はじめに
ただいま紹介いただきました、生保労連で副委員長をしております、堀と申します。今日は学生のみなさんとお話ができることを楽しみにして参りました。このあとに自己紹介を簡単にさせていただきますけれど、昨年の春ぐらいまで、社業にいったん戻っていたんです。学生のみなさんのリクルート活動もやっていまして、面談とか、いろんなことをしながら、学生のみなさんのパワーをいただいたり、あるいはうちの会社に入ってもらうには、やっぱりバイタリティ、元気、活力って必要なので、こういった方が入ってもらえるといいなという方に内定を出したり、いろいろなことを直近までやっていたので、本当に今日は楽しみにしていました。
生保産業って、なかなかなじみがなかったり、さらに労働組合となると、もっとわからないところだと思うので、できるだけかみ砕いてお話させていただければと思っています。どんなことでも結構ですのでご質問とかいただければ幸いでございます。
まず自己紹介に色々細かく書いていますが、入社の際に、総合職というコースと、営業管理職コースというのがあって、私は学生時代からずっと体育会系でスポーツをやっていたものですから、事務の仕事をあまりやりたいと思っていなくて、自分のバイタリティというか、いろんなものを使いながら人の上に立ったり、人と交わって仕事がしたいなというのがあったので、営業管理職コースを選んで入社したんです。それが東京専修部というものです。第一生命は今は今田美桜さんとかを使ってCMをやっている生命保険会社なんですけれども、全国に、機関といわれる営業室が大体1000くらいあります。北海道から沖縄までいろんなところに、そういった事務所があって、そこの長になるというコースで入社したんです。一国一城の主になれる、若い、キャリアの前半部分でそういう管理職になれるというところに魅力を感じて、当然お給料も大きな魅力の1つだったんですけれど、そういったコースを選んで、渋谷で下積みをして、和歌山ではじめて支部長になりました。国内の保険会社の営業は、いわゆるセールスレディという、ほぼほぼ女性のみなさんで成り立っています。結婚されている方もいらっしゃいますし、独身の方もいらっしゃいますし、80歳くらいの方でも仕事していますし、女性の方中心に様々な方が全国津々浦々、家をまわったり、あるいは企業の昼休みに訪問したりしながら保険の営業をしています。生命保険って基本的には「入りたいなと思う」、これをよく潜在的ニーズというんですけど、素敵な宝石とか素敵な服とか、かっこいい車とかバイクとか、そういうものだったら皆さんが、買いたいなといって買うんでしょうけれど、生命保険ってどうしてもイメージするのが亡くなったときとか、あるいはがんになってしまったときに経済的なところを守る、というような商品なので、女性の方を中心に、粘り強く春夏秋冬四季折々に訪問してもらって、「こういうことって大事なんですよ」、あるいは「新しい保険に切り替えやメンテナンスしたほうがいいですよ」みたいなことを言ってまわっていく中で、お客様に信頼していただいて、ご契約いただくことが多いんですね。そういった特性のある商品を扱っております。自己紹介に戻りますけれど、2005年には本社の教育部というところに戻りまして、そこで教育部という名前のとおり、教えることを主にやっていたんです。全国でこれから指導者になっていく人であったり、あるいは先ほど言ったセールスレディの中でも優秀な人にどんどんどんどん知識を付与して、さらに個人能率を上げていくような、いろんな研修をしたり、テキストを作ったりしていました。その際には、総合職に職種を変えて、内勤職の仕事もやりました。直近は2023年に、先ほど言いましたように生涯設計教育部人材開発課というところでリクルート活動もやっていたというところです。
組合歴でいうと、2015年、今から10年前に第一生命労働組合本部で中央執行委員という、各地区から選ばれた役員がいまして、たとえば北海道地区とか九州地区とか、全国に15の地区がありまして、その15地区の中から選ばれて本部に代表で行って地域の声などを伝えるようなことをやりました。2015年のときは仕事もしながら組合活動もやる、兼業だったんですけれど、2018年から専従役員という、お給料の出所が組合費からいただくようなかたちで、会社からは1円ももらわない、やっぱり、会社に物を言っていくなかで、会社からお給料もらっている状況だとあまりよろしくないわけですよね。会社からお給料をもらいながら、会社に「それって間違っているんじゃないの」っていうのはなかなか難しい部分があるので、ある程度の役職になると専従役員といって、一切会社からお給料はもらわずに、会社は休業扱いとして組合活動に専念するというのが、2018年からになります。いったん第一生命労働組合の中央執行委員長までやって、また社業に戻ったんですけれど、ちょっと縁があって、また今度は産業別労働組合の生命保険労働組合連合会に来ているというところでございます。
家族は子どもが二人いまして、もう二人とも社会人になっています。みなさんよりちょっと上という感じなので、みなさんのお父さんよりちょっと上くらいの年齢なのかなと思っております。組合に入ってよかったことは、1個くらいかなと思っているんですけれど、やせたことですね。趣味は今ランニングをやっています。労働組合では社員の健康増進とか、健康の管理などもやりますが、そういう中で、保険会社には産業医という会社にお抱えのお医者さんがいるんですが、当時の産業医の先生から「ちょっと委員長やせたほうがいいんじゃないか」みたいな話を言われて、いやいやながらダイエット目的でランニングしたら、それにはまってしまい、今はマラソンをやっています。直近でいうと昨年の東京マラソンで3時間34分で42キロ走って、北海道マラソンも昨年8月に走ったんですけれど、いろんなところで組合員さんと触れ合うみたいな、大義名分作って、全国走っているというのが趣味です。ちょっと長くなりましたが、以上自己紹介とさせていただきます。
生命保険と生保労連について
