Rengoアカデミー 第23回マスターコース概要

募集は締め切りました。[2023.10.2]

目次

  1. 1.マスターコースのアウトライン
  2. 2.授業プログラム(前期・後期)
  3. 3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧
  4. 4.ゼミナールの紹介
  5. 5.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ

<参考資料>第22回受講生の体験談

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1.マスターコースのアウトライン

授業風景

 教育文化協会は、連合運動の発展に資する労働者教育の全体像を構想し、その第一歩として、連合結成10周年を機に、2001年5月、連合運動の次代を担うリーダーの育成を目的に、「Rengoアカデミー・マスターコース」を開講しました。これまでに500名が受講し、修了生は現在、それぞれの立場から連合運動の一翼を担い、活躍しています。
 第23回目の今回は、マスターコース開講の趣旨と会員組織や受講生からの意見・要望、過去22回取り組んだ経験・反省をふまえ、引き続き、受講生出身組織の送り出しやすさと受講生本人の参加しやすさを基本に、①講義科目の前・後期への効果的な配置、②ゼミ生同士の自主的な議論・研究に資する自主研究枠の確保に努め、合宿日程の効果的編成を心がけました。
 第23回マスターコース・プログラムのアウトラインは以下のとおりです。会員組織、連合構成組織および加盟組合、地方連合会などからのご参加をお待ちしています。

視点

 マスターコースでは、人間・歴史・世界・「場」(※)からのアプローチを重視し、受講生の分析力・構想力の醸成をはかり、問題発見と問題解決の能力向上をめざします。
 自らの「考察を深めたい課題」について、ゼミナールでの担当講師からのアドバイスや他のメンバーとの意見交換等を通じて、問題意識の深耕・多角化をはかるとともに、その課題解決方法を見つけ、修了論文にまとめていきます。(「5.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ」を参照)。
 合宿教育をとおして受講生と講師の「人間としての結びつき」を深めます。

※「場」とは、問題を発見しその解決をはかるときの自分のスタンドポイントのこと

年間スケジュール

 マスターコースは、合宿教育期間と自学・自習期間を組み合わせ1年間で修了します。
 集中合宿は、前期、後期の2期制です。

前期:2023年11月12日(日)~11月17日(金)の6日間
後期:2024年 5月12日(日)~ 5月17日(金)の6日間

 前期終了後から後期開講までの間と、後期終了後から修了論文完成までの間が、自学・自習の期間となります。この期間にはそれぞれ、必修ゼミを配置しています。
 必修ゼミでは、ゼミ生は自学・自習期間の成果を発表し、ゼミナール担当講師からアドバイスを受け、後期のゼミへ、さらには修了論文へとつなげていきます。
 修了論文については随時、担当講師からメール等で個別指導を受けることができます。
 受講生は、2024年7月1日(月)までに修了論文を提出し、教務委員長の監修を経て、9月下旬~10月上旬に予定している修了式をむかえ、1年間のプログラムを修了します。

授業と講師陣

 前期、後期の合宿教育では、授業は講義とゼミナールを併用しておこないます。
 講師陣には、それぞれの分野の第一人者の他に、連合会長(Rengoアカデミー校長)や連合事務局長なども加わります。

講義

 講義科目は、特別プログラムも含めて23科目です。
 講義は、原則、講師からの問題提起、グループワーク、発表などを組み入れておこないます。講義の進め方は、授業60~70分と休憩10分のサイクルが基本ですが、多少、前後することがあります。

ゼミナール

 受講生は、受講申込の際に、「考察を深めたい課題」を提出するとともに、5つのゼミナールのなかから希望するゼミを選択します。
 ゼミナールは、前期3回、後期3回の計6回おこないます。ゼミナールは、原則1回最大3時間(休憩含む)です。
 ゼミナールごとの必修ゼミは、前期終了後から後期開始までに原則2回、後期終了後に1回おこないます。
 ゼミナールは、5名で編成し、担当講師の指導やゼミ生との議論をとおして各自の課題を修了論文に仕上げます。
 ゼミナール大会(後期3日目)では、受講生が修了論文の骨子・仮結論を発表し、ほかのゼミ担当講師から講評を受けます。その後のゼミでは、その講評も含めゼミ担当講師から指導を受けます。

