第14回マスターコース修了論文集

今後の争議行為のあり方に関する考察

石原 政将(電力総連・中国電力労働組合)

<論文の概要>

 現在の労働組合は、日本国憲法第28条によって労働基本権(団結権・団体交渉権・団体行動権)が保障され、労働組合法・労働関係調整法・労働基準法の労働三法に基づき民主的な労働運動を展開しているが、争議行為については、憲法上の争議権の保障に基づき、正当性が認められた場合に刑事免責および民事免責等を享受することが労働組合法で定められていることから、労働組合は労使交渉を対等な立場で行うためにストライキ権等を確立し、行使することが可能となっている。一方で、労働関係調整法では、労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防・解決することを定めているが、同法の中では公益事業に係る規制および争議行為の一定期間の制限禁止(内閣総理大臣による緊急調整)を定める等、特定事業における争議行為を規制している。このほかに、電気事業等においては、「電気事業および石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律」のような特別立法によって正当でない争議行為が禁止されている。また官公労働者においては争議行為そのものが禁止されている。
 このように、争議行為は労働基本権として保障される一方、様々な法律によって特定事業の争議行為が規制・禁止されているが、本稿では、争議行為が労働者の生存的基本権として保障された経緯や特定事業の争議行為が規制・禁止された経緯や理由を分析する。また、近年の争議行為の実績や背景等も検証したうえで、今後の争議行為の在り方について考察することとする。

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