本日お伝えしたいことですが、本題の前に、生命保険や労働組合にはなかなか馴染みが少ないかと思いますので、生命保険と生保労連について、ちょっとご紹介させていただきます。生命保険についてですが、まずこの「保険」って何なんだろうということです。元々のところでいうと、中世ヨーロッパとか昔の話になるんですけれども、商人はその職業ごとにギルトという同業者組合を作って、冠婚葬祭とか、あるいは船でなにか商いするときに、船で事故があったとか、船が沈んだとなったとき、みんなでお金を補填しあって助け合うみたいなものから、経済的なマイナスを分担しあったというところが起源だといわれています。そのあと、イギリスのジェームス・ドドソンという数学者によって公平な保険料分担の法則が、発見されまして1762年に世界で初めて近代的な保険制度に基づく生命保険会社というのが1800年よりちょっと前くらいにできたということですので、比較的新しい産業ということになります。日本においてはイギリスに遅れること100年ですので、1900年のちょっと前くらいですけれど、福沢諭吉によって、「西洋旅案内」で、はじめて生命保険というものが紹介されて、1881年に生命保険会社が日本でできました。その会社は明治時代にできたので、明治生命という名前を名乗っています。今は明治安田生命という名前になっております。ちなみにですが、私は第一生命なんですけれど、第一生命というのは、一番にできたんじゃなくて、最初に相互会社という形態で、生命保険会社では相互会社という形態をとっている会社が多いんですね。株式会社ではなくて相互会社、ご契約者が社員というちょっと特殊なかたちなんですけれども、生命保険業界には相互会社というのが適しているということで、最初に相互会社にしたので、第一生命と名乗っております。ちなみに、私の会社は、今は株式会社に変わっています。10年以上前に、これからの生命保険業界で健全に運営していくためには、株式が必要だということで、相互会社として一番目に作ったのですけれども、今は株式会社に変わっているというところです。
生命保険と損害保険の違いについても、ちょっと触れさせてください。私どもは生命保険ですが、損害保険という業界もありまして、隣接業界ですけれども、ちょっとご紹介させていただきます。英語の名称をみていただくとわかりますように、「ノーライフインシュアランス」が損害保険ですので、人に関わっているところは生命保険、人以外が損害保険という部分で、大きな扱うフィールドの違いがあります。主な販売チャネルについても、営業職員さんと代理店というかたちで、大きく違うんですけれども、冒頭言いましたように、私は営業職員さんを束ねていくという仕事をメインにやってましたので、損害保険ではこういった営業職員さんがいなくて、中古車販売とか自動車の販売をしながら代理店をやっているみたいなところが多いんです。生命保険というのは契約期間がすごく長いです。短いもので、10年とか、5年というものも最近ありますが、すごく長いんですね。なので、長い契約をしていって人生の様々なリスクに備えていく、健康でお仕事ができれば生命保険って基本的にはいらない部分があるかもしれないんですけれども、やっぱり長患いしたりとかガンとか、大きな怪我、病気のリスクはあります。そうなったときに、みなさんは、おそらく親御さんとかご親戚の方に相当な経済的負担をしていただいて、今大学で学んでいらっしゃるんだと思うんですけれど、ご両親に、もしなにかがあったとしても、子どもさんが、そういった思い描いていた未来に歩めるように経済的に支えるというのが生命保険でございます。

生命保険について、全体的なグロス感をご説明したいと思うんですけれども、これは2023年の実績ですが、左側ですね、18.8兆円がお支払いしている金額の総額ということになります。この18.8兆円というのは保険金給付金といって、いわゆる万が一お亡くなりになったときに死亡保険金というかたちでお支払いをしたりとか、先ほど言いましたようにガンなどの病気になって入院したり、病気にかかったときにお金を払う給付金といったものの総額が18.8兆円となります。ちょっと金額の規模感のイメージつかないと思うんですけれども、2023年度の日本の国家の社会保障の関係予算というのは約37兆円なんですね。なので、社会保障関連の国家予算の半分くらいが民間の生命保険業界でお支払いしている金額ということになります。社会保障で国民として守られている部分がたくさんあるんですけれども、そういったものでは足りない、社会保障を補完する意味で、民間の生命保険業というのは社会的な使命を担っているというところです。右側のほうですけれども、みなさんも記憶に新しいコロナ禍で、コロナ保険というのがたくさんありまして、そういったお支払いについて、ここに記載がありますけれども、延べ1136万件、1兆3000億円くらい業界としてはお支払いしているということになります。昔は入院すると、1日あたり1万円くれますというような保険が結構多かったんですね。入院は当然病院に入院するわけですけれども、コロナ禍の時は病院がもういっぱいの状態で入れないので、当時経済がほとんど止まっていましたから、ビジネスホテルなどの空き部屋に、「みなし入院」というかたちで、隔離といいますか、治療のために、みなさん入っていたというのが記憶にあるんじゃないかと思います。そういったときでも、保険会社は、「病院には入院していないけれど、代わりに入院したものとみなそう」ということで、みなし入院ということをしたものですから、正直、相当なお金が出ていまして、コロナ保険でいただいた保険料よりもお支払いしている給付金というのがものすごく高くて、多くて、それだけお役には立ったということです。ちょっと脱線しますけど、当時はコロナパーティみたいなものが本当にありました。コロナ保険の掛け金ってその時月々1000円くらいだったんですね。1000円でコロナ保険に入って、いわゆるコロナにかかった人とみんなでお酒飲んだりすると、当たり前ですけど感染します。そうすると何十万もお金をもらえるみたいな話ですね。そういうのを逆選択というんですが、リスクを計算して保険を組んでいるんですけれど、リスクを超えるような事態がいっぱい出たりしながら色々な対応をしました。そういった逆選択もあって、本当に大きな支払いになったんですけれども、その反面、先ほども言いましたが、お役に立った、「保険に入っていてよかった」と思っていただいているところもあるというところです。