合宿期間中の運営

 合宿生活は、受講生が実行委員会をつくり運営します。
 合宿期間中には、連合会長、連合事務局長、教育文化協会理事長等との交流、懇談の場を設定しています。

修了

 前期・後期を受講、修了論文を提出し教務委員長による監修を経て修了となります。
 修了生には、修了証を授与します。

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2.授業プログラム(素案・調整中含む)※プログラム関係は以下同じ

◇前期 <2023年11月12日(日)~17日(金)>

プログラム前期

[備考]
① 午後の講義終了後、実行委員会のミーティング(M)を行う。
② 前期と後期の間に「必修ゼミ」を2回行う(指導講師の判断で1回でも可)。
③ 必修ゼミに加えて、オンラインでの指導の場を複数回設けることも可とする(前期後に1回、後期後に1回を上限とする。正規の必修ゼミと併せて計5回を上限とする)。

◇後期 <2024年5月12日(日)~17日(金)>

プログラム後期

[備考]
① 後期終了後に「必修ゼミ」を1回行う。(前期終了後の2回と併せて計3回)
② 必修ゼミに加えて、オンラインでの指導の場を複数回設けることも可とする(前期後に1回、後期後に1回を上限とする。正規の必修ゼミと併せて計5回を上限とする)。

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3.講義領域・分野と講義科目・時間一覧

 講義科目は、政策-組織-基礎の3領域、総合戦略-経済産業政策-社会労働政策-組織強化・拡大-組織運営-人間と組織-経済社会と労働の7分野から編成しています。
 講義は、連合の戦略的方向性・課題を大づかみに理解し、連合の一員としての自分の役割・課題を確認することからスタートし、基礎から応用・運動へと、順次ステップアップできるように科目を配置しています。

領域 分野 科目 (前期、後期) 講義時間
  政  策 総 合 戦 略 「連合の役割・行動Ⅰ」
「『安心社会』への戦略を考える」
「連合の役割・行動Ⅱ」
(前)
(前)
(後)
2時間30分
3時間30分
3時間30分
経済産業政策 「日本の財政と社会政策の課題」
「社会保障のとらえ方」
「グローバル化と労使関係」
(後)
(前)
(後)
3時間30分
3時間30分
3時間30分
社会労働政策 「人材活用と人事管理の課題」 
「雇用・労使関係の変化と労働法制の課題」 
「労働者自主福祉の課題」
(後)
(前)
(前)
3時間30分
3時間30分
3時間30分
  組 織   組織強化・拡大 「連合組織強化の課題」
「労働組合と政治」
「ジェンダー平等と労働組合」
「国際労働運動の課題と対応」
(前)
(後)
(後)
(後)
3時間30分
3時間30分
3時間30分
3時間30分
  基 礎   人間と組織 「アサーティブ・トレーニング」 (前) 3時間30分
経済社会と労働 「歴史からみた労働組合の役割」
「労働法の基礎」
「ジェンダーと労働」
「仕事と賃金」
「労使関係の課題」
「地域と労働組合」
(前)
(前)
(後)
(前)
(後)
(後)
3時間30分
3時間30分
3時間30分
3時間30分
3時間30分
3時間30分
特別プログラム 「論文のまとめ方」
「アカデミー中間整理」
「ゼミナール大会」
(前)
(前)
(後)
1時間
3時間00分
4時間30分
合 計 講義20科目:69時間00分 特別プログラム3科目:8時間30分 77時間30分
ゼミナール 前期3回+後期3回 =18時間 総時間 95時間30分

