同志社大学「連合寄付講座」

2015年度「働くということ-現代の労働組合」

第12回(7/3

ワークルール確立に向けた取り組み
~労働の規制緩和にいかに歯止めをかけるか~

ゲストスピーカー:安永 貴夫 連合 副事務局長

みなさん、こんにちは。日本労働組合総連合会副事務局長の安永と申します。労働条件や労働法制に関する仕事を主に担当しています。本日は「ワークルールの確立に向けた取り組み」をテーマに話をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

1.ワークルールの基礎知識

(1)就業規則について

 みなさんは「就業規則」という言葉を聞いたことがあると思います。就業規則は労働条件や職場の規律について使用者が定めた規則の総称です。正社員だけでなく契約社員、パート、アルバイトも含めて常時10人以上を雇っている会社は必ず就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません。仮に作成しないと30万円以下の罰金が科せられます。また作成・届け出ただけでなく、従業員に周知する必要もあります。
 就業規則に必ず記載しなければならない事項として、始業・終業などの労働時間に関する事項、賃金に関する事項、退職に関する事項があります。例えば、賃金に関する事項は、賃金の支払い時期や賃金の計算方法などを記載しなければなりません。また、一時金・ボーナス、表彰、懲戒、制裁に関する事項について使用者が定めた場合は、記載する必要があります。さらに、就業規則の記載内容は、最低限の基準を定めている労働基準法を下回ることは許されず、かつ労働組合との協約が優先されます。
 就業規則を作成・変更したりする場合は、労働者代表の意見を聞き、その意見書を付して労働基準監督署に提出しなければなりません。労働条件を下げることを不利益変更と言い、その場合は労使の合意が必要です。ただ労働者からの同意が得られずに、使用者が一方的に就業規則の不利益変更を行う場合には、その変更に合理的理由が必要となります。例えば、会社の経営状況がそれほど悪くなっていないにも関わらず、就業規則の変更による不利益が大きい場合は、合理性がないとして使用者による一方的な変更は認められません。

(2)時間外労働について

 現在、いわゆるブラック企業の問題で長時間労働の話がよくでてきます。日本人の国民性として働くことを美徳とするところがあり、放っておくと働きすぎる傾向があります。しかし、長時間労働は、働く者の心と体の健康を蝕むだけでなく、自分の時間や家族との時間を犠牲にします。こうしたことから労働時間の規制は労働基準法の中でも重要だと思います。
 日本の労働時間法制では、週40時間を超えて労働させてはならない、また1日8時間を超えて労働させてはならないとされており、残業(時間外労働)は、労働者の代表と合意し、36(サブロク)協定を結ぶことによって例外的に認められています。労働者の代表とは、労働者の過半数を組織する労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者とされています。残業できる時間は36協定で定められた範囲となります。皆さんは、時間外労働は法律の例外的なものだと認識しておいてください。

(3)最低賃金について

 賃金の額は労働者と使用者の合意によって決まりますが、労働者はどうしても立場が弱いため、不当な合意をさせられることがあります。そのため最低賃金を定め、その水準を引き上げていくことが労働者の最低限度の生活水準を守る1つの手段になります。
 最低賃金法では、最低賃金未満で労働させた企業に対して、対象となる労働者1人につき50万円以下の罰金が科せられると規定されています。
 最低賃金は、表のように都道府県ごとに定められており、アルバイトやパートといった働き方に関係なくすべての労働者に適用されます。

 2010年に、政府と労働組合と経営者団体が行った雇用戦略対話では、まず全国最低額が800円以上に、さらに将来的には全国平均で1,000円を超えるように政労使で協力していくと合意されましたが、まだほど遠い状況です。特に問題は、年々、都道府県ごとの最低賃金の最高額と最低額の差が大きくなってきていることです。
 こうした中、連合は最低賃金審議会の労働者代表として、少しでも最低賃金が高くなるように努力しています。