続きまして、生保労連の組織紹介ということで、1969年に組織ができまして、本当に長いもので50年以上というところです。生保産業唯一の産業別労働組合として生まれたんですけれども、大手企業の中には、それぞれの労働組合というのが、ほとんどございます。そういう企業別労働組合というものがあって、そういう組合がいろいろ集まった中で、今度は生保産業の労働組合ができたということです。この1969年というのはアポロ11号が月面着陸した年ですね、最近は「本当に月面着陸なんてあったの?」なんて話も聞かれますけれども、そんな昔の話でございます。今生保労連には19の加盟組合があって、組合員の70%が営業職員さんですが、男女比率は90%が女性という、きわめて女性の占める率が高い労働組合ということになります。先ほど言いましたように、女性のセールスレディとよばれる方が営業をしていることが多いので、そうなっているということでございます。

そして、生保労連の活動紹介で、生保労連ってどんなことをしているのかというところですけれども、左側にありますように生保産業内での取り組みと、社会に向けた取り組みの大きく二つに分かれます。産業内での取り組みというのは、真ん中上から二つ目になりますけれども、企業別組合とよばれるそれぞれの組合があります。例えば私の出身の第一生命であれば、第一生命労働組合があるので、第一生命の経営者側と労使交渉というのをします。労使交渉についても、すでに学んでいることと思いますが、従業員の労働環境とか、処遇といったものは、経営側が勝手に決められないんですね。変更できない。労働条件でも勝手に変えることはできません。あるいは給与を払う制度を勝手に変えることってできないんです。従業員の代表と、「こういうふうに変えたいんだけどどうかな」という交渉するのが労使交渉なんですね。その企業別の組合の上部団体として、われわれ生保労連が存在していますので、各企業別組合の先頭的役割を担ったりしています。また、生保労連の相対する経営側として、上から3つ目の右側にあります生命保険協会という団体があります。この生命保険協会というのは、資料に書いてありますけれども、経営側の使用者団体になります。第一生命とか、日本生命とか、住友生命、明治安田生命とか、いろいろな会社がありますけれど、その経営者側が作っている団体が生命保険協会になりますので、我々生保労連はその生命保険協会と労使交渉というのをしているということで矢印が書いてあります。
一方で、日本の社会等に向けた取り組みということで、左側にある、支援議員というかたちで、生保産業に理解をもっている国会議員などの方を応援していくわけですけれども、応援する一方で、生保産業の色々な面で国政を動かしていただく、そんなことをやっています。具体的には、生命保険に加入すると税金が安くなるんです。さっきも少し触れましたが、生命保険というのは国の社会保障の補完をするような役目になっているので、生命保険に入ると、税金が少し安くなるというところがあります。そういったものを拡充してください、生命保険の税金の控除額を上げてください、ということは、我々ではなかなかできないことなので、議員さんにそういったことをお願いしながらやっているというところで、来年に生命保険料控除という控除額が広がるような動きに今なりつつあるというところでございます。
また、右側には消費者団体と記載があります。私も全国いろんなところに出張しながら、消費者団体のみなさんと意見交換をさせていただいています。消費者のみなさんがいまどんなことに一番関心を持っていて、どんなことに困っているのかを含めて、生命保険って保険を販売する営業の部分がありますので、そういった声を産業の中に、逆流させながら、正しい営業や正しい販売というものをより進めていくような、なかなか企業別組合ではできないようなことをしているということを、下のほうに記載しています。
まんなかにUNIと書いてあるのが、国際労働機関といって、日本の労働組合だけではなく、世界で活動している労働組合のみなさんと意見交換をする団体です。先日タイのバンコクでUNIの大会があって、私自身は行っていないですが、その時は世界各国から労働組合の方が来るんですけれども、そこでは撮影禁止なんです。世界の中では、組合活動をしていることが、命にかかわるような非常にリスクの高いことという国もあるんですね。ですのでSNSとかあげてしまうと、この人がここにいるということがわかって、身の危険があるということで、一切撮影ができないとかですね、ちょっとオーバーな部分があるかもしれないけど、本当に命をかけながら労働組合をしている方々も外国にはいると、そういう団体との連携を生保労連としてもさせていただいています。
生保労連では、運動方針として4つ掲げています。運動方針って何なのかというと、生保労連では一年間が活動期間なんですね。労働組合によっては2年を1クールというふうにしているところもあるんですけれども、我々は1年を1クールというかたちで1年間の活動の中で取り組むテーマのことになります。この4つのテーマに取り組んで活動しているということなんですね。
1つ目が「生保産業の社会的使命の達成」ということで、生命保険は正しくご理解いただいて加入いただければ、さきほどいった社会保障を補完するような、非常に役に立つ産業なんですが、生保営業というと、まだちょっとイメージが悪い部分があって、「押し売り的な営業をするんじゃないか」など色々なことを言われることがありますので、そうした役割を、しっかりと理解していただいたり我々の姿勢を見直したりしていくということも、大事なことだと思っています。
2番目の「総合的な労働条件の改善・向上」ですが、さきほどもちょっと触れましたけれども、従業員、社員の労働条件を良くしていく具体的な取り組み、ワークとライフを双方の充実に向けた取り組みというのが今日のメインテーマです。
3点目が「組織の強化拡大」、4つ目が「生保産業と営業職員の社会的理解の拡大」に取り組んでいるというところでございます。

労働時間の短縮に向けた取組み (1)生保労連での取組み
