労働組合論I
1)授業の概要と目的
この授業は労働組合論入門であり、連帯社会を構成する主要な柱の1つである労働組合の起源と基本的役割について学ぶ。
2)到達目標
労働組合はイギリスで17世紀の末から18世紀初めにかけて誕生したが、その存在が法的に認められるまでには長い年月を必要とした。この授業では、最初に、働く人々が団結しようとしたのはなぜか、法認されるまでに時間がかかったのはなぜかを歴史的に学ぶ。その上で、労働組合が職場でどのような役割を果たしているのか、社会の中でどのような役割を果たしているのか、また果たすべきなのかを学ぶ。この授業を履修することによって、労働組合についての基礎的な知識を獲得することができる。
3)授業計画
第1章 営業の自由と団結-市民革命とイギリス
労働者が団結する自由がどのような経緯と論理で認められるようになったのかを、主として18世紀、19世紀イギリスの歴史を素材に論じる。
第2章 労働組合と法-戦前の日本と戦後の日本
第二次世界大戦前の日本では労働組合は法律的には厳しい制約の下に置かれていた。そうした厳しい環境の下であっても労働組合は結成されたし、活動も行った。その歴史を振り返る。
労働組合の結成と活動を事実上、否定した戦前の法的な枠組みは、戦後制定された労働組合法によって大きく変えられた。どのような論理で労働組合を法認することになったのかを論じる。その上で労働組合の法認の意味と意義を述べる。
第3章 労働組合の諸類型
労働組合は組織原理の違いによって、職業別組合、産業別組合、一般組合という諸類型がある。他方、日本の労働組合の基本はこれらとは異なる企業別組合である。これらの違いを論じたあと、企業別組合の組織上、機能上の諸特徴を論じる。
第4章 労働組合と経済学
ミクロ経済学で使われる概念を簡単に説明した後に、古典派経済学、現在の一般的なミクロ経済学は労働組合をどう捉えているのかを説明する。
「退出か発言か」(Exit or Voice)という2つの選択行動から労働組合を論じる新しい理論、集団的発言メカニズムの理論を詳しく説明する。
第5章 労働組合の活路(What do unions do?)
Exit or Voiceという新しいモデルに基づく実証研究(アメリカの研究)を詳細に紹介する。
第6章 日本の労働組合 「労働組合は本当に役に立っているのか」
日本の労働組合の効果についての実証研究を紹介し、かつ日本の企業別組合に対する新しい見方を論じる。
労働組合論II
1)授業の概要と目的
この授業は労働組合論応用編であり、日本の労働組合の行動原理と直面している諸課題について学び、対策を考える。
2)到達目標
現代の日本の労働組合の行動原理を理解し、労働組合が直面している諸課題にどう対応すべきかを考案できることを目指す。
3)授業計画
第1章 企業別組合の発見と存立基盤
戦後に成立した労働組合の多くは企業別組合であった。その特徴がどのように発見されたのかを学び、企業別組合の存立基盤を明らかにする。
第2章 能力主義管理と職能資格制度
日本の労働者、労働組合の行動規範としての「能力主義」をとりあげ、それが戦後、どのような形で定着していったかを論じ、その制度的表現ともいうべき職能資格制度について明らかにする。
第3章 仕事管理
日本の労働者がいかに働いているかを仕事管理という視点から明らかにし、それが企業別組合の機能上、行動上の特徴といかに関係するかを論じる。
第4章 分離に基づく統合-工場労働の特徴
製造業における作業組織の編成原理を「分離に基づく統合」と規定し、その特徴と形成過程を論じる。その上で、「分離に基づく統合」によって編成される作業組織を具体的に明らかにする。
第5章 ホワイトカラーのキャリアと仕事管理
ホワイトカラーのキャリアと仕事管理の仕組みの実態を具体的に明らかにする。
第6章 労働時間規制
日本が抱える大きな労働問題の1つである長時間労働の実態を明らかにし、それに労働組合はどう立ち向かうべきかを論じる。