(4)年次有給休暇について

 年次有給休暇は省略して年休、あるいは有休と呼びます。採用後6か月以上経過し、かつ全労働日の8割以上出勤した場合、正社員・パート労働者・派遣労働者などが仕事を一定日数休んでも給料が貰える制度です。年休は、労働者が指定する日や時期に自由に取得することができます。一方 会社には、その労働者が年休をとると正常な事業運営ができないといった特別な事情がある場合、他の日に年休を変更ができるという時季変更権が認められています。
 そして、年休取得を理由に人事や評価を不利益に取り扱うことはできません。また、年休の有効期限は2年と定められていますので、その年に年休を取れなった分は翌年に繰り越すことができます。以前は1日あるいは半日単位の有休しか認められていませんでしたが、現在は労使協定を結べば年間5日分を限度として、時間単位でも取れるようになりました。

2.労働時間の問題について

(1)労働時間をめぐる問題点

[1]長時間労働の弊害の顕在化
 厚生労働省が企業を対象に実施した調査によると、フルタイム労働者(正社員)の年間総労働時間は2030時間でした。連合がめざす年間1800時間とは相当な差があります。1週間の労働時間をみると、60時間以上の人が18.2%います。法定労働時間が40時間ですから週20時間以上も残業している計算になります。
 一方、総務省がパートなどを含む労働者を対象に実施した調査によると、年間総労働時間は2095時間でした。先ほどの厚生労働省の調査と比較して、パート等を含む総務省の調査の方が労働時間が長くなるという結果になりました。一概には言えませんが、この違いは、企業へ調査したか労働者へ調査したかの差であり、残業代が支払われていないサービス残業を含んでいるか・いないかだと考えられます。また、男性の労働時間は長く、年間総労働時間が2340時間となっています。先述の厚生労働省の企業を対象にした調査でも、子育て世代と呼ばれている30歳代の男性の労働時間が一番長くなっています。これは男性だけの問題ではなくて、女性の活躍推進にも繋がる問題だと思っています。男性が家庭や地域での役割を果たせていないことが女性の活躍推進を阻害しているのではないかと思います。
 長時間労働による過労死が長らく問題視されており、労災認定されているだけでも年間に100名以上が亡くなっています。こうした社会を一刻も早く無くさなければいけないと思っています。

[2]労働時間規制に関する法整備の状況
 a) 割増賃金と代替休暇
 使用者は残業に対し割増賃金を支払わなければなりません。これは企業に対し経済的なペナルティを課して長時間労働を抑制するためです。日本では1日8時間を超えて労働する場合、時給額が決められていなければ、月給を時給に割り戻して、それにプラス25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
 諸外国でも割増賃金が定められています。各国の割増賃金率をみると、アメリカ・韓国は50%、EU諸国は基本的に残業が少ないですが、割増率は日本より高くなっています。
 2008年の労基法改正において、特に長い時間外労働を抑制するため月60時間を超える時間外労働について、50%以上の特別割増率が規定されました(労基法第37条第1項但書)が、企業側からの意見で、代替休暇※で対応可能となっています。しかし、月60時間超も残業をする者が休暇をとれるのか疑問です。
 ※引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度

 b) 時間外労働限度基準の問題
 日本では、時間外労働の制限として「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号)」が定められていますが、告示にとどまり強制力に欠けています。また、この時間外労働限度基準の違反に対する罰則はなく、行政による必要な指導のみに留まります。しかも、先述した36協定で同基準を超える特別条項を定めることができ、特別な事情があれば、実質的に時間外労働は青天井と言えます。実際に、上限時間600時間超の特別条項を設けている会社が60%以上、800時間超が15%、なかには1,000時間超の会社もあるという状況です。
 こうした状況に対し労働組合に2つの責任があります。1つ目は職場の理解がなかなか得られないことです。労働組合が時間外労働をもっと規制したいと職場に説明しても、なかなか職場の皆さんは理解してくれません。このため、労働組合は、職場のみなさんに残業をしなくても仕事が終わるように、残業代がなくても生活ができるように、意識を変えてもらえるように努力しなければならないと思っています。
 そして、もう1つの責任は、我々の努力不足で依然として労働組合がある職場が少ないことです。労働時間規制の枠組みで重要な位置づけを持つ過半数代表者制について、労使協定の一方の当事者である労働組合が労働者の過半数代表者となることが最も良いのですが、実際、労働組合がある職場は2割弱と少ない状況です。例え労働組合がない企業でも、労働者代表が適切に選ばれていれば少しは良いのですが、実際、労働組合がない多くの企業は労働者代表の決め方が杜撰です。連合としては、こうした状況を変えるため審議会等で意見を発信していますが、なかなか現政権には理解していただけません。