それでは、本日お伝えしたいことの本題に行きたいと思います。労働時間の縮減に向けた取り組みということで、ワーク・ライフ・バランスの着実な前進に向けた中期取組み方針というスライドがありますが、ここも皆さん良く知っていらっしゃることだと思うんですけれど、今ワーク・ライフ・バランスという言葉が本当にしっかりと定着しています。ワーク・ライフ・バランスという名のとおりですけれど、仕事と仕事以外の生活に関して日々の時間の割合比率のことから転じて、働きすぎに陥らず家族とか友人との時間をしっかりとったりとか、そういうことをしながら心身を健康に保って、いわゆる過労死だったり、自殺というものを、防いでいくということから始まっているわけなんですね。これからみなさん、学業が終わったら当然社会人として就職して仕事をしていくわけで、仕事のやりがいってすごく大事だと思うんです。仕事をすることで色々なやりがいを感じることができます。仕事にチャレンジしていく中で、自分の成長にもつながっていきますし、そういったものって本当に大事だし、生活の糧でもあります。本当にこれから、長い人生を過ごしていくために、仕事のやりがいというのはきわめて重要だと思います。でも一方で、仕事を頑張りすぎた結果、心身を疲弊させてしまったりとか、心を病んでしまったりとか、本当に不幸なケースというのが多々あるわけなんです。やりがいを感じながら働いたり、あるいは仕事上の責任を果たしたりすることと同様に、家庭とか地域生活においても充実した日々を過ごしていく、あるいは子育てとか親の介護とか、色々なことがライフステージの変化によって起こってきます。そういう中で最適な生き方、働き方というのを選択できるようにしていくというのが、このワーク・ライフ・バランスのめざす目的の部分なんですね。
ワーク・ライフ・バランスについては、当然経営側もすごく考えて取り組んでいます。じゃあ労働組合はどうしているのかと言うと、労働組合も同じ観点で活動しているんです。きれいな言い方になってしまうかもしれないんですけれど、労働組合も経営側もめざす頂点、山の頂点って同じなんです。働いている人が生きがいやりがいを感じながら生き生きと仕事をすることができる、あるいはプライベートも充実することができる、あるいはさっき言った子育てとか介護とか色々なときに、いろんな選択を選びながら、より充実した生活を営めるようにするという共通の頂点があるんですけれど、その登り方が違う。経営側はトップダウン、労働組合側はボトムアップということで、従業員組合員の声をベースに求めていくという、その登る道がちがうということなのかと思っています。
そうした大きな流れの中にあるんですけれども、取組みの柱とか取組みの基盤づくりと書いていますけれども、まず取組みの柱の一番としては総労働時間の短縮と生活時間の充実ということで、労働時間を短くしていこうという動きを、力強くやっているというところなんですね。それについてはこの先でも、触れていきたいと思います。

労働時間の短縮に取組むことによる効果と書いて、スパイラルというか円になっています。01とありますが、ワークとライフの双方の充実がはかられて、従業員の心身の健康とか、幸福度が向上します、また、リラックスの時間が増えて新規アイディアとかプロジェクトに取組む余裕が生まれますというものが1つめになっています。冒頭にも言いましたけれど、みなさんのような若い活気ある活力ある方々に、会社にどんどん入っていただいて、いままでにないアイディア、いままでにない発想というものを、バイタリティをもって取り組んでいただくことが、会社の成長につながっていくんですね。昔はこうだったとか、こういうことをするものなんだというものをどんどん打破していただく、それにはアイディアを出せる心理的な安全性というのも、すごく大事なんですけれども、まずは時間をちゃんと作ること、そこから、始まってくるんだと思うんですね。
ちょっと余談になりますけれど、労働組合では、このワーク・ライフ・バランスというのを一丁目一番地にすごく置いているところがあるんですけれど、先ほども言った、様々なライフステージの中で、やりがいとか生きがいとかを発揮しながら自分らしく生きていく、そういう中で、副業の解禁も最近多いんですね。副業をできるようにしてほしいというのを労働組合でも結構言っています。もともと生命保険業って個人情報を扱うものですので、副業することはすごくリスクが高いということで、長年認められてこなかったところがあるんですけれども、やっぱり仕事をする中で、総労働時間が短くなってきたら自由に使える時間が増えますので、その中で本人のスキルアップにつながるような副業、社内副業というのもありますし、社外副業、つまりまったく違う仕事をする副業なんかも、今は始まっています。ちょっと細かい話になるんですけれど、総労働時間はどうやって管理するのというと、後から働く企業が総労働時間を管理しなければいけないというのが、国の法律で決まっているので、例えば第一生命で働いていて、副業が今できるんです。そうするともう一個の仕事のほうで、総労働時間をちゃんと管理しながら、その人の心身に問題ない範囲でチャレンジする。副業をやることで、いきいきとやりがいが出てきた、また、社業に対しても働きがいがでてきたみたいなことをよく聞きますので、こういったことも、やっています。なので、新規アイディアやプロジェクトの中に、副業なんかも入ってきています。
02のところ、従業員が意欲高く仕事に取り組むことで生産性の向上、さきほどの副業なんかもここに関係してくるんですけど、残業代の削減にもなると書いてありますが、私が教育部というところにいたときは、残業代がものすごくついたんですね。正直に言いますけれども、当時は22時までは普通に仕事していましたので、17時からあとは残業なので25%賃金が割増になるんです。そうすると、次の月の給与明細をみると、そのときは総合職に職種を転換していましたから固定給なんですが、毎月いただく固定給の倍くらい残業代がついていたのでちょっとびっくりしました。私は営業職として管理職で入社したので、残業代という概念がなかったんですけど、ちょっと最初の給料をみたときは本当に驚いて、これでみなさん元気に仕事しているんだなとちょっと思ったんですけど、いわゆる17時まではスロースターターみたいな感じで、17時からアクセル全開で仕事するみたいな人が昔多かったんですね。そこから頑張ろうみたいなね。