第4回 非正規雇用労働者の処遇改善をすすめる

飯田康介 ライフ労働組合 執行委員長

はじめに

 みなさんこんにちは。ただいまご紹介いただきました、ライフ労働組合で執行委員長を仰せつかっております飯田と申します。短い時間ではございますがよろしくお願いいたします。本日は、表題のとおり非正規労働者の処遇改善をテーマにお話しさせていただきますが、本題に入る前に、みなさんにちょっとお聞きしたいのですけれども、私たち流通関係の会社のライフという会社なんですが、知っているという方、いらっしゃいますか。ちらほら手が挙がっていますね。埼玉県でスーパーマーケットというとやっぱり、ヤオコーさんやベルクさんが有名かなと思うんですが、弊社は埼玉県にも結構展開しておりまして、さいたま新都心や蕨駅前といったところにも展開しております。企業の概要はこのあと触れさせていただきますが、そもそも本日の講義でこういったテーマをいただいた一番の理由は、やはり我々はスーパーマーケットですので、現場、いわゆるお店を運営するためには、非常に多くの非正規雇用労働者の方にご尽力いただいている会社でございます。そういった中で、本日はその中でも特にパートタイマーの方の、これまでの処遇改善の歴史や今後の課題について、お話をさせていただきたいと思います。
 本日お話する内容としては、「1.組織紹介(会社と労働組合)」、「2.自己紹介」、「3.従業員、組合員の構成」、「4.ライフ労働組合とパートタイマー」、「5.ライフにおけるパートタイマーの処遇改善の歩み」、「6.ライフ労働組合として取り組むべき課題」の6点です。まずは組織の紹介ということで会社と労働組合紹介させていただいて、あらためて私の自己紹介、その後記載の3、4、5、6と進んでいければいいかなと思っております。

組織紹介(会社と労働組合)

 まず、組織の紹介ということで、1点目が会社概要です。正式名称が株式会社ライフコーポレーションといいまして、店舗の開設、1号店のオープンが1961年の11月です。ですので創業から実はもう60年以上経っている、ある種結構老舗といいますか、古い会社ということですね。営業収益が、2024年度2月期で8,097億円という売上高を持っております。従業員数が52,810人です。2025年度2月期の予定ということで、今季終わったタイミングで新店の予定もあるので何店舗くらい出店するかというと327店舗を予定しているところです。一応出店地域といたしましては大阪、京都、奈良、兵庫、東京、神奈川、千葉、埼玉、1都2府5県に展開させていただいているということですね。我々スーパーマーケットという業種ですけれども、スーパーマーケットって、実は区分分けされるというのをみなさんご存じでしょうか。いわゆる食品スーパーとかGMSという言い方をするんですが、我々ライフコーポレーションは食品スーパーマーケットというカテゴリーに入ります。これGMSとどういった違いがあるのかというと、GMSというと、イオンさんやイトーヨーカドーさんみたいな、衣料品とかも結構取り扱っている業種のことをGMSというんですね。売上高の7割以上が、食料品を扱っているスーパーマーケットのことを、食品スーパーマーケットといって、産業分類上もそういう切り分けになっているということです。なぜこれを申し上げたのかというと、これはプチ自慢なんですが、このライフコーポレーションは食品スーパーマーケットでは日本一の売上高を誇っていて、業界最大手でさせていただいています。ライフコーポレーションは87%以上食料品でやっているスーパーマーケットで、もうちょっとアピールすると、弊社のマスコットキャラクターのララピーというキャラクターは、どこかでみたことあるな、ポケモンっぽいなと思われるかもしれないんですが、実際にポケモンのデザインをしていた方に書いていただいていて、ピカチュウとある種親戚みたいな間柄なので、これを機会にちょっと覚えていただければありがたいです。
 労働組合の概要ですけれども、我々は企業別労働組合という組織になります。正式名称はライフ労働組合で、結成が1971年12月、会社が設立して10年後に結成をしております。現状の組合員数が29,924人でして、これはあとで触れますけれども、組織率、全従業員に占める組合員数が52.87%という割合になっています。先ほど、店舗数の話をしましたけれども、労働組合では支部数という数え方をしていまして、現状325店舗と書いていますがこれ支部ですね、それぞれ店舗、物流センター、本社に労働組合の支部ごとの代表者を置いて活動をしています。執行部としては30人いまして専従者14人、非専従が16人。専従と非専従の違いなんですが、専従というのは、会社を休職して労働組合だけで仕事をしている人、非専従というのは会社の仕事をしながら労働組合の執行役員など、労働組合の仕事もしている方を非専従と言います。その16人の非専従執行役員のうち、3人はパートタイマーの方に参画していただいている状況です。男女比は現状男性19人、女性11人という構成になっています。上部団体としては、UAゼンセンという産業別労働組合に加盟しています。産業別労働組合、なかなか聞きなれないかもしれませんけれども、どういった存在かというと、言葉のとおり産業別の労働組合の集まりということですね。UAゼンセンの中には、小売業の労働組合が多数集まっておりまして、例えば先ほど挙げたヤオコーさんとかベルクさんにも労働組合があって、このUAゼンセンに加盟しています。なので店舗ごとでいくと、当然競合相手としてバチバチにやりあう仲なんですが、このUAゼンセンというカテゴリーの中で集うと、同じ流通産業で働く仲間ということで、いろんな情報交換をしたり、会社の愚痴を言い合ったり、そんなこともしています。