 c) 低い年次有給休暇の取得率
 日本における年休取得率は50%を下回っています。年間に1日も年休をとらなかった者が16.4%、年休取得が5日以下の者が50%超となっています。年休が安心してとれる職場環境にしていかなければ、ワーク・ライフ・バランスの実現は理想でしかありません。経営者の責任は当然ですが、働く者の意識も変えていく必要があります。
 

(2)労働時間についての連合の基本的考え方について

[1]労働時間規制が持つ意味
 労働時間規制が持つ意味として、労働者の健康と安全を守るということと、生活時間を確保することがあると思います。生活時間の確保の中には、社会時間という考え方も重要な要素になると思います。地域社会の中で、ひとりの人間として果たさなければならない役割があり、そのための時間も必要なのではないかと思います。地域がご高齢の方ばかりになっている状況では、現役であっても地域での役割を果たさなければ、地域が立ち行かなくなってしまいます。生活時間の中に地域社会での役割を果たす時間も入れて考えなければならないと思っています。

[2]重視すべき視点
 過労死・過労自殺やストレス性疾患の増大等、長時間労働の弊害が顕在化しています。こうした中、労働時間法制の見直しにあたっては、とりわけ実効性のある健康確保策を講じることが重視されるべきです。
 さらに、ワーク・ライフ・バランスの視点や企業間の公正な競争確保の視点も必要です。EUには非常に厳しい労働時間規制があります。これは、その加盟国のほとんどが陸続きで、人の往来が自由であるため公正な競争の観点から厳しくなったと言われています。また、韓国も日本以上に働き過ぎる状況にありましたが、見直されてかなり規制されています。
 こうした公正な競争の考えは日本にも必要です。例えば、ある業界で、労働者を犠牲にするいわゆるブラック企業が競争に勝ち残れば、結局、こうした企業でないと業界内の競争に勝てないとなってしまいます。特にサービス産業はこうした傾向になりがちです。公正な競争をしなければ、長時間労働等を引き起こしかねない状態に陥ってしまうという視点を持たなければいけないと思います。

[3]集団的規制と個別同意
 先述した通り、労働基準法では、法定労働時間を週40時間・1日8時間と定め、過半数労働組合等との労使協定や労使委員会の決議によって、原則的な規制に対する例外を認めています。こうした原則的な規制に対する例外を認める場合、労働組合との集団的な規制も大切ですが、個人の同意も適切に行われるべきだと思っています。つまり、集団的規制と個別同意を適切に組み合わせる必要があります。

[4]実労働時間の把握
 また、労働者の健康確保のためには、「実労働時間の規制」が重要であるとともに、「実労働時間の把握」が必要です。例えば、裁量労働の場合、会社は労働時間に関する規制は関係ないと考えています。しかし、会社は、裁量労働の場合であっても、従業員がどのくらい働いているかしっかりと把握しなければ、使用者として健康や安心への配慮義務を果たしておらず、従業員に対する安全・健康配慮義務を免れるものではありません。

(3)連合が求めている労働時間規制の改正について

 具体的に労働時間規制の改正として、連合が主張していることは次の3点です。

[1] 改正労基法第37条の中小企業への猶予措置の早期廃止
 先述の月60時間を超える時間外労働に対する50%以上の特別割増率については、中小企業には適用が猶予されています(労基法138条)。この猶予措置は、法施行後3年(2013年4月)を経過した場合、検討を加え必要な措置を講じることとされていましたが、(改正労基法附則3条1項)、いまだ適用が猶予されたままになっています。
 「人たるに値する生活」を保障するための労働条件の最低基準を定めている労働基準法において、ダブル・スタンダードは解消されるべきであり、連合は改正労基法37条の中小企業への猶予措置の早期廃止を求めています。