当時の企業は、それでも長く働いた方が結果でてくる成果物はいいだろうということで働いていたんですけれども、今は全くそんな状況じゃないんですよね。今は早く帰れば帰るほど評価されるような時代になっています。例えばどういうことかというと、先ほどいいましたけれど、従業員は残業代をあてにしている部分があるので、今は、第一生命なんかもそうですけれど内勤職の制度改定なんかがあったときは、労働組合が相対するわけですけれど、今言ったようなワーク・ライフ・バランスの観点から、残業代じゃない給料の出し方をしてほしいという申し入れをして、今は勤務手当とか、どんな名前でもよいんですけれど、要は平たく言うと、残業代の20時間分先に渡して20時間残業しても同じ金額にするんです。20時間以上残業したらちゃんとその残業代が割増しででるんですけど、今はそんな制度になっています。じゃあどうなるかというと、もう20時間分の残業代をもらっているわけですから、20時間以上原則働けないように労働組合も牽制をかけています。20時間以上の残業になるような場合は、事前に労働組合に申し入れするような、そんな労使協議を行っていますので、そうなると業務時間内に効率よく仕事をして早く帰って、お給料はそれなりにいただけるような状況になっているので、残業にウエイトがかからないような動きになっているというところです。それが業務効率化の推進とあわせておこなわれているというのが02の部分です。そういう意味で健康管理のコストというのも、削減できているかと思っています。
次に03ですけれど、企業は社会的責任を果たしていると認識されることで、企業価値が上がって、みなさんのようなこれから就職しようという方々の人材獲得競争に向けた優位性というのを保つことができます。やっぱりホワイト企業にみなさん勤めたいと思うと思うんです。うちの会社がホワイト企業かどうかは別なんですけれども、そういう観点の中から長時間労働する会社というのは、敬遠される傾向にあります。社会的責任を果たしていることで、企業価値があがるといいました。これもちょっと余談になりますけれど、私どもの会社は株式会社になったという話を、先ほどしましたけれど、今、従業員だと株をもらえるんですね。それも労働組合から申し入れています。私が委員長やっているころから、会社の成長を実感できるようにしてくれというのを、長年ずっと労働組合から申し入れをしていて、そのとき社長が何と言ったかというと、「じゃあ成長が実感できるように丁寧に説明をしてまわります」と言われたりとか、あるいは「SNSとか色々なかたちで社内のものも使って会社の収益や成長していることを一生懸命説明します」みたいなことを言われたりしたんですが、当たり前ですけど、説明だけでは我慢できないので、何度も何度も水面下を含めて話をしていたんです。会社はどんどんどんどん成長していって株主に配当というかたちで還元しています。私どもの会社も、今のところ成長をどんどんしているという状況の中で、社員は成長実感できていないよということを、ずっと言ってきて、今年の7月から、社員はみんな、毎年在籍していれば何十株という感じで株がもらえるようになりました。そうなると03に書いてあるように株価が上がるということは企業価値が上がるということなんです。株価が下がるということは企業価値が下がっちゃう。どことはいわないですけれども、企業でなにか大きな問題があると株価は大きく下がっちゃいますよね。でも企業の社会的価値が上がれば株価というのはどんどんどんどん上がっていきます。そうすると自分たちは株をもらっていますから、自分の株が上がってくるので、より会社のために私も頑張ろうということになっていくということで、01、02、03のようなかたちで、ぐるぐるスパイラルで回っていきながら、持続的に成長していくということが大事なのかと思っています。ちょっと長い話になりましたけれども、労働組合としてもそういったことを経営側に働きかけていきながら、経営側にそうだなと思わせていく、先ほどいった株というのも、当然経営者も考えて言ったことなんだと思うんですけれど、やっぱり現場からそういう声があがっているということで経営側を動かしていくというのが、労働組合のすごく重要なポイントなのかと思っています。

続きまして生保労連の取り組みということで、生保労連の取り組みは、写真にもありますけれども、冒頭に言いました生命保険協会というのが相対している経営側の組織になりますので、写真の左側のほうが生命保険協会、右側が生保労連ですけれども、こういった、労使共同宣言というのを定期的に結んでいます。労使で共同宣言というものを出しながら、先ほどいった社会的使命を向上させていこうとか、生保産業というものをお客様や社会に広く正しく認知してもらおうとか、いろんなことを取り組んでいくというものなんです。今回のテーマであります働き方改革に対する基本認識や、取組みの方向性というのを2017年に共同宣言を行っております。これは日本の金融業界では初の試みだったというところで、生保労連の上部団体で、生保産業だけじゃない労働組合のナショナルセンターの連合がありますけれど、連合の中の金融、生保産業とか損保産業とか、そういったところが今引っ張っていっているところなんです。銀行は今連合には入っていないんですけれども、銀行ってやっぱりなにかあって破綻しちゃ本当にいけないわけで、特殊な非常にきびしい規制があるので、労働組合の発揮できる部分というのがすごく特殊なんですね。なので連合に入らずに独自のルートで活動を行っている、その中で、連合の中で金融業界として存在感を出していくのは、生保産業とか損保産業が牽引するような思いでやっているというところでございます。ちょっと具体的な話をすると、本当に女性の多い産業、組合です、という話をしましたけど、女性の方が安心して働ける、そういう産業にしないといけないと思いますし、それだけじゃなくてこれからはLGBTQの方とか、障害者の方とか、外国人とか多様な人材が活躍できる、女性が活躍しているというところが大きなベースになりますので、そういったものをしながら、産業としても、日本の産業をしっかりと引っ張っていくためにも、労使で共同宣言をおこなったというところでございます。