自己紹介

 会社組織についてご理解いただいたところで、あらためての自己紹介です。私は飯田康介といいまして、現職はライフ労働組合の執行委員長という役職を拝命しています。略歴に記載しておりますけれども、2007年4月にライフコーポレーションに入社して、当然入社したときはスーパーマーケットの従業員ですので、畜産売り場、お肉の売り場で仕事をしておりました。その後で、人事部のリクルーターや、またお店に戻って畜産部の主任、つまり責任者ですね、等々を経て2010年から非専従の執行委員として労働組合に関わりだしたということです。そして2013年から専従者という立場になり、2022年から現職ということで執行委員長という役職を賜っているところです。このように2007年度に入社して、半分以上の期間労働組合に関わっているということで、スーパーマーケットに就職したはずなのに、なんでこの仕事をしているんだろうと思うこともあるんですが、今は今で楽しくやらせていただいているので、それもいいかなと思っております。お気づきの方もいると思うんですが、言葉が若干関西訛りかと思うんですけれども、会社自体は東西同数、それぞれ150店舗くらいで展開しているんです。東西に分かれては出店しているんですが、基本的に近畿圏で採用されたら首都圏の異動とかはない会社なんです。私も労働組合に関わらなかったら、なかなか首都圏に行く機会はなかったんですが、こういった立場になって、最近は首都圏でも勤務させていただいています。最近の悩みは、やっぱり首都圏にくると若干ちょっと関西弁を隠すとは言わないまでも、標準語で丁寧にしゃべろうかなと思うんですが、やっぱりちょっと隠し切れない関西風味が常にあるので、関西に帰ると、若干首都圏の標準語っぽい喋り方をして気持ちが悪いと言われてですね、こっちで喋ると、やっぱり関西人ですねみたいな雰囲気になってしまって、なんか座りが悪いなというのが、ちょっと最近の悩みです。

従業員、組合員の構成

 ここからが本題の話なんですけれども、本日のテーマである「非正規雇用労働者の処遇改善」について、さきほど組織率の話をしましたが、このスライドで、あらためて労働組合の構成ですね、全従業員の数とあわせて確認をしていただきたいと思います。先ほども少し触れましたが、現状ライフコーポレーション全従業員が52,810人という規模になっています。そのうち、組合員数が52.9%ということで27,924人が組合員という構成になっています。組合員であるかどうかの線引きなんですけれども、これは会社と結んだ労働協約というものによって定められています。この点はまた少し後程触れようと思います。補足事項が下に部分にあるんですが、みていただいて分かる通り、それぞれ従業員の行の下、2行目の部分に「組合員」と記載があるかと思うんですけれども、数字が入っているところが、組合員ということです。パートタイマーのところをみていただくとロング、ミドル、エムエスいう記載がありますが、これは雇用契約の時間ごとに分かれているというふうにみていただければと思います。ロングの方が週26時間から週37.5時間までの方、ミドルの方が週20時間から週25時間までの方、エムエスの方が週20時間未満という方です。これによって雇用区分が分かれているということです。もう少し違う言い方をすると、ロングの方がいわゆる社会保険に入られているパートタイマーです。ミドルの方は、地域によってはまだ入っていない方もいらっしゃるというところなんですが、半々です。エムエスの方がいわゆる所得制限をされているパートタイマーというイメージを持っていただければと思います。最近ニュースなどで、103万の壁ってすごく取り上げられていると思うんですが、まさにあそこに関わる方は、ほとんどエムエスの区分に入っています。それ以外のところでは、用語の解説になるんですが、嘱託の方も雇用区分としては組合員となっているんですが、ここは様々な方がいらっしゃいます。嘱託というのは個別雇用契約という建て付けでやっておりまして、警察のOBの方などもここに含まれていますし、1店舗限定で働かれる方も含まれているといった中で、本当に幅広いんですけれども、そうした方々も一部非正規雇用労働者ということにはなるんですが、今回ここは割愛して、パートタイマーを中心に話をしていきたいと思います。そして、アルバイトについて、※②とついていますけれども、ライフでは、アルバイトの方は2つの区部に分かれておりまして、一つがみなさんのような学生アルバイトといった区分、もうひとつが一般的にはフリーターと呼ばれる方、一般アルバイトといった呼称を使っているんですが、そういった2つのアルバイトの区分がある。こういった方々も8,700人ということで非常に多い割合になっているということです。で、※③がついている、継続雇用社員、エルダーという区分があるかと思うんですけれども、これはいわゆる定年を迎えられたあとの雇用区分です。継続雇用社員が正社員、ライフは60歳定年ですので60歳で定年された方が継続して勤務される時にはこの継続雇用社員。で、エルダーというのがパートタイマーの方が65歳を超えたら定年なんですけれども、それ以降に継続して働いている方をエルダーという区分になっています。なので65歳以上の方も非常に多いというのも特徴のひとつですし、最近どんどん増えているのが外国人技能実習生ですね。1,436人ということで非常に多い割合で働いていただいています。※④については、これは表の中にはないんですが、正社員も、一部全従業員の数と組合員の数で差があると思うんですけれども、これはいわゆる労働者性の話で、使用者か労働者かというところで分かれていまして、例えばお店で見ると店長は使用者側ということになりますので、非組合員なんですが、それ以外の正社員は労働者側ということになるので組合員です。なので店長や本社の部長、課長とかそういった人は、全員非組合員になるので従業員と組合員の間で人数に差があるということです。

