第14回マスターコース修了論文集

組合員のニーズに応えることが本当に労働組合の役割なのか?

今井 歩(情報労連・NTT労働組合)

<概要>

 昨今、労働者数は増加しているにも関わらず組合員数は減少し、労働組合組織率が低減の一途をたどっており、数は力ともいえる労働組合は、弱体化をしていると言わざるを得ない。
 筆者が所属するNTT労働組合において、組合役員としてさまざまな活動を取り組む中で、職場の組合員が対話会に参加をしない、春闘にも興味を示さない、ひいては組合活動について正しく理解をしていない等、組合活動へ非協力であったり、組合離れが進行したりしていることを、日々肌で感じている。
 厚生労働省の各種調査や、NTT労働組合が取り組む「組合員意識実態調査」のデータ等から、労働組合の結束が弱まったり、存在意義が薄れたり、社会的役割までも失いつつあることは明らかで、このままでは労働組合は、過去の物となってしまうと懸念している。
 この懸念に対して、現在の労働組合に関する現状分析、またその分析から見えてくる労働運動の課題を抽出する。その上で、今後、労働組合がどのようなポリシーをもって労働運動を展開していくことが、社会的有用性を発揮しつつ、組合員にとっても必要とされる組織であり続けることにつながるかについて、自身の組織の状況も踏まえ論じる。

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