あと細かいことになりますけれども、取組み2ということで、労働時間等の調査と記載させていただいていますけれども、「中期取組み方針フォローアンケート」というものを、定期的にとりながら総労働時間の調査を加盟組合にしております。左側がグローバルと呼ばれるような総合職の方、2021年と2022年とふたつの、右側の黒い方が2022年ということになります。右からふたつ目、機関長というところが、すごく総労働時間が上がっていますけど、これはコロナ禍で21年はほとんど営業活動ができなかったので、労働時間が当然短い、2022年はコロナがある程度落ち着いてきて、企業活動がまた活発になったので管理職の方の勤務時間が高くなったということが、ちょっとトピックになっています。なので全体的には昔から見れば労働時間というのは縮減しているんですけど、この2年だけをみるとこんな感じになっているというところです。職種ごとに労働時間の管理をきめ細かくしながら、「ここに課題があるよね」というところに関しては、各加盟組合に生保労連が関わっていきながら改善をうながすような動きをしております。
続きまして、ワーク・ライフ・バランス推進担当者会議の開催ということで、ワーク・ライフ・バランス推進担当者というのが企業別組合の中にいらっしゃいますので、そういった方と一同に会しながら、横のつながりをつくったり、情報交換したりも含めて、生保労連の加盟組合ではこんなことやっていて、うちの単組にはこういった部分の視点がまだ弱いんじゃないかということを気づいてもらって、そういった気づきを持ち帰ってもらって各単組で活かしていただくというようなことでやっています。講演もやっていまして、こういう働き方改革に関するテーマとか、あるいは男性育休取得推進などの幅広いテーマでやっているということです。当然労働時間を短くするというのが一丁目一番地なんですけど、多様な働き方ができるようなことというのはやはり日本の産業、社会を考えると分かると思うんですけど、今本当に子どもさんが少ない、やはり安心してお子さんを生んで育てるということがなかなかできない環境にある、そうなるとやっぱり、女性の方が結婚出産したら会社を辞めなきゃいけないなんてことがこれから先はあっちゃいけないことだと基本的には思っていますので、女性が安心して働き続けられる、キャリアを続けられるようにするには男性の育児休業取得というのは絶対欠かせないんですね。なのでこういった取り組みも進めていこうというのがテーマでやっております。また、機関紙で取組み事例紹介ということで、男性で育休をとった方の紹介なんかもしています。紹介していること自体、まだまだ進んでいないからという部分もあるんですけど、やっぱり各保険会社で違っていて、今1か月くらい育休をとっている男性が結構多いという会社があると、ほかの会社の方がみて、「こんなのできるんだ、じゃあうちもやってみよう」ということで相乗効果というのが生まれていると思っています。
各組合の取組みということで冒頭にはちょっとふれたんですけれども、管理職の方の評価の中にね、労働時間を短くすることで管理職の評価につなげていくということも、今始まってきています。労働時間の適正化に向けて、時間外労働の縮減というのを管理職の評価項目に設定していたりして、2019年から比べますと大きく労働時間というのが減っている。今は冒頭言ったようにものすごい長時間残業をするような企業というのは、生保の中では非常に少なくなっています。ほとんどの方が今、17時とか18時にはもうみんな帰ってらっしゃる、当然お仕事が必要な部分はしているんですけれども、そんな状況になっています。右側にあるようなホワイト500というのは、これは国の方で認めている「健康経営優良法人」というのがあるんですけど、そういうものに認定されたりすると、やっぱり企業の価値というのが上がっていくということでございます。
(余談) 私が労働組合に入ったきっかけ
次に移りますけれども、ちょっとこの辺でお疲れのところもあると思うので、ちょっとだけ余談なんですけど、私が労働組合に入ったきっかけをちょっと話したいなと思います。大体みなさんそもそも生命保険ってあまり縁がない部分だと思いますし、どんな会社なんだろうと思うようなところもあると思うんですけれども、その中で私も生命保険の中で労働組合というのをやっているんですが、労働組合って何なんだろうというところがあるかと思います。労働組合がどんなものなのかというのは、皆さんある程度ご理解いただいていると思うんですが、私が入ったきっかけなんですけど、それは本当に一本釣りの世界なんです。さきほども触れましたけれども、和歌山県とかいろんなところでセールスレディの管理監督なんかをやっていたんですけど、そういうことをやる中でだんだん組合の役というのを持たされるようになるんですね。和歌山の支社の中で組合活動をするときの役をやったりとか。そういう中で、労働組合での評価は会社の評価とは違って、仲間内が決める評価なんですよね。仲間が仲間を選ぶというか、あの人だったら、この人だったらという人を推薦していくのが労働組合なので、その人の働きぶり、ちょっと自分でいうのも変ですけれども、「真面目に仕事をしているなあ」とか「一生懸命取り組んでいるなあ」とか「自分のことだけじゃなくて人のことも含めて一生懸命やってるなあ」みたいなことを、周りの人が見て、あの人だったら組合役員やってもいいんじゃないみたいな話になってくると、説得というのがはじまるんです。そんなこと当人は全然わからない、知らないので、いろんなところに呼ばれてお酒飲んだりとか食事したりとかしているうちに、「実はなあ」と急に言われて、「来年やってくれないか」みたいに言われて、当時の上司にも、「どこかで労働組合というのはやったほうがいいよ」と言われていたんですね。やっぱり労働組合をやることによって仕事の中身も良くわかりますし、人のために一生懸命何かをするということは、結果的に会社にも自分の成長にもつながるなと思っていたので、よく労働組合をやらない人というのが中にはいらっしゃるんですけど、組合役員というのは仲間内から、「ちょっとあの人はなあ」みたいなことを思われている人というのはなれないみたいなところがあったので、「なりたくてもなれないんだよ」みたいなことをずっと言われて、説得されて、その第一生命の労働組合の本部というところに行くようになりました。