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4.ゼミナールの紹介

禹ゼミ テーマ:労働組合の機能と役割をみつめなおす 講師:禹宗杬 法政大学大学院 連帯社会インスティテュート教授
目的
  1. このゼミでは労働組合の機能と役割をみつめなおします。具体的には、次のように進めたいと思います。
    1. 各自有している組合のイメージを持ち出し、議論と思索を重ねながら、組合の望ましい姿を描きます。この作業には、各々の体験を共有するほか、日本の歴史的な経験やほかの国の模索を知ることも役に立ちます。
    2. 各自所属している組合の機能と役割について分析し、うまくいっているところを評価すると同時に、いま抱えている課題をも明らかにします。
    3. 上記の二つのプロセスを往復しながら、組合をよりよくするために、各自目指したい方向性を定め、それに必要な解決策を構想します。
  2. 労働組合の機能と役割については、次のように考えたいと思います。
    1. 企業別組合の場合は団体交渉と労使協議を通じて、産業別組織と連合の場合は主に政策・制度要求を通じて、働く人の利益を実現すること。
    2. とともに、労働者同士が価値ある存在として自らを承認し、なお、より弱い立場にある人の境遇を改善することで、働く場と社会における公正を実現すること。
課題
(キーワード)
労働組合の機能/労働組合の役割/企業別組合/産業別組織/ナショナルセンター/団体交渉/労使協議/政策・制度要求/労働者としての承認/公正としての正義
講師略歴
現 職 法政大学大学院連帯社会インスティテュート教授
職 歴 埼玉大学経済学部講師・助教授・教授、The Graduate School of Management (Anderson School) at UCLAの訪問研究員、ソウル大学校日本研究所客員研究員などを歴任
著書・論文 『「身分の取引」と日本の雇用慣行―国鉄の事例分析―』(単著、日本経済評論社、2003年)、『韓国の経営と労働』(編著、日本経済評論社、2010年)、『中国民営企業の雇用関係と企業間関係(共著、明石書店、2013年)、『現場力の再構築へ―発言と効率の視点から―』(編著、日本経済評論社、2014年)、「アジアの賃金―『学歴別・熟練度別賃金』―」(『大原社会問題研究所雑誌』721号、2018年、46-60頁)、「『一億総活躍』と身分制雇用システム」(『社会政策』第11巻第3号、2020年、14-28頁)、「『雇用区分廃止』の人事戦略―背景・要因・効果―」(『社会政策』第13巻第2号、2021年、21-33頁)など
その他 連合総研「参加保障・社会連帯型の新しい社会政策・雇用政策の大綱に関する研究委員会」委員、連合総研「企業行動・職場の変化と労使関係に関する研究委員会」主査、連合総研「『日本的』雇用システムと労使関係研究会」委員、国際労働財団「アジアにおける労使関係と労働組合の課題プロジェクト」委員、社会政策学会代表幹事など
梅崎ゼミ テーマ:キャリアと労使関係 講師:梅崎修 法政大学キャリアデザイン学部教授
目的
  1. 産業・社会構造の変動や技術革新によって人々のキャリアデザインが大きく変貌していると言われています。キャリアとは、狭い意味での職業キャリアだけではなく、地域・家族・余暇生活を含んだ人生(ライフ)キャリアを意味します。このライフキャリアの変貌を事実に基づいて正確に把握することが、ゼミの第一の目的です。
  2. キャリア展望の曖昧化、または多様化は、避けられない歴史変化だとしても、現在、人びとに突きつけられている自己選択に対する過度な期待、自己責任は、我々を苦しめています。
  3. <私=個人>の時代に<我々=社会>について考えることは、どのような道筋があるのか。この問いは、具体的に、労働組合運動にはどのような可能性があるのかと言い換えてもよいと思います。労働組合運動については考えることは、<我々=社会>の中に連帯・協力を再設計する挑戦だと思います。この挑戦について議論をしながら労働組合について深く考えることがゼミの第二の目的になります。