 そして、さきほど少し組合員範囲は、労働協約によって定められているという話をしましたが、労働協約とは何かという話です。端的にいうと、これは労働組合と会社が労働条件とか労使関係のルールを決めたときに文章をもって約束を交わしたものです。これには明確に優先順位がありまして、労働協約は結構上位なんです。法律があって、労働協約があって、就業規則があって、労働契約があるということです。なかなかないとは思うんですが、例えば労働契約が労働者にとって不利な条件だったとしても、労働協約でそれを下回っていたらそれは無効になるというくらい、優先順位が高いものだということです。もうひとつ、組合範囲の決め方というところでいくと、ユニオンショップ協定というものもあります。これはあらかじめ会社と組合範囲を取り交わして、その後雇用される労働者がそこに該当する雇用区分であれば、自動的に加入をしていただくという取り決めのことです。これはなんでこういったものにしているかというと、組合にとっては組織率の向上、ひいては交渉力の向上につながっていきますし、会社にとっては交渉窓口の一本化というところでメリットがあるということで、こういった約束も会社と結んでいるということです。

ライフ労働組合とパートタイマー

 では、本題のパートタイマーの話で具体的なところに移っていきたいと思います。ここからは、ライフ労働組合の歴史とパートタイマー労働者の組織化の流れをあわせてお話をしていきたいと思っております。
 まずパートタイマーの歴史ということで、パートタイマーっていつごろから呼ばれるようになったのかという話なんですが、第二次世界大戦が終了して10年ほど経った1954年に、東京駅の八重洲口に大丸さんが出店したときに、新聞に求人広告をうったのが、パートタイムという用語が日本のメディアに出たはじめての広告といわれております。何が書いてあるのかというと通学とか家庭とかそういった時間以外の余った時間を利用して、一日3時間くらい働くパートタイム制の募集をはじめてされたということです。まさしくこれが今の日本社会におけるパートタイマーのイメージそのものかなと思います。自分の生活の余った時間を使ってお金を稼ぐという募集の仕方ですね。これは非常に反響があったらしく、多くの応募があったといわれていて、その結果パートタイムという言葉が定着したといわれております。海外ではパートタイムは実は正社員とほぼ一緒でして、単純に労働時間が短いことを指すんですが、日本ではこの影響が強いせいか、繰り返しなんですが、通勤とか家庭の余暇の時間を使う方、またこの新聞広告の中に、「お嬢様、奥様」という文言が書いてあるんですけれども、ある種女性を対象に、有期雇用で時間の限られた働き方をする方をパートタイマーと指すようになったということです。

 これがパートタイマーの歴史なんですけれども、一応、法律上のパートタイマーの定義もご紹介したいと思います。「パートタイム労働法」という法律で定められておりまして、その第2条に、「この法律において短時間労働者とは1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者と、(中略)1週間の所定労働時間が比べて短い労働者のことをいう」というのが、法律上のパートタイマーの要件です。ちょっとだけページを戻ると、ライフのパートタイマーのロングの方の労働時間契約が37.5時間となっているかと思うんですけれども、ライフコーポレーションの正社員の所定労働時間は一日8時間なんです。これを週にすると1週間で40時間になりまして、この法律上のパートタイマーの定義はわかりやすくて、週37.5時間までという契約なので正社員より短い、イコールこのロングという方は、法律上の要件も満たしているパートタイマーということです。パートタイマーの前提ですが、ご説明をさせていただきましたとおり、大丸さんを起点に、パートタイマーという働き方が日本国内に徐々に広がるわけなんですが、じゃあライフができたときパートタイマーがいたのかといわれると、いたといえばいたんですが、当時はやっぱりまだまだ正社員だけで運営している会社でした。

 先ほども触れましたが、1961年にライフコーポレーション第1号店が開店して、1971年12月にライフ労働組合が結成しました。この写真が1号店ということで大阪区の豊中市にあるんです。その右側にあるのが、手書きがすごく時代を表していますけれども、組合の結成届です。ライフコーポレーションは設立当初は、清水実業株式会社という名称でしたのでこの当時は清水実業労働組合という結成届となっています。見づらいんですけれども、この人数が書いてあるんですが、結成当時は108人です。繰り返しなんですけれど、この頃は正社員だけで運営していましたので、正社員組合として発足したということです。そのあと、業務拡大に伴って、パートタイマーと呼ばれる方がどんどん増えてきたわけです。

 ではどういった流れの中でパートタイマーが組織化されたのかというのが、次のスライド以降です。はじめてパートタイマーの方を組織化しよう、労働組合に加入してもらおうと着手したのが、組合結成から17年が経過した1986年といわれております。私は当時2歳だったので、資料を引っ張り出して読んでいるんですけれど、この頃に労働組合がパートタイマーを組織化していこうと動き出したということです。ちょうどこの頃、契約社員の制度変更があって、パートタイマーの制度が正式に誕生したと書いてありました。その中で、パートタイマーの中でも、ある程度上級者という位置づけのクローバー社員という区分があったんですが、上級区分であるクローバー社員に労働組合に入ってもらおうというのが、パートタイマーを組織化する第一歩だったと、過去の資料に記載があるということです。
 1987年の労働組合第16期に、クローバー社員を組織化して、これがその当時発行した組合の機関紙で、5月2日ですのでパートタイマーを組織化するちょうど前夜ですね。ここに書いている内容は、パートタイマーを組織化する重要性を説いている記事です。特にその部分をクローズアップしました。当時の人数規模がわかる数字でいくと、この時のパートタイマー社員を8時間換算すると、2,868人がパートタイマーです。その当時全従業員が5,093人と記載がありましたので、すでにこの段階で56%がパートタイマー社員という数になったということです。そうした中で色々な問題がでてきました。それこそ時給だけではなくて、雇用契約の問題や福利厚生の問題などに対して、労働組合として現場の声をしっかり吸い上げて、交渉する時期に来たんだということをこの記事のなかでは伝えています。 

