私の提言

佳作賞

働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて
連合の地域運動・地協活動の抜本的強化を!

沼田 隆

はじめに

 「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて連合としてどのような方向性のもとに運動を進めていくのかを考えた場合、何を、どうするのか!実際にはいろいろなアプローチの仕方があると思うが、「連合」にとって、そして「働く者―労働者」にとっては、やはり連合として様々なかかわりを持っている地域運動課題の視点からアプローチをするのが、より現実的であり、わかりやすいのではないかと思われる。
 また、「働くことを軸とする安心社会に向けて」~わが国が目指すべき社会像の提言~第4章の「2.地域で顔の見える労働運動」の中でも、地域の労働運動の重要性に触れており、とりわけ、連合の地域活動に長年かかわってきた自らの経験からすれば、連合の地協・地区協における様々な活動を実践する中から「働くことを軸とする安心社会」へ近づくことが可能となるのではないかと考え、昨年に引き続き「連合運動」の諸課題を考える中から、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて私論を述べてみたい。

1.連合の地域(地協)活動の歴史と課題

 "はじめに"の中でも述べたように、連合運動が地域社会の中でどのような影響力を持つのか、持ち得るのか、またどのような可能性があるのかを考えることにより「働くことを軸とする安心社会」を展望することができるというのが私の問題意識であり、現在の地域社会の中に存在する連合の地域組織―地協・地区協活動の推進・発展ぬきには、「働くことを軸とした安心社会」を語ることができないのではないかというのが、基本的な考え方である。

(1)連合の地域活動強化の足跡

 結成当初連合は、規約第10条で「連合は、地方における連合の活動を行う組織として、地方連合会を設ける。」、「地方連合会は、『連合の進路』と規約及び連合の方針にしたがい、目的のために地方・地域で活動を行う。」という組織として地方連合会を規定しており、連合本部の方針に基づき、地方で運動を展開する組織として地方連合会を位置づけていた。
 2010年4月に連合総研によってまとめられた『「地域協議会の組織と活動の現状」調査報告書』(以下「調査報告書」という)によって、連合における地域運動の足跡をたどってみると、
 連合の地域組織については、1993年10月に開催された連合第3回定期大会で、当時の山岸会長が「地域で「顔の見える運動」を推進しよう」と呼びかけたことにより、地方連合会の強化が正式に表明されたと考えられていた。
 その後、地方連合会の組織と財政が整備されていく中で、連合は、1996年12月の第15回中央執行委員会において、「地方活動強化のための対策指針」として、運動の方向性や姿勢を表す6つの目標軸と、具体的な7つの重点課題を確認している。
 「これからの地方連合会がめざすもの(6つのアプローチ)」として提起された、6つの目標軸は

[1] 地域で顔の見える連合運動、自発的参加型の地域運動づくりに力を傾注する。

[2] 連合の地域運動を支える人材の確保・育成を計画的に推進する。

[3] 地域に暮らし働くあらゆる労働者に連合運動の「入り口」を用意する。

[4] 取り組む課題に即した運動主体の見直し、運動効率の向上、重複活動の整理などを進め、筋肉質な地方連合組織をつくる。

[5] 地方連合会・地域協議会活動への女性組合員の参加を積極的に進める。

[6] 失敗を恐れない、挑戦型の活動スタイルを取り入れ、気合の入った運動を一つでも多く創り出す。

(「調査報告書」P.5~6)

という6点である。
 また「7つの具体的な重点課題は」、
『・組織基盤の強化、 ・一体的組織運営体制の強化、 ・組織拡大、 ・メリハリの利いた活動スタイル、 ・政策力の向上、 ・情報化の進展、 ・中期計画の策定』 (「調査報告書」P.6)、の以上7点であるが、これらの内容を見るならば、ここでいう地方活動の強化とは、地方連合会の組織体制の整備・強化という内容であったと考えられており、地域協議会という言葉は出てくるが、地域協議会組織体制の整備・強化という視点は十分ではなかったようである。
 しかしながら、これらの目標軸や重点課題などは、現在の連合地協・地区協活動の推進にとっても有意義な内容であり、こうした課題を検証・達成していくことにより、「働くことを軸とする安心社会」へ向かって進むこともできるのではないかと考えられる。
 この後、連合は、2003年の「地方連合会活動の在り方検討会」答申、2005年の第9回定期大会に提案された「地方連合会・地域協議会改革の具体的実施計画」により、地域協議会の果たすべき具体的機能などを提起し、地域協議会組織整備の取り組みを具体化することになった。

