児童虐待と労働組合とのかかわりについて
―この問題を解決するには―
概要
労働組合の役割としては組合員の利益を守り、働く環境を改善し、生活の質を向上させるという大きな役割を担っている。加えて、社会的な問題への取り組みは、労働組合を組合員だけでなく、地域社会において必要とされる存在へ高めていくのである。そこで重要な社会課題となってきており働き方や経済的な要素とも関連する、児童虐待をテーマとしてとりあげた。
児童虐待は加害者の過去における被虐待体験は勿論のこと、低収入や働き方・社会的孤立にある家庭環境も大きな要因である。虐待をしてしまう者の過去の境遇よりも、その者が現在置かれている環境の方が虐待に影響する比重が高いのではないだろうか。児童虐待相談対応件数は毎年増加を続けている状況のなかで、個人的や社会的、経済的なもの等それぞれの側面から複雑に絡み合ったリスク要因を把握する。本論文では児童虐待の実態や保護者が虐待に至る原因やその置かれている状況についての考察を深め、労働組合(単組・産別・連合)がいかに関わり解決に役立つ具体的な役割ができるかについて提言する。