 そういった流れの中で、実際に第16回定期大会で―この定期大会とは何かというと、労働組合は法律によって、年1回総会を開くという決め事があります。―この定期大会というのが、その法律上の総会のことで、この場で労働組合の活動報告や次期活動方針や、お金の決算と予算などを確認する場なんですけれども、この第16回定期大会の中でクローバー社員の組合の正式加盟を可決したという記載があります。結成当初は近畿圏から138人、首都圏から81人の方が加盟しているということですし、この文章は本当に時代を表しているなと思うんですけれども、「東京からは夜行銀河で北越谷支部からクローバー社員の方が来た」と書いてあり、その方以外にも「始発で来た」、「新幹線で来た」、と記載があり、東京からも近畿のほうに来ていただいて、加入した喜びを分かち合ったという記事が残っています。この誌面の裏側には、「クローバー社員労働条件の改善要求へ」という記載があって、加盟していただいたので、さっそくこういうことに取り組んでいきますという記載があり、これがライフ労働組合としてはじめてパートタイマーの方の処遇改善に取り組んだ内容ということになります。このときは、まさに福利厚生面の特別休暇なんですけれども、とくに重要なのがこの考え方のところです。今でも基本的な考え方はあまり変わらないんですが、やっぱり同じ職場で働きながら福利厚生面に、社員とパートで差があるのはおかしいという前提の中で、この要求に記載がある通り、クローバー社員も正社員が使える生命保険の団体扱いをうけるようにするだとか、財形貯蓄という、社内貯蓄みたいな仕組みがあるんですけれども、そういったものに加盟できるようにするだとか、上の表にある特別休暇も正社員とあわせて支給してくださいという要求があったということです。気になったのが、先ほども話をしたように、パートタイマーはやっぱり生活があって、余った時間を労働にあてて仕事をするというのが一番の多い考え方というところがあるんですけれども、意外だったのが、契約時間などについてクローバー社員の希望が優先されるべきだというふうに書いてあるのが、この時代背景というか、逆に今は当たり前のこういうことを書かなければならないということなんですよね、パートタイマーの都合を聞いたうえで双方ですりあわせて雇用契約を結んで労働時間を決めていく、というのが当たり前なんですけれども、この当時は会社が結構優位に立っていたのかなと思わせる記載もあるということでございます。

 こちらが、パートタイマーに加入していただいて初めて作った、ライフ労働組合の機関紙で、今でも「スクラム」というこの名称を使っているんですけれども、パート社員版の初めて作った号です。内容に関しては、社会保険と労働保険に関する記事と、裏面が、現場で働くパートさんのお仕事報告や紹介みたいなページになっています。この記事から思うのは、今国会では、103万とか、106万とか税と社会保障の壁について議論しているかと思うんですが、見るとわかるとおり、この当時からやっぱりパートタイマーといえば税金と社会保障の壁ということがものすごく表れているというか、常にこういったことを意識しながら働いているのがパートタイマーなんだなということがわかる記事かと思います。1987年に、記載の219人がまず先行して労働組合に加入したというところでございます。

 このスライドは、加入していただいたあとに具体的にどのような要求をして労働条件の向上に努めたかというスライドです。1990年には日曜祝日出勤手当を作ったり1991年には大幅な時給の引き上げや感謝金制度の新設をしています。これはどういった制度かというと、長く働いてくれたパートタイマーに対して感謝金というか、一時金をお支払いする仕組みがこの感謝金制度というものです。1992年には、雇用上限年齢の引き上げということで、もともと55歳だった上限を60歳に引き上げや、2007年にはパートタイマーと正社員をつなぐ雇用を組むということで、店舗限定契約社員制度を新設したりしています。これができたことによってパートタイマーから正社員登用が可能になって、42人の契約社員が正社員になったりして、結構今でもいらっしゃるんですが、こういった仕組みを作って、ある種一気通貫にパートタイマーから正社員までつながるような仕組みが2007年の段階でできたというところです。

 次の転機がいつかというと、これは2011年になるんです。結成から40年となる2011年の第40回定期大会の中で、パートタイマーの組織拡大を1年計画で進めていくことを決議しました。左側のスライドが大会のときに使ったものなんですけが、まず会社と先行して組合範囲を含めたユニオンショップ協定の改定を決めました。そうすることによって、今までの区分、いわゆるロングだけ、クローバー社員イコールロングだったんですが、クローバー社員というロングの上級役職者だけだったんですけれども、ロングのゼロから3級、ミドル、エムエス、短時間嘱託の組織化を機関決定したということです。右側が実際にパートタイマーのもとに執行部が赴いて加入説明会をしている図なんですけれども、この当時でも非常に多い人数のパートタイマーがいたんですが、専従者が本当にすべてのパートタイマーに説明をしてまわったと聞いていて、私は2013年から専従者になっているので最後のほうだけ少しお手伝いしましたが、非常に大変だったと聞いております。2012年にパートタイマーを組織拡大しようとした理由が2点あります。1点目は「量の拡大」です。これは結局、クローバー社員が組織加入したときとまったく一緒なんですけれども、その当時とは比にならないくらい、パートタイマーの人数が増えたということです。2012年当時で全従業員32,000人中27,000人が短時間労働者ということで、従業員の過半数を代表するということが、労働組合の課題として大事なことなんですが、明らかに過半数を割れているという状況になってしまった。これで果たして労働者を代表する組織といえるのかということです。やっぱり過半数をしっかり保っておかないと、賃金の支給の仕方や労働時間、休憩時間、そういったものについて、過半数組合は会社と色々な約束事を結べるんですけれども、そういったものが担保できない状況になりましたので、これをしっかり過半数に持って行こうというのが1つ目の理由ということです。
 2つ目が、「質の変化」ですけれども、やはり2012年くらいになって来ると、パートタイマー自体の職務範囲や職責が非常に広がっていたんです。そういった中で、売上高、利益への貢献度が高まっているわりには、利益の適切な配分ができていないというのが、課題認識としてありました。さきほども少し触れましたけれども、やっぱり労働組合が交渉できるのって、あくまで組合範囲の処遇についてだけなんです。そういった観点から、やはり組合に入っていただいて、しっかり交渉できる下地をまず作ろうと考えまして、組織拡大をしていこうということになりました。そして、2012年9月の定期大会で、パートタイマー約1万人の方に加入をしていただいたということでございます。補足として、実は2019年3月にも、パートタイマー5,000人の方に加入していただいているんです。パートタイマーの区分自体は、2012年に1万人が組織加入して、2019年に60歳から64歳のパートタイマー5,000人の方に加入していただきました。ここでどういった方々に加入していただいたかというと、パートタイマーは60歳が定年でした。60歳を超えると先ほど少し触れた、エルダーという雇用区分になっているわけなんですが、2019年になると、このエルダーさんの人数がすごく多くなってきた。それで、人数の構成が非常に多くなってきたんですけれども、仕事の中身、60歳超えてある種パートタイマーをリタイヤしたからといって、仕事の中身が変わったのかといわれるとそうじゃない状況がある中で、会社に対してパートタイマーの定年延長とあわせて、この60歳から64歳のエルダー区分の方を、再加入としてもらう動きがこの2019年の加入の理由はいたってシンプルで、本当に高齢化率が進んできたということです。