(2)「地方連合会・地域協議会改革の具体的実施計画」

 2005年の連合第9回大会において提案された「地方連合会・地域協議会改革の具体的実施計画」では、地方連合会が取り組むべき5点の活動が挙げられるとともに、地域協議会が果たすべき10の具体的機能が提起されたことに、大きな特徴点を見出すことができる。
 ここで提案されている地方連合会が取り組むべき5つの課題とは、簡略に表現すれば、
[1] 組織拡大。
[2] 加盟組合に対する支援。
[3] 政策・制度要求の実現。
[4] 地域における社会参加活動の推進。
[5] 政治活動。
の5点であり、これに対して、地域協議会は、以下(表5)にあるような10の機能を果たすべきであるとされている。

表5 地域協議会が果たすべき10の具体的機能
機能 具体的内容
[1] 交渉機能 地協での地域ユニオン結成も展望し、労働相談や労使紛争解決機能を高める。
[2] 中小労組支援機能 中小・地場・パート労働者などから日常的に頼りにされる拠り所にしていく。同時加盟・複数帰属も検討。雇用労働者以外の労働者に対する支援も行う。
[3] 共済機能 労福協や労働金庫・全労済、生活協同組合などとの連携で、共助の機能を重視する。
[4] 生活相談機能 法律相談(交通事故示談・相続・離婚など)、多重債務問題、税務相談、介護や育児・女性の相談、市政全般にわたる相談、定年前のライフサポート相談、自宅のリフォームやパソコン教室に至るまで、勤労者の多岐にわたる生活上の相談に対応していく。
[5] 政策提言機能 さまざまな生活相談の個別解決の積み重ねを政策としてまとめ、行政に対して政策提言していく。
[6] 働く人の街づくり機能 住みやすい環境、街づくりに組合員の知恵やノウハウを持ち寄り、地域おこしをプランする。
[7] 中小企業支援機能 中小企業勤労者福祉サービスセンターの活用、各種助成金相談を行う。金融支援の可能性も追求する。
[8] 退職者の拠り所機能 雇用されなくなったときに労働運動へ参加できる場となる。生涯組合員構想を実現させる。いつでも退職者が集まれる場所となる。
[9] 職業紹介機能 離職者・失業者の就職支援を行う。行政との連携、労使就職支援機構を活用する。スキルアップのための職業能力開発を支援する。
[10] ネットワーク機能 NPO、ボランティア団体との間にネットワークをはり、多様な知恵を活用し、市民運動のパワーと連携する。
「調査報告書」P.12より転載

 ここに示された、地域協議会の果たすべき具体的機能は、地協独自の機能・課題というよりは、地方連合会と地協が一体となって活動を推進すべき機能や、地方連合会と地協の役割分担により対応すべき機能であると考えられる。しかしながら、これまで試行錯誤を繰り返しながら地協が地域において様々な形で取り組んできた、社会参加活動や区市町村に対する制度・政策要求実現の活動などが、この「地域協議会が果たすべき10の具体的機能」によって、ある程度整理されたと見ることも出来るのではないだろうか。
 以上、「調査報告書」によりながら、連合の地域活動の足跡を簡略にたどってみたが、ここで提起されてきた地域協議会の課題等は、今後の地域協議会活動の指標ともなるべき課題である。以下、これまで自らが経験してきた東京西北地域における連合地協・地区協活動の経験の中から、「働くことを軸とする安心社会の実現に向けて」連合地協・地区協活動の今日的意義を明らかにしてみたい。

2.地協活動の具体的な展開から見えてくるもの

 連合の地域活動は、1996年以降、地方連合会及び地域協議会の課題や果たすべき役割・機能などが一応整理され、各地協(地区協)により様々な活動が展開されることになっていくわけであるが、私が所属していた連合東京北部地域協議会(現在は西北部ブロック地域協議会)においても、地協幹事会の中で、各行政区に対する政策・制度要求の取り組みの強化や社会参加活動への取り組みなどが地協活動の重要課題として議論され、具体的な取り組みが進められるようになってきた。

