第16回マスターコース修了論文集

外資系企業の労働組合に求められる対応
―魅力ある賃金制度の構築に向けて―

鈴木 政則(自動車総連 日産労連)

<概要>

 近年の激しいグローバル競争が続く中、日本企業が外資系企業に買収されることで、これまでの日本の文化・風習、各種制度などが変貌を遂げてきており、この変化の中で、従来日本の労使が築き上げてきた雇用制度と賃金制度も存続が難しくなってきている。
 外資系企業といっても、そこで働く従業員のほとんどは日本人であり、日本で生活をしている。買収されたからには、親会社である海外の制度を導入する必要性は理解するが、現在日本の外資系企業で働く者にとって、個々人の生活に直結する賃金制度に多くの課題が残されている。
外資系企業としても継続的な成長をしていく為には、いかに従業員が理解し納得できる賃金制度を作り上げていくかが重要である事は言うまでもない。
 従来の年功的な賃金制度とは異なり、外資系の場合は、個人の役割および個人の成果と賃金がより連動する傾向が強い。高い成果を出す人が報われる点で、この制度には納得のいく側面もある。ただし、平均的に頑張る人が不利益を蒙ることがないよう、組合として努力しなければならない側面もある。両側面に留意しながら、労働組合として追求すべき、魅力ある人事制度について考えてみたい。

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