 これ最新の資料なんですけれども、今でもだいぶ人数が多いですよね。この赤線が、60歳の区分になっているんですが、2013年と比べて、2023年では、本当に60歳以上の方のボリュームがすごいです。2013年の段階ではエルダーで、組合員ではなかったんですが、現状はロングの方とか、エムエス、ミドルの方にも色がついていますけれども、こういった構図になっているということです。さらに75歳まで雇用上限年齢を上げているので、このあたりも結構ボリューム増えてきて、組合としても、どうしてもいたちごっこになるといいますか、今後どうしていくかというのも課題としてあります。
 ここまでが、これまでのライフ労働組合としてのパートタイマー組織化の流れという話です。

ライフにおけるパートタイマーの処遇改善の歩み

 ここからは、近年の処遇改善についてお話をしていきます。このスライドに書いているのは、パートタイマーの処遇改善を進めるうえで、ライフ労働組合が前提として持っている考え方です。同一労働同一賃金というものが考え方の基礎になっています。正規雇用労働者いわゆる正社員と、非正規雇用労働者との不合理な待遇差を解消していきましょうということで、一言で言うと、均衡均等待遇の実現というものです。一言で書いてもわかりづらい文言かと思いますけれども、均衡、つまりバランスと、均等な平等性といったものを、しっかり実現させていこうというのが基本的な考え方です。例えば、正社員とパートタイマーの均衡という話でいくと、正社員とパートタイマーって、賃金などの処遇の差って、当然ありますよね。正社員の方が高くて、パートタイマーの方が低いというところがあるんですけれど、高いなら高いで、「なぜ高いのか」という理由付けが大事という話と認識してもらえればいいかと思います。例えば、ライフコーポレーション、先ほど私関西出身で基本的には近畿圏で入社すると首都圏の転勤はないという話をしましたけれども、近畿圏内の店舗では、異動があります。一方で、パートタイマーの方は、原則ライフコーポレーションでは店舗の店長と契約を結んでいるので、基本的にはその店舗だけでの勤務となります。異動はない。そうなったときに、正社員は異動があって、パートタイマーは異動がないというところの差を、どうとるかという話ですね。転勤がある分だけ負担があるので、その分を処遇に上乗せするというのは、これ自体は間違ったことではないと思うんですけれども、その差が正しいかどうかしっかり判断をして、バランスをとるというのが、均衡待遇という話です。では均等というのは何かというと、これはいたってシンプルで、例えば正社員は更衣室を使えるけどパートタイマーは更衣室使えませんよというのは、だめだというのが均等待遇の考え方です。均等待遇は本当に分かりやすいですね。そういうところでは差をつけないという話です。

 これを前提に、じゃあどういったことをしていったのかというと、大きくはこの①から⑥です。まず1点目、「賃金制度の改定」ということで、これは多くのパートタイマーに組織加入していただいたあと、すぐ取り組んだ内容です。ポイントとしては、パートタイマーに定期昇給制度を導入していきたいということです。この話をする前に、みなさん定期昇給制度ってたぶん聞き馴染みがないかなと思うので、解説させていただきますが、これは日本の賃金制度の特徴ともいわれています。定期昇給の「定期」というのはだいたい1年ごとを指していまして、ライフに置き換えると1年ごとに年間の評価に応じて、給料が上がっていく仕組みのことを定期昇給といいます。ですので、1年間勤続して働けば、去年よりも、例えば5,000円とか10,000円とか、賃金が上がっていく仕組みです。なぜこういった仕組みをもっているのかというと、やはりこれは今の新卒採用の流れとリンクしているんですけれども、毎年学校を卒業して会社に入社される方がいらっしゃいます。そうなったときに、去年の新入社員と今年の新入社員で賃金が一緒だと、不公平が生まれますし、その1年間の仕事fの結果を賃金に反映させてあげないとよくないよねというところで、定期昇給で前年と今年の新入社員の差をしっかりとつけていくという仕組みです。なぜ第一にこれに取り組んだのかというと、その当時、パートタイマーの方には、そういった定期的に賃金が上がる仕組みがなかったからです。等級制度自体はあったんですが、結構合格するためのハードルが高くて、1回あたり試験に受かったら5円、10円、25円、50円みたいなかたちで上がるんですけれど、ハードルがとっても高い仕組みだったということです。なのでパートタイマーでも、試験を受けられなければ5年働いても賃金上がらないとか、10年働いても人によっては上らないというようなことがやっぱり不満の種になっていたというところがあります。