(1)「地方自治研修会」を通じた地域との交流

 北部地協の中では、政策委員会を設置し統一要求基準を取りまとめ、毎年各区に対して政策・制度要求を提出し、回答を得、その内容を検証するというサイクルを確立し、「住みよく、働きやすい自治体―区政の実現」のための活動を進めてきたわけであるが、そうした活動をさらに発展させるため、1999年から「地方自治研修会」を毎年開催してきた。
 この「地方自治研修会」は、その時々の主要な政策課題について、区行政などの協力を得て、自治体現場(施設等)の見学も含めて学習・意見交換を中心に地方議員にも参加を呼びかけて実施されてきた経過がある。
 99年の第一回は、豊島区と清掃一部事務組合の協力を得て、豊島清掃工場の見学と清掃リサイクル問題を取り上げ、翌年の第二回は、北区の協力を得て、北区の特養ホームの見学と高齢者介護の現状・この年に創設された介護保険制度の課題などのテーマで研修を行った。その後この活動は、2002年に地協の組織統合により結成された連合東京西北地協にも引き継がれ、政策委員会活動の主要な課題として、今日まで毎年取組が進められている。
 こうした活動は、各区行政との円滑な関係を形成するだけではなく、この間「地方自治研修会」として取り組んできた諸課題(バリアフリーチェック、コミュニティバス、独居高齢者、帰宅困難者問題等々)を通じて、地域コミュニティを形成する高齢者や障がい者・介護関係の諸団体との地域活動での交流を生み出すことになり、地域の中で労働組合組織である連合に対する理解を深める一助になったのではないかと思われる。また、地域密着の業務に携わる連合の組合員も多数いることから、業務を通じての地域との交流も今まで以上に深まった感がする。

(2)地域における社会貢献活動

 前述の「地方自治研修会」とともに、行政及び地域との交流を進めた活動として北部地協として取り組んだ「さわやかキャンペーン」の活動がある。
 この活動は当初、豊島区が主催する「リサイクルフェア」に、「クリーンキャンペーン」として連合東京北部地協が参加する形で取り組まれた活動である。第1回目は、1998年10月に豊島区の後援・協力を得て池袋駅西口・東口周辺の清掃活動及び池袋西口公園でのパネル展示活動として行われたわけであるが、1997年10月に施行された「豊島区路上喫煙及びポイ捨て防止に関する条例」に協力する内容として取り組まれた。その後、この条例の第12条にある「さわやかな街づくり」という文言に因んで、活動名も「さわやかキャンペーン」と改称され今日に至っている。また、この活動は、2002年の地協の統合と前後して、地協としての取り組みから連合豊島地区協としての取り組みとなり、そのほかの地区協でも行政の協力を得て、各地区協独自で「さわやかキャンペーン」を取り組むこととなった。その後、連合豊島地区協として取り組むようになった「さわやかキャンペーン」については、ポイ捨て防止の清掃活動だけではなく、豊島区として力を入れて取り組むこととなった池袋駅周辺の「放置自転車対策」についても、「さわやかキャンペーン」の中で取り組むこととなり、区行政との協力関係が一層深まることとなった。
 なお、この連合豊島地区協による「さわやかキャンペーン」は、環境美化の取り組み強化の一環として区の協力・資材提供を受けて、数年前から繁華街の歩道上に多く見られるガムを吐き捨てた跡の黒い汚れを取る作業も行っており、この行動が「ガムはがし実演でまちのポイ捨て防止をPR」として2013年の連合エコ大賞の優秀賞に選ばれ、本年6月20日に開催された連合主催の「第16回環境フォーラム」において好事例として紹介された。これにより、地域に密着した社会貢献活動として「さわやかキャンペーン」の活動は、今後より一層の発展を遂げていく可能性も大きく、地域社会との交流もより深まっていくことが考えられる。

