第16回マスターコース修了論文集

物流を止めないために
―トラック運輸産業の人員不足を改善する―

髙橋 貴之(運輸労連 ヤマト運輸労働組合)

<概要>

 トラック運輸産業の「人員不足」が、深刻化している。トラック運輸産業の現場では、「募集してもドライバーが集まらない」との声を聞いてから久しい。国土交通省が2008年に報告した「輸送の安全向上のための優良な労働力(トラックドライバー)確保対策の検討会」では、「2015年度に最大14.1万人が不足する」と報告がされたが、現在それを実感することとなった。
 国土交通省の報告を受けた企業は、就業者の維持・増員を図るため、幾多の施策に取り組んだものの、改善が進んだと断言するには材料が少ない。求人倍率をみても、2017年2月の自動車運転者有効求人倍率は2.63倍(厚生労働省2017年3月31日発表)と高い状況で、輸送需要の増減にかかわらず、「ドライバー不足」の状況が継続している。さらに就労しているドライバーの高齢化が進んでいることも課題の一つだ。トラック運輸産業の「人員不足」に対する改善が進まなければ、今ある国民生活が不自由になる可能性も大きい。豊かで便利な生活を維持するためにも、物流ネットワークに必要不可欠な人員を確保するための施策を見出し、現状の分析と運輸労連に加盟する労働組合(企業)が課題解消のために取り組んだ事例などを収集した上で実情を分析し、課題解消に向けて考察する。

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