 そもそも、そういった定期昇給制度がなかった理由がいくつかあるんですが、大きくはこの◎にある4つです。
 1つめが、「パートタイマーの採用は年中通して採用される」こと。正社員の場合はある程度新卒採用という採用の仕方をしますので、入社する時期が決まっている。だから1年間という期間がとりやすいということがあるんですが、パートタイマーは通年かけて採用されているので、それぞれ入社日がばらばらなんです。そういったものをどう雇用管理していくのかという、システムの構築が難しかったというのが正直あるのかなと。
 もうひとつは、「正社員と違って入れ替わりが激しい」ということです。ばらばらに入るんですけれども、同時にばらばらに辞めていくというところもある中で、やはり期間にばらつきがあるというのも、これまで入ってなかった理由ということです。
 あとは、「採用場所により賃金水準がばらばら」というのもひとつの要因でした。ライフでいくと、首都圏と近畿圏展開していますけれども、首都圏でも例えば恵比寿や渋谷にも店舗があるんですが、そういったところの時給水準と、例えば奈良の山奥にある店舗では、時給水準がやっぱり全然違います。そういったこともあって、水準がばらばらという中で、これもやっぱりシステムの問題なんですが、そこに賃金を上乗せしていく難しさがあったということです。
 あと、最大要因が、やっぱりそうしたパートタイマーの方が「労働組合に加入していなかった」ことで、労働組合としても交渉のテーブルに乗せていなかったんです。やっぱりこのタイミングでしっかり組織に加入していただいたことによって、この最後の部分が解消されたことで交渉が進んだということです。
 ライフでパートタイマーの賃金制度を導入したときに、色々な会社ではまだまだ制度を導入しておりませんでしたので、当時のNHK「クローズアップ現代」などで大きくとりあげていただきました。
 それ以外にも、主な取り組みの②にある「一時金(ボーナス)の支給と増額」にも取り組んでいます。一時金については、もともとパートタイマーのうち、先ほど話にでたクローバー社員にしかでなかったんですけれども、労働組合に加入して交渉した結果、各雇用区分に対して金額の多寡はあるんですけれども、支給が導入されたところもあります。そのほかにも主な取り組みのスライド③「労働時間を1分計測に変更」、④「特別休暇を正社員と同一」にする、直近でいきますと⑤「契約社員の正社員登用」で契約社員制度を廃止して、正社員希望者全員登用したりしています。⑥「新型コロナウイルス蔓延時の対応」は、これは非正規雇用の方だけにではないんですが、正社員と同様に、感謝金を払ったり、マスクを配布したり、会社がやってくれたので記載をさせていただきました。

ライフ労働組合として取り組むべき課題

 こういった会社との交渉を経て、パートタイマーの処遇改善を行っていったわけなんですが、ここからは、それを踏まえて今後ライフ労働組合として取り組むべき課題について、ご紹介をしていきたいと思います。大きくいうと、「人手不足」、「スーパーマーケットを支える多様な労働者」にどう対応していくのか、「組合員の経済的地位の向上」というこの3つです。
 1つ目は、なんといっても「人手不足」です。やっぱりスーパーマーケットはお世辞にも、人気の業種は言えませんので、慢性的に不足しております。ただ一方で、コロナ禍の中で実証されたと思うんですが、やっぱりエッセンシャルワーカーと呼ばれて、世の中にはなくてはならない職種であるということです。その中で、具体的にはどういった課題があるのかですが、1つ目が少子高齢化、2つ目は1つ目ともリンクするんですが「労働人口の減少」、3つ目が「採用難」と考えているんですが、それに加えて、最近話題になっている、この「103万円の壁」があります。労働供給制限という言い方になるかもしれませんけれども、こういったことも課題としてあるところです。こういったものに対してどう取り組んでいくのかという話が、やっぱり魅力ある労働条件をしっかり作り上げて、流通業で働きたいと言っていただける方を増やしていくというのが、まず労働組合として一番やっていくべきことなのかなと思います。そのうちの1つが、繰り返しになりますが、「賃上げ」です。まずは賃金水準をしっかり高めていって、魅力を高めていくということです。あとは働き方改革の一環ということで、「DXの推進」ですね、DXはデジタル技術を活用して企業とか社会を変革しようという話で、それは若干大げさかもしれないとも思うのですが、デジタル化、機械化というもので業務改善をしていく。あとは「社会へのアプローチ」で、これが主に103万の壁などへの対応になってくるんですけれども、こういった3つの手法があると思っております。

 やはり少子高齢化も大きな理由ですけれども、内閣府の統計では、今後、人口はどんどん減って行くというのが前提条件なんですね。今から30年後の2055年には人口が1億人を割るといわれていますし、ピンク色のところが生産年齢人口といいまして15歳以上65歳未満の方の人口ですけれども、当然ですが、どんどん狭まっていて、働ける方はどんどん減っていくというところがあります。ライフ労働組合も、どんどん高齢化していますし、それはパートタイマーだけじゃないんですね。正社員も今回非常にボリュームゾーンになっている中で、この10年20年でいくと正社員も不足していくというのが目に見えているところがあります。そういった中で、やっぱり気になるのが、先ほども触れましたけれどもデジタル化ということです。

