものです。
 まさに労働組合は、このミニマム規制の水準を決めるところだと言っていいと思います。

日本の場合:春闘の開始
 日本でも1880年代に産業革命が起き、1897年に労働組合期成会が結成され、労働組合運動が行われるようになります。しかし、日本の保守的な政治家は、組合嫌いで労働組合を弾圧したため、なかなか労働組合は発展しませんでした。
 実際に労働組合が大きく発展するのは、第二次世界大戦後の1945年以降になります。その後、賃上げを実現してきたのは、1955年に始まる春闘という賃上げ闘争のやり方です。春の時期に労働組合が集中して賃上げするもので、今日まで続いている賃金闘争です。この春闘の特徴は、一言でいうと、平均賃金を上げていくというものです。
 1950年代後半から1970年代前半にかけて経済が上向きの状態であった時、つまり一定の経済成長があって、労働組合運動を通じて賃金が上がる、そうすると、今まで自動車が買えなかった人が車を買えるようになる、その結果、規模の経済が働いて全体の自動車の販売数が増加する、こういう形で賃上げと経済成長がうまく循環した歴史をもっています。

とり残したこと:国際比較でみて
 しかし、春闘には2つの欠点がありました。
 1つは、平均賃金を上げてきたことです。たしかに日本は、団体交渉で賃金を決めるようにはなった、でも、日本の労働組合は平均賃金を上げることをした、だから、イギリスのミニマム規制のように、誰かが地獄に陥ることを絶対に防ぐという最低規制が十分にできていなかった、といえます。労働組合に入っている人は賃金が上がって、そうでない人は上がらないということです。労働組合は、自分たち組合員のことばかりやって、加入していない人は思うようにならないということが欠点としてあります。
 もう1つは、日本の労働組合が企業別労働組合であるために、企業のことを考えてしまって、景気が悪くなると賃金が上がらなくなることです。1990年以降のグローバル化により生産が落ちたりすると、賃金水準を低下させざるをえなくなる、そうなると経済も縮小することになります。今起きているデフレ現象も、一番大きな理由は賃金が上がらない、人件費が上がらない、皆我慢して人件費を下げていく・・・このようにデフレに陥る悪循環になっています。これは企業の中で組織した組合であるため、どうしても企業のことを考えてしまうためです。一つひとつの企業では、我慢すればうまくいくかもしれないけれど、全体としてはよくない結果になってしまう、これを経済学では「合成の誤謬」と言います。残念ながら日本の賃上げ交渉は「合成の誤謬」に陥る欠陥をもっているといえます。

苦労と骨折りは賃金だけで解消できるか
 アダム・スミスは、労働は「苦労と骨折り」だと言っています。どちらが苦労でどちらが骨折りなのか、よくわからないところがあります。苦労と骨折りを埋め合わせるものが賃金だ、ということです。
 でも、努力した結果が、賃金だけに表れるのではなくて、他の条件でも努力の結果が保障されることが必要です。労働の基本は、賃金だけに限定されるものではありません。高い賃金を受け取っていても、そのかわりに危険なことをさせられているかもしれません。それでは困ります。ですので、賃金以外のルールを確立していくことがとても重要です。

ワークルール3 労働時間
 賃金以外のルールで最も大きなものは、労働時間に関するルールです。ILO 1号条約は、労働時間に関する条約です。労働時間を1日8時間かつ1週48時間に制限する条約です。その背景には、当時の労働運動では、労働時間を重視していたことにあります。
 ところが日本の労働組合は、現代に至るまで、労働時間を中心テーマとすることはほとんどありませんでした。日本では労働時間を短縮するのは非常に難しいことです。象徴的に言うと、男性たちが過労死するほど働き、女性がパートタイマーとして支えてきた、このような社会的状況になっています。こういった社会的状況をなくすためには、労働時間を本格的に考えていかなければいけないと思います。