はっきり言いますが、当時全く労働組合というのはやりたくなかったんです。労働組合にね、エネルギーをさいてやるんじゃなくて、仕事でやりがいを感じていたんでね、なんでやらなきゃいけないんだろうと思ったんですけど、誰かがやらなきゃいけないということで真面目に取り組んだつもりです。3年だけという約束で、3年間だけ有楽町にある第一生命労働組合というところに仕事をしながら通っていました。17時まで仕事をやって17時以降組合に行ったりしながら、しばらく仕事をしていましたので、電車乗って組合活動やって、また戻って仕事やってみたいなことを3年やって「もう返してください」と当時の委員長に言ったら、「まだまだお前のレベルではだめだ、返せない」と言われて今に至るという感じですね。ほんとに恐ろしいなあと思うんですけれども。ここで笑ってくれないと困っちゃうんですけど。なかなか会社に返してくれないような感じですね、「次はこれをやってからだ」みたいな話で、話がちがうでしょなんて言いながら、与えられたことなので一生懸命やるしかないなと思っていたんですけど、組合活動をすると、さっきもちょっと言いましたけれども、経営側の考えていることがよくわかるので、この会社をどういうふうにしていきたいのか、あるいはこの会社がどういうふうに進んで行くのか、そこがよくわかるので、仕事としてもすごくメリットがある。なので私は半年、5年後、10年後に会社はこうなりたいから、こういうふうにお仕事をみんなでやろうねということを言いながら仕事をやっていましたので、すごく役に立った部分ではあるんです。ほぼ説得一本釣りみたいな感じでね、今に至っていますので、もし皆さんが将来企業に勤めて、労働組合をやりませんかと言われたら、ぜひやっていただいて、損はないです。大昔は労働組合をやると会社に盾つくみたいな感じですごくマイナスのイメージがあったかもしれませんけど、今の労働組合というのは、本当に成熟して企業も本当に大事にしています。経営側に伝わる声というのはきれいな声しか伝わらないです。よく我々言うんですけれども、泥のついた玉ねぎをそのまま届けるのが労働組合だって言っているんですね。でもスーパーに行けば、玉ねぎってきれいになっていたり、あるいは剥いてきれいになったりして真っ白のものが社長のところに届くというような感じでね、なかなか本音の部分というのは、きれいに洗われてしまいます。でも社長ってはだかの王様なので、「みんなこう思っているんだな」みたいな感じになっちゃうんですよね。いま会社もいろんなかたちで社員の情報をストレートにうけとめるような仕組みっていっぱいあるんですね。エンゲージメント調査とか、会社、経営側が直接従業員のいろいろなものをね、ニーズを知るような仕組みができているんですけど、そうはいっても、やっぱり会社がやることなんですよ。「この調査って会社がやっているんだ」ってなれば社員は当たり前ですが忖度します。本音は言えない。労働組合の調査は秘密厳守なんで一切洩れないですから、本音で書く。そこには大きな差があるんですね。ですので、私はいつも社長には、同じテーマで聞いてもこれだけの格差があるんですよ、これについてどう思います、社長はやっぱり労働組合のデータが正しいって言っていましたけれどもね。そういうことがね、労働組合の重要な部分なのかなと思っています。いま、経営者が、若いときは労働組合の幹部やってたなんて方も結構多いです。私と委員長と書記長で一緒にやっていた人が、今は会社側として組合の相対側にいたりとかね。ちょっと複雑な思いはあるんですけれども、やっぱりめざすものは同じなので、根っこの部分は同じなのかなと思っています。
労働時間の短縮に向けた取組み(2)各社・各組合での取組み
ここから、後半に入って行きたいと思います。労働時間の短縮に向けた取組みB社ということで、出社を前提としない業務体制の整備ということで、今、生保産業ではテレワークというものが結構進んでいます。一方でテレワークをやめて完全出社というところに踏み切っている保険会社もあります。経営者の考えで割れている部分なんですけれども、私ども第一生命ではこのテレワークというのは積極的に進めていて、働く場所と時間は問わないという働き方が、ワーク・ライフ・バランスにもつながってくるんだと思っています。ただ、課題というのがいっぱいでてきているので、課題をいかに改善していくかというところに移っているのかと思っています。こういう出社を前提としない体制を作りながら、スマホを貸与したり、WEB会議をやったり、あとは労働時間を上司が直接みることはできませんので、どうやって労働時間の実態把握をするかみたいなのをやっている部分もあるんですが、ある保険会社だと、防犯カメラを使って出勤確認をしているんですけど、これは悪い意味ではなくて、やっぱりパソコンの電源を落とした後、残業するとか、あるいは人のログを借りて仕事をするみたいな人が後を後を絶たなかったんです。なので、労働組合のほうから、「やっぱり長時間労働を防ぐにはカメラつけてください、防犯上も役立ちますから」ということで、何億円というお金を投じて、会社はつけたんですけど、カメラをつけたら、もう当たり前ですけど、即刻ちゃんと定時には帰るとか、長時間残業しないとか、本当に大きく変わりました。いろんな仕組みを使いながら、長時間残業というのを防ぐ仕組みをしております。