 これは、会社の統合計画書といわれるものなんですけれども、特に見るべきが②の「従業員へのアプローチ」というところですね。具体的には「業務効率の改善を通じた、従業員の適正な労働環境の維持・改善」と記載がありますけれども、スーパーマーケットは労働集約型産業とよばれています。人間の労働力への依存が高い職種のことをそういう言い方をするんですけれども、他方で、さきほどグラフで見たとおり人はどんどん減っていきます。そういった中で、やっぱりスーパーマーケットも業務の見直しが必要だと感じております。機械ができることは、しっかり機械にしていただいて、人がしなければならないことを人がやっていくということですね。やっぱりその切り分けは大事かと思います。そういった中で現在会社がやっていることとしては、例えば電子棚札です。昔はスーパーとかコンビニとかに行くと、紙の値札がついていたと思うんですけど、ああいったものを全部電子棚化、デジタル化してデータにして、ボタンを押せば全部切り替わる仕組みだとか、あとはAI需要予測型の自動発注の導入ですとか、これも昔は、担当者の勘で発注していたわけなんですね。それで、余ったり足りなかったりみたいな話がよくあったと思うんですが、最近はこのあたりはやっぱりAIがやったほうが効率的だという話もそうですし、こういったものを機械がやることによって、スーパーマーケットとして、商品のお肉を切って出すとか、惣菜作って出すとか、そういった人にしかできないところに、しっかり注力していこうということで、会社も取り組んでいるということです。

 これが電子棚札の写真なんですけれども、労働組合としても、今後デジタル化というのは進めていってもらう必要もありますし、そこに対する投資というのは、今後も求めていく必要があるのかなと思っています。ただ求めるばかりではなくて、組合の役割としては、チェック機能もありますので、しっかり効果検証といったものもしていく必要があるということです。何事も費用対効果として、投資したものに対して効果が出ているのかだとか、「導入したけど現場としてはちょっといまいちです」ということがあれば、やっぱりそれを経営側に伝える必要がありますし、場合によっては、使えないそういったものに投資をするんだったら、それはその分賃金を上げてほしいというほうが、もしかしたら効率的かもしれませんし、こういったところはしっかりチェックしていく必要があるよねということです。

 社会へのアプローチとしては、先ほど少し触れた103万の壁ですね。労働組合として、パートタイマーのため、組合員のために、会社側と交渉して様々な労働条件を改善していくわけなんですけれども、当たり前ですが、こういったものまでは、労使協議では解決できないんです。ただこういったものも解決していかないと、パートタイマーの方がなかなか働く時間を増やしてくれないという現状があります。年収の壁に関しては、今結構話題になっていて、色々なニュースで見ているかと思うんですけれども、いわゆる103万、106万、150万、201万の壁というふうにいわれています。学生のみなさんでいくと103万の壁で、一般的には、ここを超えると親御さんの特定扶養控除がなくなって、おうち全体の収入が減っちゃうということもあるかもしれないですし、昨日のニュースでは、引き上げるというような話もありましたけれども、パートタイマーもこのあたりのことを非常に意識しているということです。

 1つのサンプルとして、これは日本スーパーマーケット協会という、日本のスーパーマーケットの企業が組んでいる団体のとったアンケートなんですけれども、やっぱりパートタイマーが何を意識しているのかというと、103万の壁だといわれています。そういったこともあって、この103万の壁をまず取り払わないと、パートタイマーの労働時間が伸びないというところは、業界全体として言っていることですし、労働組合としても、そのとおりだというところです。労働組合は、政治活動というイメージをもしかしたら持っている方もいるかもしれませんが、労働組合の政治の力というのは、こういうところに使ってもらうのが、一つの目的なのかなというところです。これが103万の壁のところですね。

 2点目が、あらためて、スーパーマーケットを支える多様な労働者に組合として今後どう対応していくのかという話ですね。今回はパートタイマーという切り口で話をしていますけれども、それ以外にも、いわゆる非正規雇用労働者とよばれる方々が多く活躍していらっしゃいます。最近でいくと、シニアの方や女性の方、あと外国人技能実習生や特定技能の方、学生アルバイトの方とか、スキマ時間を活用した労働者の方もいます。「タイミー」ってスキマバイトのアプリがありますよね。日雇い労働者ということになるんですけれども、最近非常に多く、ライフコーポレーションに登録していただいて働いていただいています。そういった方々もいらっしゃるということです。

 特に外国籍の方が年々増えておりまして、内閣府の「令和6年経済財政報告書」によると、2023年には205万人、つまり全雇用者の3.4%が外国人ということになっています。ライフコーポレーションも、ご多分に漏れず、これは全従業員の表なんですが、この部分がいわゆる非組合員である非正規雇用労働者の方の部分になっています。全体でみても38.6%が、もうすでに非組合員の非正規雇用労働者が占めておりますし、外国人技能実習生の方に関しては2.6%という非常に高い水準、外国籍の方に関してはですね、アルバイトの方とかにも結構含まれていますのでそういう意味では外国籍の方って非常に多くなってきているなというのは実感としてあるということです。
 ちょっとだけ当たり前のことをご説明させていただきますと、外国人技能実習生と特定技能がどういう方々なのか、という話なんですけれども、技能実習生の方は、技能を移転する制度ということで、外国から日本にきていただいて、技能習熟していただいて、帰って向こうでその能力を生かしてもらうために、国として導入している制度です。特定技能というのはもっと具体的で、人手不足への対応として、人材確保を目的に、決められた産業分野で受け入れる外国の方を特定技能という言い方をするということです。このあたりは結構ニュースにも出てくるかなと思うので、知識として知っておいていただければと思います。この方々が、ライフでも今2.9%近くいらっしゃるということです。本当にこういった多様な労働者によってライフは支えられていることを考えたときに、先ほどのパートタイマーを組織拡大するときの話にちょっと戻るんですが、やっぱり量も増えていて、質もライフの業績に対する貢献度がどんどん高まっていく中で、この人たちが、果たして恩恵をうけているのかというのを、しっかり精査する必要がありますし、こういった方々の働きやすい職場環境の構築と、労働者保護の観点から、今後組織化をどうするかという話も考えていく必要があるんじゃないかというところです。
 3点目が、「組合員の経済的地位の向上」ですが、今回はパートタイマーの話がメインなので、そこにフォーカスすると、「非正規雇用労働者の働き方と処遇のバランス」をみていく必要がありますし、同時に「継続的な賃上げと生産性の向上」、これもやっぱり実現していかないと難しいというのが目下の課題です。パートタイマーの方の処遇改善に関しては、先ほどお話ししましたけれども、基本的な考え方は「均衡均等待遇の実現」ということです。