(3)労働組合の活動:共助
労働組合の始まりから今日まで

 労働組合の第一の活動がワークルールだとすれば、第二は「共助」になります。共助とはお互いに助けあうことです。労働組合に入っている人同士がお互いに助け合うことは、労働組合が始まってから今日まで、組合の大きな特色です。
 典型的には、1850年代に始まったイギリスのクラフトユニオンでは、「共済」という活動を行いました。たとえば失業したり、病気になったり、死んで葬式を出さなければいけないときに、組合員の積立金から給付しました。これが共済です。これはとても重要なことです。組合員が失業や病気など、いろいろなリスクに遭遇した時に、自分の力だけではそのリスクに対応できない、こういう時にお互いに助け合うことでそのリスクを乗り切ることができます。
 しかし、欠陥があります。そういう助け合いができるのは、賃金が高い労働者が集まってできている組合だからです。でも、産業が発展し、熟練労働者等の賃金の低い労働者がどんどん増え、そこに組合ができると、失業は多いし、そんなに高い組合費を払えないということになります。
 実質的に、助け合いを労働組合だけに頼るのは難しいことです。そこで労働組合は、国が責任をもつ社会保障制度の一環としての社会保険制度へと展開させていくようにします。政治活動を伴う政策活動を熱心にやっていくわけです。そして、社会保険制度を作っていくことになります。

(4)労働組合の活動:政治活動
 労働組合の活動の中では、政治活動はとても重要となります。団体交渉によるワークルール作りは、原則的には、組合員の枠だけにとどまってしまいます。たとえば、中小企業の労働者や派遣労働者のように、組合員でないと団体交渉で作ったルールは適用されません。だから経営者は、できるだけ組合に入らせないようにして、組合が作ったルールを適用させないようにします。
 そういうことに対して、労働組合が作ってきたルールを背景にして、労働基準法などで法的規制をしていきます。たとえば最低賃金です。これは、組合のないところでもきちんとしなければならないことです。そこで、最低賃金制度を作っていくわけです。
 それからもう一つは、労働組合がリスクに対応して、共助で実現できなければ、制度を作らなければならない、これは、ソーシャル・セーフティネット、社会的安全網です。いろいろな面において、リスクに対する制度を作っていく、そのような考え方で政策等をやっていくことになります。

 労働組合は、「ワークルールを作る」「相互の助け合い・共助を発展させる」「ワークルールと共助の普遍化のために、政治政策への関わりを強める」、この3つが、労働組合が活動する上での基本になります。

4.ディーセントワーク
 きちんとしたルールの下で(ルールの基本は団体交渉)、労働をし、それからお互いに助け合う(=共助)、それから政策、こういうことに労働組合が関わっています。
 この3つを基本にして、労働がなされなければいけないという考え方を、最近のILOでは「ディーセントワーク」という言葉で表現しています。連合では、この「ディーセント」という言葉を「人間の尊厳に値する」といっています。この内容が書かれているILOの文書を要約すると、生産的で公正な賃金を保障する機会、つまり、雇用・就労の場を確実にさせる、ただし、きちんとしたルールがあること、たとえば、賃金は公正でなければいけないということです。それから、社会的な保障があることです。このようなことを中心に、労働を軸にして、社会の在り方を考えていかなければいけない、これが、ディーセントということの中身であると言っていいと思います。
 その中には、人々が、意思決定等に参加していくというのもあります。日本は、いろいろなかたちで、参加が保障されていないところがあります。たとえば、ワーキングプアといわれる非正規労働者を介護保険と医療保険から排除している、それから日本では、本当の意味での男女平等な政策が行われていない、こういうことを含めて、社会の公正を保障していくことが、ディーセントワークの中身となければならないというのがILO の考え方です。

5.まとめ
働くということの3つ内容

 働くということについて、3つの内容を話してきました。
 1つ目は、働くということは自分の所得の確保を超えた社会的意義があること。その社会的意義という観点から、労働というものを考えていくといいと思います。そして、その働くことを通じて、社会に参加していくことが非常に重要なポイントになります。
 2つ目は、産業社会において働く上でしっかりしたルールが必要であること。そのルールによって、ディーセントな雇用労働が実現します。これは、団体交渉と政策活動の両面があると言っていいと思います。
 3つ目は、ワークルールの枠組みの形成ということ。これは、経営者が作るものではなく、働く当事者が作るものです。働く当事者としての活動の役割を、労働組合が担ってきたということを理解していいただくといいと思います。

労働組合の活動に求められていること
 労働組合が、ディーセントワークを実現させる取り組みについて話してきました。
 今までの繰り返しですが、一番上にあるのは、ルールを確立するための団体交渉と政策活動です。それと政治への関与、そして共助、これら全体を通じて、社会的運動としての労働組合の活動を活発にしていくことが今求められています。

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