第15回マスターコース修了論文集

自治体における臨時・非常勤等職員の賃金改善にむけて
-職務給原則の壁は越えられるか-

林 鉄兵(自治労・大阪市職員労働組合)

<概要>

 「官製ワーキングプア」という言葉が世に出てから、10年。
 自治体における臨時・非常勤等職員の課題、すなわち法的な位置づけが明確でないことやそのことに起因する雇止めと劣悪な賃金労働条件については、これまでもRengoアカデミーの論文のテーマとされてきた。
 賃金の改善については、自治労や連合としてのとりくみが進められており、いくつかの先進事例は労使の創意工夫により存在するものの、全体としては向上していない。本稿では、正規職員数の減と反比例して増加する非正規職員数、任用根拠ごとに異なる法的地位や新たな総務省通知など今日的な自治体非正規職員をめぐる状況と、大阪市における経過と全体像を概観しつつ、行政サービス需要が増大している保育と生活保護の現場における非正規職員の業務や賃金の実態から、いかなるアプローチで賃上げを求め、実現していくのかについて論じる。

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