課題
(キーワード)
産業構造の変動、技術革新、個別的労使関係、キャリアデザイン、生活・地域コミュニティ
講師略歴
現 職 法政大学キャリアデザイン学部教授
職 歴 政策研究大学院大学C.O.E.オーラル・政策研究プロジェクト・研究員、法政大学キャリアデザイン学部、専任講師・准教授を経て15年より同大同学部教授。2013-14年、The London School of Economics and Political Science訪問研究員。2019-2020年、立教大学大学院経済学研究科訪問研究員。2012年-2020年、中央大学企業研究所・客員研究員、2016年-現在、慶応義塾大学産業研究所・共同研究員
著 書 『「仕事映画」に学ぶキャリアデザイン』(有斐閣、2020年)、単著『日本のキャリア形成と労使関係—調査の労働経済学』(慶應義塾大学出版会、2021年) 
編 著 共編著『人事の統計分析―人事マイクロデータを用いた人材マネジメントの検証』(ミネルヴァ書房、2013年)、共編著『教育効果の実証―キャリア形成における有効性』(日本評論社、2013年)、共編集『日産・ルノーアライアンス オーラルヒストリー―グローバル提携時代の雇用・労使関係』(慶應義塾大学出版会、2020年)、ほか多数
その他 日本労務学会副会長、日本キャリアデザイン学会副会長
木本ゼミ テーマ:少子高齢社会のなかの人間と労働組合 講師:木本喜美子 一橋大学名誉教授
目的
  1. 現代日本において、企業社会体制は変容しつつあり、少子高齢社会としての特徴がきわだってきている。労働市場の変動、地域社会の格差拡大、そして家族の大きな変容を実態として把握することを通じて、労働組合が直面する課題を考える。
  2. 特に検討を要するのは、従来の「サラリーマン」の働き方を相対化し、新しい働き方や暮らし方、生き方が、新たな価値規範と共に模索されてきている事実である。一方では高度成長期以来の旧態依然としたサラリーマン像があり、他方では正社員労働市場への参入が困難な、若者や女性たちの労働-生活者像がある。変動期の現代を把握するために両者の動きを、トータルに検討する。
  3. 本ゼミでは、主体としての人間が、階層、ジェンダー、年齢、地域差等によって分断されつつ、一人一人の一回限りの生をまっとうするために、働き方そして生き方をめぐって模索している姿を、まずもって重視したい。その上で、個々のアクターの価値規範がどのように変わろうとしているのかをつかむことによって、労働組合が担う新たな課題と社会的役割を探ることをめざす。
課題
(キーワード)
少子高齢化/未婚化・晩婚化/働くことと家族/労働市場の変動/非正規化/ジェンダー変動/若者の就業問題/女性労働問題/労働-生活時間構造/サラリーマン像の揺らぎ/ワークライフバランス
講師略歴
現 職 一橋大学名誉教授
職 歴 広島大学総合科学部助手、立命館大学産業社会学部助教授、一橋大学社会学部助教授、一橋大学大学院社会学研究科教授を歴任
著 書 『家族・ジェンダー・企業社会』(ミネルヴァ書房、1995年)、『女性労働とマネジメント』(勁草書房、2003年)等
編 著 『家族・地域のなかの女性と労働』(明石書店、2018年)、『社会政策のなかのジェンダー』(明石書店、2010年)、『現代日本の女性労働とジェンダー』(ミネルヴァ書房、2000年)
共 著 『地方に生きる若者たち-インタビューからみえてくる仕事・結婚・暮らしの未来』(旬報社、2017年)、『仕事の人類学―労働中心主義の向こうへ』(世界思想社、2016年)、『リスク社会のライフデザイン―変わりゆく家族をみすえて』(放送大学教育振興会、2014年)、『高度成長の時代1-復興と離陸』(大月書店、2010年)