[2] 休息時間(勤務間インターバル)の導入
 長時間労働による過労死・精神障害等を防止するためには、十分な休息時間を確保する必要があります。例えば、EUをみると、労働者の健康確保の観点から、EU指令で24時間につき連続11時間の「休息時間(勤務と勤務の間隔)」の保障が義務付けられています。一方、日本の労働法制には、トラックドライバー向けに似たような制度があるだけで、休息時間の規制はありません。
 連合としては、労働者の健康確保をはかるため、「休息時間(勤務間インターバル)」規制を導入すべきと考えています。具体的には、十分な睡眠時間と生活時間を考慮して、24時間につき原則として連続11時間の休息を保障するよう求めています。簡単に言えば、今日の勤務が終わってから明日の勤務が始まるまでに少なくとも11時間は空けましょうという制度です。この11時間のインターバルの根拠は、総務省の社会生活基本調査結果のデータをもとにしています。当調査によると、食事、睡眠、身の回りの用事に区分される第1次活動にかかる時間は、最も短い35歳~39歳の子育て世代の男性で平均9時間54分となっています。それに、平日雇用されている男性の週平均の通勤時間である1時間10分を合わせて、最低でも11時間は空けなければならないと主張しているわけです。実際には、個別に会社に制度導入を求めたり、政府に国の制度としての整備を求めたりしています。

[3]時間外労働にかかる上限時間規制の導入
 先ほど述べたように、時間外労働は実質的に無制限であることから、労働者の健康を考えれば、時間外労働に歯止めをかける必要があります。
 このため、連合は「告示である『時間外労働限度基準』の法律への格上げ」、「特別条項付き36協定を適用する場合における上限規制の法定化」、「罰則の強化」を主張しています。

(4)今回提出されている法律の改正案について

 4月3日に閣議決定された「労働基準法等を一部改正する法律案」は、以下のように「I」の長時間労働を抑制しようとする案、「I」の労働時間規制を緩和しようとする案の2つに大きく分けられます。

 長時間労働をなくすためには、「I」の内容では極めて不十分です。先ほど説明したように、中小企業に対する特別割増率の規定適用猶予の見直しは当然であり、一刻も早くやるべきです。(2)では「配慮」、また(4)では「促進」と記載してありますが、あまり実効性のない内容です。唯一実効性のある内容は、「(3)一定日数の年次有給休暇の確実な取得」ですが、もともと年休を1日も取れていない人に対し年休を取らせるという意味では、5日ではまだ不十分だと思います。
 次に「I」をみると、(3)「高度プロフェッショナル制度の創設」は、以前、ホワイトカラー・エグゼンプションと言われていました。簡単に言えば、一定額を支払えば労働者を使い放題できる仕組みです。「1000万円以上年収がある人を対象とした制度だから、それより年収が低い人には関係ない」と誤魔化されてはいけません。経営者団体は、年収400万円以上まで対象を拡大すべきと言っています。まずは1000万円以上で法律を通した後、制度適用の対象を拡げていこうという意図がいたるところでみえます。ただでさえ長時間労働であるにも関わらず、さらに助長されてしまうことが懸念されます。
 年収要件がある「高度プロフェッショナル制度」はまだ良いのですが、(2)の「企画業務型裁量労働制の見直し」には年収要件がないので新入社員も適用され、あらかじめ定めた時間で働いたとしか見なされません。仮にそれを超えて働いたとしても、残業代は定められた時間分しか支払われません。現在、企画業務型裁量労働制はかなり絞った業種・職種にしか適用されませんが、課題解決型提案営業、つまり企業に対して営業する法人営業に新たに適用できるようにされています。長時間労働が問題になっている法人営業の職場が、さらに長時間労働になる危険があると考えられますので、どうにかしてこれを阻止したいと思います。ただ、今の政治状況では、社会的に反対の声をあげるしかないと思っています。