 以上、二つの主要な地域活動の経験の中から、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて連合地域活動の果たすべき役割を、以下明らかにしていくことにするが、自らの活動の経験ではないが、連合東京三多摩地協の特筆すべき地域活動を1点紹介したい。
 それは、連合東京三多摩ブロック地協が事務局を担っている「子どもを守るネットワーク」の活動である。この団体は、全国的に子供の誘拐や連れ去りなどが頻発している現状を踏まえ、2006年7月に三多摩の各市町村や交通・運輸関係、金融機関、電気・ガス等多くの企業や労働組合が参加して設立された団体であり、「子どもをまもる」ステッカーを貼付した公用車や民間車による見守りや、ポスター・掲示物等をバスや商店街、公共施設等に掲示するなどの広報活動を通じて「子どもをまもる」活動を積極的に展開している。また、連合三多摩の各地区協も、政策・制度要求時に、不参加市町村へはネットワークへの参加を、参加市町村へは更なる活動の充実をそれぞれ呼びかけている。このように、地域の安全・安心を守る活動に地域の連合組織が積極的にかかわることにより、連合のめざす「働くことを軸とする安心社会の実現」に大きく貢献していると考えることができるのではないだろうか。

3.「働くことを軸とする安心社会の実現に向けて」、
今、連合地域活動(地協・地区協)に何が求められているのか

 「働くことを軸とする安心社会の実現に向けて」連合活動を考えた場合、企業内・産別内の活動も然ることながら、労働組合の社会的責任という観点からも連合の地域活動の充実・社会貢献活動の発展こそが、最重要な課題であるともいえる。
 初めに紹介した連合総研の「調査報告書」のヒアリングレポートの中には、全国各地の連合地協の優れた活動や、他の地協活動で教訓となるような取り組み、また、地協活動を進める上での悩みや問題点なども明らかになっている。
 しかし、こうした活動の取り組み内容が、連合全体で共有化され教訓化され、連合のめざすべき社会像を実現するために全国の地協活動に生かされているかというと、大きな疑問が残るところであり、地協情報の共有化という視点からしても、連合として全国の地域運動の更なる活性化に向けて何らかの方策を考え、実行する必要があると思う。

方策その1.

◎連合の地協活動の優れた取り組みや経験を交流し、全体として共有することができれば、より地協・地区協の活動が活発化するのではないか。特に、「調査報告書」P.36以下の「ヒアリングレポート」にあるような、各地協の活動事例を有効に活用することにより、全国の地協活動を活性化させることも可能になる。そのためにも、各地における連合の地域活動を紹介した機関紙・ニュース・地協活動のホームページ・モデル地協の活動報告等で紹介された内容などを集中・管理できる場(連合地協活動センター的な担当部局・サイト等)を設置し、全国の地協・地区協組織からアクセスできるようにすることにより、リアルタイムに情報を発信・収集し、地協活動の活性化に生かすべきではないだろうか。

方策その2.

◎地域コミュニティの核となるような連合の地域活動を展望するためにも、様々な地域コミュニティとの連携を進めることが必要である。言い換えれば、地域に密着した連合の地域活動の展開が求められている。
 この点に関しての参考例としては、連合東京西北部ブロック地協における「元気!ながさきの会」との連携・協力関係を挙げることができる。
 「元気!ながさきの会」は、2001年9月に「豊島区認知症予防活動グループ」として設立された地域団体である。この団体は、認知症予防に関する事業活動を中心にシニアのためのパソコン講座など多様な趣味の活動を実施している。連合地協とは、地協で使わなくなったパソコンを「元気!ながさきの会」に寄付し、地協の専従事務局員がパソコン操作の手伝いを行ったことからかかわりを持つことになった。現在は、地協主催の「囲碁・将棋大会」に、「元気!ながさきの会」の囲碁グループが参加し、その報告が「元気!ながさきの会」の広報において写真入りで紹介されるなど交流も深まっている。また、2012年に豊島区の協力を得て「セーフコミュニティ国際認証取得(注)」を題材に実施された地協主催の「地方自治研修会」においても、セーフコミュニティの拠点施設で「元気!ながさきの会」が実施している太極拳講習会を見学するなど、様々な交流が進められている。
 先にも触れたことであるが、連合の地域組織が、地域活動を通じて、それぞれの地域の中で活動する様々な団体(NPO,ボランティア、高齢者、障がい者、子ども)との交流・連携を通じて信頼関係を形成することにより、「働くことを軸とする安心社会」へ近づくことが可能となる。さらに、連合地協が実施する諸活動(地方自治研修会や囲碁・将棋大会等々)への参加の呼びかけ等を積極的に行うことも必要である。そして、こうした活動を通じることによってこそ、地域の中で連合運動への理解を深めていくことも可能になるのではないだろうか。

方策その3.