論 文 「女性労働をめぐる歴史的構造の成立とその揺らぎ―共稼ぎ家族の不可逆的増大へ」(くらしと共同の研究所編『生協労働研究会報告書』2022年)、「ジェンダーと階級研究からのコメント―『家族の命運』に寄せて」(イギリス女性史研究会『女性とジェンダーの歴史』第9号、2022年)、「私の<家族と労働の社会学>を振り返って」(『国際経済労働研究』1115号、2021年)、「ふたつの継続的就労女性像と働く意味」(『家族社会学研究』第33巻第2号、2021年)
その他 博士(社会学)、学術会議連携会員、法政大学大学院フェアレイバー研究所特任研究員、多摩市男女平等審議会副会長など
橋元ゼミ テーマ:企業・職場と労働組合 講師:橋元秀一 國學院大學経済学部教授
目的
  1. 労働組合の原点を確認しつつ、各自の所属する労働組合の特徴を交流することを通じて、改めてそれぞれの労働組合を相対化し客観的に把握する。
  2. それぞれの企業・職場はどのような問題や課題を抱えているのだろうか? 近年、企業や職場に起きている変化をふまえつつ、率直に出し合い交流し合いながら、今日の労働組合が直面している課題とはどのような問題であるのかを考察する。
  3. 組合員にとって、労働組合が魅力的であるとはどのような役割を組合が果たすことであるのかを検討する。組合役員の立場から離れ、一組合員の視点に立ったとき、日々の労働や職場生活において、さらには職業人生を展望した場合、労働組合は、どのような問題や課題を抱えているのだろうか? 労働組合は、そうした問題や課題をどれだけ受け止め、どのように取り組んでいるのか、検討し議論し合う。ゼミでの集団的議論を通じて、新たな視点やヒントを探りたい。
  4. 以上をふまえつつ、理論的視点、歴史的視点、組織構造的視点から、労働組合の現状と課題を明らかにすることが、本ゼミの目的である。
課題
(キーワード)
採用/従業員構成/非正規労働者(非典型雇用)/配置/教育訓練/賃金/成果主義/人事考課/労働時間/残業協定/労使協議/経営参加/組合組織構造/組合役員
講師略歴
現 職 國學院大學経済学部教授
職 歴 東京都立労働研究所研究員、日本学術振興会特別研究員、(財)労働科学研究所社会科学研究部研究員、國學院大學経済学部専任講師・助教授を歴任
編 著 『人事労務管理の歴史分析』(ミネルヴァ書房)等
論 文 「第8章 雇われて働くってどういうこと?」「第9章 雇用や働き方はどう変わる?」(『アクティブラーニングで学ぶ日本の経済』、東洋経済新報社、2021年4月) 「組合員の個別賃金決定に労働組合はどう関わっているのか」(国際経済労働研究所『Int'lecowk-国際経済労働研究』第75巻第9号、2020年9月)、『労働組合の職場活動に関する研究委員会報告書―21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ-』(連合総研、2016年9月)、「第1章 労働組合の基礎的組織の現状」(連合総研『労働組合の基礎的な活動実態に関する調査研究報告書』、2016年4月)、「労働組合による労働者供給事業の諸類型と可能性」(『国学院経済学』第60巻第3・4合併号、2012年3月)、「非正規従業員の組織化の動き」(『講座 現代の社会政策 第5巻 新しい公共と市民活動・労働運動』明石書店、2011年9月)、「非正規雇用問題と企業別組合の役割およびその展望」(社会政策学会誌 『社会政策』第2巻第1号、ミネルヴァ書房、2010年5月)、「企業別組合における非正規従業員の組織化事例の示すこと」(『日本労働研究雑誌』No.591、2009年10月)、「「成果主義」の実態は「能力主義管理」の整備・徹底化-真の能力主義を求めて」(『賃金制度と労働組合の取り組みに関する調査研究報告書』連合総研、2006年7月)
その他 國學院大學労供研究会座長、連合総研「21世紀の日本の労働組合活動研究Ⅳ『労働組合の職場活動』研究委員会」主査、連合総研「「非正規労働者の組織化」-21世紀の日本の労働組合活動に関する調査研究委員会Ⅰ」副主査等
浜村ゼミ テーマ:労働法と労働組合 講師:浜村 彰 法政大学名誉教授
目的