次のスライドになりますけれども、これもB労働組合というところですけど、どこの企業別労働組合も労使協定というのがあって、いわゆる36協定というんですけれども、長時間労働できない、1か月に残業は何時間までとか、半年に何時間まで1年間に何時間までという残業の上限時間が労使で決められています。決められた残業時間をもし超えるような場合、当然企業なので超えるときもあるんですね。決算前とかいろいろな節目で業務量が上がるときがあります。そういう場合はどうするかというと、例えば1月であれば1月の20日までに、1月の31日まで働くと業務量、業務時間がその所定の時間を超えてしまいそうなんです、という場合は一人一人申請を出します。この写真のようにね、一人一人をみるということではないんですけれども、社員全員の申請が出たら各組合では一人一人の申請が適正かどうかというのをみます。2015年に電通で、東大出た新入社員で高橋まつりさんという方が、入社して1年目に過労死でクリスマスの日にお亡くなりになったんです。高橋まつりさんのお母さんが、「日本の社会に殺されたんだ、うちの娘は」という話をして、長時間残業というものがやっぱりこれではいけないんだという大きなきっかけになった事件が、9年前にあったんですね。なので、私どもも組合活動をして36協定というのをむすんだときに、毎月20日前後に残業申請が来るんです。私の会社だと5万人くらい社員がいますので、その中から残業申請というのがどっと出てくるので、営業職員さんはあんまり残業申請する人がいないんですけれど、内勤職員の方が多いので、ひとりひとりの残業申請が適正かどうかを労働組合は全部みます。私が一番気にしているのが健康状態です。「最近眠れない日が続いているけど大丈夫です」みたいなことが書いてあると、本当に大丈夫なのか、上司がちゃんと言葉で、文書で、記録で返信してくれということで、一件一件突き返していました。そういうことを各企業の労働組合でやっていまして、そういうことによって、「ちょっと残業申請したけどやめておきます」と、「他の方にやってもらいます」とか、あるいは「残業超えそうだと思ったけど超えないように取り組みます」、みたいなことにつなげることで、残業を抑制する動きを労働組合ではやっています。
労働時間の短縮に向けた取組み(3)テレワークについて
最後になりますけれども、テレワークの運用ということで、先ほどもちょっと触れましたけれど、今サテライトオフィスとか、シェアオフィスとかも使いながらやっています。第一生命では、オフィスに社員分の席はもうないんです。大体7割くらいで、本社もそうなんですが、自分の席はもうないので、来た時に空いている席に座るようになっていて、テレワークする人がある程度いるが前提なんですよね。その分の賃料を下げるという会社が結構でてきています。また、当然テレワークにかかる暖房代とかいろいろなものがありますから、会社がテレワーク手当というのを一日200円程度出しています。それももともとは出なかったんですが、組合のほうから、やっぱり従業員から「夏だったら冷房代とか本当にかかるので、何とかしてほしい」という声を、会社に申し入れて、勝ち取っているということがあります。

テレワークのメリットとデメリットをそれぞれ記載させていただいていますけれども、今結構デメリットもでてきています。特に、みなさんのような、若いこれからの方が就職して仕事するとなると、テレワークでは、横で働いている人とか、周りで働いている人が、どんなことしているのかをみて学んでいく機会がないんですね。私みたいに、ある程度もう仕事の仕方を覚えた人間が、テレワークするのは全然いいんですけど、みなさんが「これって何」、「どうやってやればいいの」というときは、今みんなチャットで聞いているんですよ。チャットで聞くと、聞く人の時間をやっぱり奪ってしまったりするということで、ちょっと聞きづらいなみたいなことがあります。だから、今新入社員のみなさんと話をすると、「仕事の仕方がちょっと本当にきついです」、「私出社したいです」、みたいな方が結構若い人に多い。でも、やっぱりこれが会社の生きる道だと思っているので、当然出社をしていただいてもいいんですけど、さっき言ったように、もう自分の席がないので、出社したからといって、自分の上司とか、自分のグループのひとがそばにいるわけじゃないので、チームで仕事をしているんだけど、どうやってやればいいのという悩みは出てきている。それがテレワークのデメリットの部分なのかなと思っていますけど、これもチャットを使っていきながら解決していくことになります。そんなに人の時間を奪うわけではないですから。うちの会社は電話してもまったく通じないですが、チャットすれば、すぐに返ってくる、そんなかたちになっているので、そういう働き方なのかなと私は思っています。
最後に、テレワークにおける諸外国の課題・捉え方ということで、いわゆる「つながらない権利」といったものが、今進んでいるということです。まだまだ日本の生保産業の中では、夜も通知オンにしていて携帯でどんどんどんどん通知が流れてくるみたいなことがあるので、これから先は、業務時間外には「つながらない権利」というのを求めていく、そういうことで安心してプライベートを楽しめるみたいなものにしていかないといけないのかなと思っています。色々と長い話をさせていただきましたけれども、長時間労働の削減とワーク・ライフ・バランスという、ひとつの大きな軸の中でお話させていただきました。
おわりに ~学生のみなさまへ~
学生の皆さまにお伝えしたいことは、これから就職という中で、いろんなお仕事をされる方がいらっしゃると思いますけれど、お仕事をすることで自己成長につなげていただきたいなと思います。好きな仕事をするってよく言いますけど、なかなかどれが好きな仕事なのかってわからないですよね。なので、一生懸命仕事をしていくと、その仕事が好きになったり、そのやっていることが、楽しくなったりというところがあるので、是非本当に若い中でできること、いろんな経験をいっぱい積んでもらいたいです。冒頭も言ったんですが、私は学生のみなさんの採用もずっとやってたんです。質問に対して、マニュアルどおりの回答していただけるのはすごくありがたいなと思う反面、「この人本当はどう思っているんだろう」というのがやっぱり想いとしてはあるので、自分のことばで、自分が興味をすごく持っていること、「自分はこういうのやりたいんです」みたいな話があると、この人と一緒に働きたいなと思うので、ぜひぜひやりたい仕事が何なんだろうということも大事だけど、一生懸命仕事することで、仕事の楽しさというのも見出せるので、自分がどんなことしたいのかなということや、会社の社風というのが結構大事なのかなと思っています。この会社はどういう価値観をもって、DNAをもってやっているのかというのを、ぜひちょっと感じてもらって、今後の就職活動を考えていただければと思っております。ぜひ、いろんな経験をしていただきたいと思います。ちょっと長くなりましたけれど、私からは以上とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。