◎地域運動・地協体制の抜本的強化
 単組・産別の活動で忙しく、連合(地協・地区協)への役員派遣や地域活動まで手が回らないなどの声がよく聞かれる。また、連合の専従事務局員などからも、現在の財政規模や人員配置では、これ以上の活動領域の強化・拡大は困難だという声も聞こえてくる。
 これまでも連合本部は、地協活動の強化・充実に向けて財政基盤の強化などの地協改革に取り組んできているが、そうした取り組みを結実させ、「働くことを軸とする安心社会」を実現するためには、連合傘下のすべての産別・単組の協力・理解を得て、地協体制の抜本的強化のための方向性を確立することが求められている。なお、地協体制の充実・強化については、単に専従事務局員を増員するのではなく、多くの経費を必要としない方法を考えるべきである。例えば、連合や産別・単組の地域運動に携わった経験があり意欲があるOB等の人材活用や、組織内・連合推薦地方議員の今まで以上の地協活動への協力体制の強化なども含めて、可能な方策を検討すべきである。また、こうした地協体制の強化を方針書に掲げるだけでは何の意味もないので、具体的な人材活用の方法なども含めた実施計画を作成することである。そうすることによって、まさに2005年10月の連合第9回定期大会に提起された「地域協議会が果たすべき10の具体的機能」を持つ地域協議会を実現すべき道筋が現実のものとなるのではないだろうか。

むすびにかえて

 2011年3月11日の東日本大震災以降、様々な仕事で地域との繋がりを持っている労働組合の社会的役割が再認識され、その役割はより重要性を増していると考えられる。大袈裟な言い方になるかもしれないが、今、地域運動に連合が、そして労働組合が積極的に関らなければ、連合の、そして労働組合の未来はないといっても言い過ぎではないだろう。
ここで提起した方策などについては、これまでも様々な場において、様々な形態で提案・実践されてきた経過もあると思うが、「働くことを軸とする安心社会」を実現するための足掛かりを築くという観点からも、地域社会との繋がりを重視した連合の地協活動を充実・強化・発展させる取り組みを再構築していく必要があるのではないかと思い、いくつかの提案をしてみた。
 この間連合は、1996年の「地方活動強化のための対策指針」、2005年の「地方連合会・地域協議会改革の具体的実施計画」、そしてモデル地協の選定と活動状況の検証、連合会費の値上げと財政構造の改革による地協の財政基盤の強化などにより地協改革を進めてきた。この「調査報告書」のP.16でも「地協による運動、活動の広がりが地域社会、そこに住み、働き、生活する人々に良い影響をもたらしてこそ、一連の改革は意義あるものとなる。」と述べられていることからしても、現在の社会状況の中で、連合の地域活動が「働くことを軸とする安心社会の実現」のために大きな役割を果たすことが求められているといっても過言ではないと思うし、そのための活動を今こそ推進しなければならないのではないだろうか。


(注)「セーフコミュニティ国際認証取得」

 セーフコミュニティとは、「WHO地域の安全向上のための協働センター」が推進する、安全・安心まちづくりの国際認証制度で、2013年2月現在、世界約300都市が取得している。豊島区は2012年11月、世界で296番、日本で5番目、東京では初めて、この国際認証を取得した。
「けがや事故等は、偶然の結果ではなく、原因を究明することで必ず予防できる」との理念に基づき、「横断的な連携・協働」と「科学的手法の活用」により、安全・安心と健康の質を高めていく街づくり活動をセーフコミュニティ活動という。
(豊島区公式ホームページ「みんなでつくるセーフコミュニティとしま」より抜粋)


参考資料
◎「地域協議会の組織と活動の現状」調査報告書 (2010年4月16日 財団法人 連合総合生活開発研究所)
◎「働くことを軸とする安心社会」に向けて ~わが国がめざすべき社会像の提言~ (2010年12月 日本労働組合総連合会)
◎「連合東京北部地協第6回定期総会議案書」(1999年11月9日)
◎「連合東京北部地協第7回定期総会議案書」(2001年11月9日)
◎「連合東京北部地協第7回地協委員会・臨時総会議案書」(2002年11月14日)
◎「第8回こどもを守るネットワーク総会」資料 (2013年7月26日)
◎「広報 元気!ながさき」NO.55 (2013年11月1日)


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