UAゼンセンにおける組織拡大成功要因の分析
―労働組合結成に対する経営の理解を中心に―
概要
労働組合の存在意義については改めて論じるまでも無い。しかしながら、労働組合の組織率は世界各国で減少傾向となっており、日本においてもその状況は顕著である。組織率の低下とともに、労働組合が果たすべき役割は無くなってしまっているのだろうか。
答えは「No」である。特に、コロナ禍を経て注目されたカスタマーハラスメント等の社会問題への対応や、賃上げの機運が高まっている昨今における春闘での存在感など、産業構造や雇用形態が変化する現代社会において「労働組合の価値」は再評価されている。組織率が低下する一方で、労働組合が発揮すべき役割や存在意義は高まっていると私は考えている。
こうした状況の中、労働組合が継続的に社会に影響を与える存在であり続けるために重要なのは「組織拡大」である。「数は力」とはよく言われるが、このまま減少の一途を辿ることで労働組合の価値は失われてしまうかもしれない。本論文では、「組織拡大」についてフォーカスし、私の在籍するUAゼンセンの組織拡大の状況を調査し、その傾向を分析する事で、日本の労働組合全体の「組織拡大」を進めるためのヒントを探るものとする。
また、組織化を経て安定的かつ健全な労使関係を構築するためには、企業経営における労働組合の重要性について考える事も組織拡大をすすめるポイントと考える。経営者にとって労働組合がどのような価値があるのかを調査し、検証する事で今後の連合全体の組織拡大に寄与する論文となる事を目的とする。