沈黙の奥にある声
―組合員の「Voice」を引き出す職場の試み―
概要
近年、労働者を取り巻く環境は大きく変化している。特に、コロナ禍以降の急速な働き方の変化により、従来の対面中心の組合活動は制約が生まれ、活動力の低下が多くの職場で課題となっている。そうした中で、活動に参加せず、不満があっても発言せず、しかし離脱もしない「沈黙する組合員」の存在が目立ち始めている。放置すればやがて離脱に向かう可能性があり、職場の不活性化にも影響を及ぼしかねない。
本稿では、「沈黙する組合員」に着目し、いかにして彼らから「Voice(発言)」を引き出すことができるのかを検討する。筆者が所属するNTT労働組合において、職場のユニオンリーダーへの聞き取りや、筆者自身の組合員の対応経験をもとに、具体的な実践事例を通して、「Silence(沈黙)」から「Voice(発言)」へと転換し、職場に活気をもたらすための提言をしたい。