 このゼミでは、労働法上の今日的課題について、ワークルールとしての労働法の基礎知識を修得しながら、課題の解決に向けた応用力を涵養するとともに、労働組合としてこうした課題にどのように取り組むべきか、を検討して、主体的に考える力を身につけることを目的とする。

  1. 「働き方改革」の「功」と「罪」をどのように総括するのか。
  2. 非正規労働者やフリーランサーの拡大に労働組合はどのように取り組むべきか。
  3. コロナ禍で労働組合の果たすべき役割は何だったのか。
  4. 組織率の低減化傾向において労働組合に問われている課題は何か。
課題
(キーワード)
非正規雇用/フリーランサー/雇用によらない働き方/生活時間と労働時間の規制/高度プロフェッショナル制度/労働者派遣/クラウドワーク/労働者・使用者の概念/労働者代表制度/割増賃金/労働紛争解決制度/不当労働行為/労働基本権/労働法におけるリベラリズム/労働契約法/解雇制限と金銭解決/組合民主主義/労働組合と政治
講師略歴
現 職 法政大学名誉教授
職 歴 流通経済大学社会学部助教授、法政大学法学部教授、パリ第1大学客員研究員、神奈川県労働委員会公益委員などを歴任
共・編著 『組合機能の多様化と可能性』(共編、法政大学出版局、2003年)、『ライフステージと法第8版』(共著、有斐閣、2020年)、『ベーシック労働法第8版』(共著、有斐閣、2021年)、『最新版労働者派遣法Q&A』(共編著、旬報社、2004年)、『ロースクール演習労働法』(共著、法学書院、2007年)、『労働判例解説集』(共編著、日本評論社、2009年)、『ワークルール検定初級テキスト第4版』(共著、旬報社、2022年)、『働き方の多様化と法的保護のあり方』(編著、連合総研、2017年)、『クラウドワークの進展と社会法の未来』(共編著、労働開発研究会、2021年)、「横井芳弘著作選集」第1巻、第2巻(共編著、信山社、2021年)、『労働法における最高裁判例の再検討』(共編著、旬報社、2022年)
著 作 「労働法とリベラリズム」労旬2029号(2023年)、「リモート方式の協議は団体交渉といえるか?」中央労働時報1290号(2022年)、「脱退の自由」労働判例百選10版(2022年)、「クラウドワークという働き方の課題」労働法学研究会報2723号(2021年)、「改正労働者派遣法による派遣労働者の均等・均衡待遇」季労268号(2020年)、「業務委託による企業組織の編成と使用者責任」労旬1937号(2019年)、「労働紛争処理法」『戦後労働立法史』(旬報社、2018年)、「労働基準法上の賃金規制」『講座労働法の再生第3巻』(日本評論社、2017年)
その他 日本労働法学会代表理事(2017~2018年)、神奈川県労働委員会会長(2020年~)、連合総研「曖昧な雇用関係の実態と課題に関する調査研究会」の主査(2016~2017年)、法政大学筆頭常務理事(2008~2014年)、法政大学ボアソナード記念現代法研究所所長(2017~2019年)など

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5.修了論文作成にむけたゼミナールの進行イメージ

進行イメージ

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<参考資料>

22回受講生の体験談

 私がRengoアカデミーに参加する上で、意識したことが3つあります。1つに、授業は積極的に参画する。2つに、同期の輪を大切にする。3つに、楽しく取り組む、です。前期の授業では、私にとってテーマが難しく、ついていけないと思ったこともありましたが、先にあげた3つを胸になんとかくらいついて乗り越えました。そして、愉快な同期たちとの仲も深まったおかげもあり、後期はとても楽しく過ごすことができました。
 論文については、自組織での活動を進めていく中で深めることができた内容があり、それに伴い、後期が終わった後でテーマを変えたいという思いが出てまいりました。そんなとき、先生が親身になって相談に乗ってくださったので、思い切ってテーマを変更しました。それでも、書き上げることが出来ました。論文1万字と聞くと構えてしまうかもしれませんが、思っているより文字数は書くことができますので、安心してください。
 最後に、Rengoアカデミーに参加し、素晴らしい22回生に出会えたこと、論文を書き上げるにあたり多大なるサポートをいただいた先生方、たくさんのことをご教授くださった講師の皆さま、日々様々なことを引き起こす22回生(笑)を支えてくださった事務局の皆さまに感謝いたします。そして、Rengoアカデミーに派遣し、その間の業務のサポートしてくれた自労組にも感謝します。ありがとうございます。

 Rengoアカデミー・第22回マスターコースでは、ものすごい講師の方々から労働組合・運動についてお話をしていただき、大変貴重な時間となりました。朝から夕方まで講義やグループディスカッション、夕食後はゼミナールというものすごいタフなスケジュールではありましたが、素晴らしい仲間に出会えることができ、前期・後期併せて約2週間の講義、修了論文を乗り越えることができました。
 講義テーマの中には、参加される方にとっては、よく知っている内容があるかもしれません。でも仲間の意見や講師の考え方を聞くと新たな気づきが生まれ、必ず今後の運動に活かすことができるはずです。普段の業務では味わえない濃厚な時間になることは間違いありません。
 最後に、「自分はとんでもないところにきてしまった」これが初めの感想でした。しかし、終わってみると、「参加してよかった!」と不思議ですが素直に思えました。修了論文もかなり大変です。第23回マスターコースに参加される方は、少しずつでいいので早い段階から準備されることをお勧めします。
 このすばらしい機会は誰にでも与えられるものではありません。日々の業務もあるなか大変ではありますが、参加される方はぜひ前向きに、そして仲間との時間を楽しんでください。