3.労働者派遣法について

 労働者派遣法改正法案については、野党がかなり激しい反対をしたにも関わらず、衆議院を通過し、現在、参議院で議論が始まったところです。派遣労働には、賃金が低い、雇用が不安定など様々な問題があります。派遣労働者にアンケートを取っても、「本当は正社員として働きたかったけど正社員としての働き口が見つからなかった」という回答者が4割以上もいます。今は「正社員として働きたい」という人が6割もいます。

 労働者派遣について、連合としては、常用代替防止と派遣労働者保護の観点に立って見直すべきと考えています。常用代替防止とは、正社員にとって代わるような派遣労働は認められないということです。派遣労働は臨時的・一時的・専門的な業務に限るべきということが、世界的にスタンダードな考え方です。そうした考え方に基づいて、EUや韓国、中国でも派遣労働を取り扱っています。連合としては派遣労働をすべて否定しているわけではありません。連合は派遣労働を臨時的、一時的、専門的な業務に限定した上で、派遣労働者の保護として均等待遇、つまり派遣先の従業員と同じような待遇にすべきだと訴えています。均等待遇について、EUや韓国、中国でも法律に盛り込まれていますが、日本では盛り込まれていません。それにも関わらず派遣法が改悪されようとしています。
 派遣労働者は会社に対し弱い立場であり労働組合を結成しにくいといえます。また、労働組合を結成した場合、派遣労働者は派遣元と交渉することになりますが、様々な職場に派遣されているため労働組合の活動が難しいのです。こうした状況を踏まえ、連合としては新たなルールも作るべきであると思っています。また、派遣労働者はスキルアップも自己負担のため、これについてもルールが必要だと考えています。
 現在、派遣期間は専門的な業務以外は3年です。派遣期間の制限がない専門的な26業務とは、例えば秘書、ソフトウエア開発など特別なスキルを必要とし、いくつもの企業に勤めることで、さらなるスキルアップをしていくような業務です。
 派遣に関する専門業務について、連合は時代の流れに合わせて変えながら残すべきだと主張しましたが、通りませんでした。今後、改正法案が成立すれば派遣元で無期雇用であれば、無制限で雇って良いことになります。派遣元で無期雇用だからといっても雇用が安定しているわけではありません。また、派遣元で有期雇用の場合、派遣期間が3年を超えても、人を変えれば派遣で使い続けることができます。つまり、派遣会社が労働者を生涯低賃金のまま使い続けることができる制度といえます。今後、雇用の基本が派遣になりかねません。皆さんには派遣の問題にもぜひ関心を持ってほしいと思います。

4.解雇の金銭解決とは

 解雇の金銭解決とは、お金さえ払えばいつでも解雇できるといった制度ではなく、解雇された労働者が不当解雇だと裁判に訴え、不当な解雇だと判決が出た後に金銭で解決する制度です。ただ、この制度では、労働者が職場に戻りたくても、最終的にはお金で解決できるため、会社は裁判で負けるリスクを恐れずに解雇を行うようになると考えられます。こうしたことから、連合は解雇の金銭解決を導入すべきではないと主張しています。

5.最後に

 ワークルールはまだ世間にはあまり知られていませんが、当然の知識として知っておかなければならないと思います。労働者だけでなく経営者もワークルールを知る必要があります。人の使い方のルールを知らないまま人を使う経営者がいるような実態を変えていかなければなりません。
 そして、入社された企業に労働組合があったら、ぜひ加入してください。また何か仕事に関するトラブルが起きた場合には、入社した企業の労働組合、労働組合がない場合は連合に相談してください。あわせて、将来、労働組合の役員をやっていただきたいと思います。人脈がとても広がりますし、いろいろな立場の方と話す機会ができるため良い経験になります。
 以上で私の話を終わります。

以 上

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