 じゃあライフではどうなのかという話ですけれども、この表は、ライフコーポレーション、ライフ労働組合の春闘の中で出している資料なんですが、赤囲みのところですね、正社員の地位とパートタイマーの部門リーダーと書いてありますけれども、これは両方とも正社員とパートタイマーで、雇用区分は違えども、それぞれ正社員の部門責任者とパートタイマーの部門責任者ということで、仕事はまったく一緒ということではないんですが、やっている仕事は結構近いというふたつの区分を比較しています。比較したときに、正社員が年収水準を100%とするとパートタイマーが56.4%という水準に今なっておりますので、確かにこの差が正しいのかどうかというところは、しっかり会社と確認し合って、引き上げていくものは引き上げていく交渉をしていく必要があるというところです。

 2点目の「継続的な賃上げと生産性向上」の話ですが、この表は、ライフコーポレーション直近10年間の経営数値というものになっています。こういった中で組合としてはどこをチェックするのかという話なんですが、この赤囲みのところ、労働分配率という指標があります。これは何かというと、利益に占める人件費の割合です。右側が2023年は49.6%という水準なんですが、水準的には小売業の中でも普通くらいかなという水準です。今の水準というよりは、基本的には安定してしっかり保たれているというところを見ています。そういった労働分配率を見ながら、人件費の比率もあるんですけれども、2014年から2023年のあいだにだいたい1.72倍くらいとなっているというところです。このあたりは継続的な賃金要求と会社がそれに対して真摯に答えてきてくれた結果がみえるということですね。  そういった中で、じゃあ会社は利益がでているのかという話ですが、右肩上がりではあるんですが2014年から2023年のあいだに1.62倍で、人件費に比べると若干成長率が低いという状況が分かります。今のところ大きな影響はないんですが、今後も人手不足の対応として、一番なのはやっぱり賃金を引き上げることなんです。募集時給を引き上げるのもそうですし、正社員であれば初任給を引き上げるということなんですが、そういったことを今後していかなければならないと思います。加えて最低賃金が今年は全国的に50円引き上がりましたけれども、来年以降もおそらくそれくらいの水準で上がっていくでしょう。石破首相が「2030年には1500円」という水準を明言もしている中で、おそらくこの人件費の引き上げは、労働組合との交渉と関係なくどんどん上がっていく可能性があるとなったとき、やっぱり労働組合の基本的な考え方は、「生産性3原則」だと思うんです。この生産性3原則とは、何かというと、労使の基本的な考え方ととらえてもらえればいいかと思います。戦後の日本で「生産性運動」というものがありまして、日本生産性本部という組織が主体でやっているんですけれども、戦後日本を豊かにしていくためには、生産性を高めていく必要があるという前提に立ったときに、考えるべき3つの原則として、「雇用維持」、「労使協議」、「公正分配」というのを掲げたということです。先ほどのグラフいくと、労働組合なので賃金を引き上げていくというのが当然なんですけれども、やっぱりそれは企業の適正な成長があってこそ、公正分配があるんだということを、組合員としても認識した上で、そのあたりしっかり鑑みながらやっていく必要がある。そうしないで会社がつぶれてしまうと、そもそも雇用の維持というのがおぼつかなくなってしまいますので、このあたりを今後どうバランスをとっていくのかというところは、労働組合としては非常に難しい時期に入っていくのではないかというのも、率直に感じるところです。

 まとめますと、人手不足に対しては魅力ある労働条件をしっかり実現していこうということもそうですし、多様な労働者に対しての対応ということでは、今後組織拡大も検討しなければならない、あと処遇改善と生産性向上については、あらためて労働組合として生産性三原則に則った活動をしっかりしていこうというところが、今後やっていくべきことではないかということです。

まとめ

 全体のまとめに入っていきますが、やっぱり労働組合としては、ひとりひとりが違いをしっかり認め合って尊重して、お互い様と思える職場作りをしていく必要があるなと考えております。昨今やっぱり多様性を活かしていこうというのがキーワードかなと思います。ダイバーシティという言い方もしますけれども、企業活動に関しては、ダイバーシティは、女性活躍推進とかシニアとか障がい者雇用とかLGBTQとか、そういったワードにつながるのかなと思います。これらも全部大事なんですが、個人的には、正社員とパートタイマーとか、働き方の違いと考え方の違い、特にジェネレーションギャップも多様性のうちのひとつというふうに考えています。
 これは仕事柄なんですが、やっぱり組合員からはいろんな相談がくるんです。当然労働組合が対応すべきパワハラとか、そういった重大なものもあるにはあるんですけれども、だいたいの案件が、当事者同士がもう少し話し合って、分かり合ったり理解してもらったりしたら解決するような案件が非常に多いのも実情です。そういったときに個々の労働者が、しっかり自分自身の考え方を持つのは大事なんですけれども、固執しすぎることなく、お互い様の気持ちを持って分かり合うというのも非常に大事かなと思いますし、我々ライフ労働組合としては、多くの店舗で働く組合員の方々が安心して働けるような仕組みづくりも今後も取り組んで行ければなというところでございます。
 以上とさせていただきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。