 今まで受けた中で、最も濃い内容の研修でした。合宿での講義は「聞いているだけ」というものがなく、とにかく考えさせられ、自分の意見を求められ、グループで話し合いをするため気を抜けません。ですが、講師陣が素晴らしいため話は面白く、新たな気づきを得られる内容ばかりでした。受講生の「知りたい」という気持ちに対して、先生方にしっかり応えていただける雰囲気があり、学ぶ場として素晴らしい環境であったと思います。また、普段接する事のない地域や産別の皆さんと出会い、交流することは刺激になりますし、その後の組合活動を豊かにしてくれるでしょう。
 論文執筆はとても苦しみました。文章を書くことが苦手なため、テーマを決めるところから追い詰められ、前期合宿から提出するまで、ずっと論文が頭から離れませんでした。ゼミの仲間とお互いに励ましあい、なんとか乗り越えることができました。ですが、これだけの時間をかけて、ひたすら考え、話を聴き、悩み、答えを探るということは、社会人になるとなかなか得られない貴重な経験だったと思います。
 本講座は、数カ月間、仕事と並行し進めていくことになり、正直、大変だと思います。これから受講者を出される組織におかれては、受講期間の仕事の割り振りについて配慮をお願いしたいと思います。

 参加のきっかけはRengoアカデミー・マスターコースの修了生からのお誘いでした。その修了生の論文執筆当時「大変そうだったな」という記憶と現在でも続く同期生との懇親を見て不安と期待がありました。
 合宿研修は前期、後期ともに一週間おこなわれましたがあっという間に過ぎました。各講義とも非常に充実したもので、これまで「なんとなく」知っていた知識を「しっかり」学ぶことができました。合宿が始まった当初は整理が追い付かないくらいの情報量でした。しかし、いずれの講義も気になるポイントがあり深く考えるきっかけを得ました。論文執筆では「あなたが書きたいことを書いてください」との指示から、自身の考えを整理していくことが私にとって一番大変でした。先生やゼミの仲間からアドバイスをいただく中で、少しずつ整理をしていったことを記憶しています。
 合宿期間を共に過ごした同期生は皆、個性的で頼れる仲間でした。産別を越えた仲間との出会い、関係が築けたことは大変貴重な経験です。
 Rengoアカデミー・マスターコースで得たものは、労働と社会の課題に対する知識、論文執筆による思考の深化、今後も関係が続く仲間といずれもかけがえのないものでした。合宿研修から論文完成まで1年弱の期間に得た仲間と知識は私の今後の活動に資するものと感じます。
 今後も私のような体験をできる仲間が増えることを望みます。

 まず前期・後期の合宿期間ではとにかく「考えたことのない問い」を突き付けられ、まさに「頭に汗をかく」思いでした。各界の第1人者の先生方による講義はどれも非常に面白く、考えさせられました。と同時に、今まで自分が全く知らなかった労働組合や連合の一面に触れたり、労働運動のみならず広く社会の課題を知り、自分の理解の浅さに気づかされたり、衝撃を受けた講義も一つや二つではなかったです。長年組合役員をやってきましたが、「自分は何も知らなかったのだ」と思い知らされました。
 そして論文作成のゼミナールでは、「自分の疑問や課題を整理し、絞り込んでテーマ化し、自ら動いて調査して結論にまとめる」という一連の過程を体験することができます。なかなか思うようにまとめきれず、先生のご指導の時間には苦悶したり緊張したり、提出期限前には追い詰められたりもしますが、ゼミ生同士励まし合い、時には心配しあって乗り越えてきたと思います。
 最後に、ともに第22回Rengoアカデミーに集った仲間たちについて。産別も、これまでのキャリアも大きく違う20人でしたが、何度も討議し、互いの体験や立場から意見を述べあい、またオフの時間も語り合い、最後には私の知らなかった世界で奮闘する多くの仲間を得ることができました。今後大きな課題にぶち当たったとき頼れる仲間を得られたことは、何よりの宝です。
 最後に、参加される皆さんへ。間違いなく大変ですが、自分の価値観をも揺るがすような体験はそうそうできるものではありません。苦労すら楽しむ気持ちで、ぜひ門をたたいてみてください。

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