中小零細企業の組織化
―働きやすい職場を作るためにー
概要
筆者が働いていたのは、10人に満たない企業であり、従業員と代表(経営者)との意思の疎通ができず悩んでいた。筆者を含め4人の従業員は、現状を変えるために労働組合を立ち上げた。代表の労働組合への理解を得るのに苦労したが、労働組合と代表が対等に話し合い、労働組合が経営にも関わり、従業員が安心して働ける職場を目指した。筆者の経験から、中小零細企業に労働組合は必要であると実感している。
中小零細企業は日本の全企業のうち99.7%を占め、中小企業で働く従業員数は全従業員数の69.7%を占めている。しかし、中小零細企業は金融機関からの融資の難しさ、後継者難や価格転嫁の問題など厳しい状況に置かれている。中小零細企業で働く従業員にとっても、賃金、労働条件も比較的低く、職場環境も大変な中に置かれている。
現在、筆者はオルガナイザーとして、未組織企業の労働組合の立ち上げや中立組合の連合加盟に取り組んでいる。
連合は、働くことを軸とする安心社会を目指し、組織拡大を活動の最優先に置いている。筆者は、労働者が安心安全に働き続けられる職場の実現や一人も漏らさず働く人の夢と希望をかなえられる社会にするためには、中小零細企業に焦点を当て組織化を進めるべきと考える。そのために現状の課題を整理し、どのようにしたら中小零細企業の組織化を進めていけるのかをこの論文で考察した。